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16:愛する事を知らない
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誰かを愛する事なんて分からない、愛する事を知らないと言ってもいいと思う。
でも、それでも恋愛は出来るもので、色々な人と付き合っては別れてを繰り返しているけれども、彼は……楓だけは違っていると思う。
考えてしまう、想ってしまう、見てしまう、気付けば彼を探している。
こんな事、今までなかったからどうしたらいいのか分からないまま、お付き合いをして既に数年。
最短では1日も持たないで有名な私が楓とお付き合いし始めて既に数年の時間を共にしている、それを知った友人達にはよく口を揃えられて言われる「弥生の運命が動いた!」って。
けれど、私だけの存在じゃない。
楓は誰からも好かれるしモテるし愛される、私なんかと付き合う理由なんてあまり無いんじゃないかと思ってしまう。
カフェで待ち合わせしている時も、公園の入口で待ち合せている時も、楓は良くも悪くも注目の存在として見られる。
自慢、したい気もするけれどもそれじゃ失礼な気もする。
私、愛する事を知らない筈なのに……楓の事を愛しているのかな?
「弥生」
「……楓」
「今日は弥生の大好きなパエリアだよ。味の濃さとか教えてくれると嬉しいな」
「ありがとう」
「さぁ、一緒に食べよ。出来立ての方が美味しいから」
「うん」
私だけに向けられる微笑み、私だけに向けられる愛情、その全てが心に癒しと愛情を生み出す。
楓の愛する一番になりたい、楓の全てになりたい、そう思う事が自分にあるのを最近になって気付いた。
愛する事を知らない私が誰かを愛そうとしている、それは成長と言うべきなのだろうか。
私の変化を一番に気付くのは当然恋人の楓で、彼はそっと私の身体を包むように抱き締めては髪を撫でつつ優しく囁く。
「変わったね弥生」
「そう……?」
「もっと素敵な女性になった。離れるのが怖い位に輝いている」
「そんな事……」
「大丈夫。弥生は誰よりも素敵な女性だよ」
「楓も素敵な男性よ?」
「君に、弥生に似合う男になりたいから」
「ありがとう」
楓はいつだって私に真剣な愛情を注いでくれる、それが嬉しいと思うし幸せだとも感じれるのは愛を知ったから?
私の心には未知なる感情である「愛」が芽生えているのかも知れない。
愛を知れば強くも弱くもなるし、どうしても分からない事も当然あるのだけれども。
楓の愛情は本当に真っ直ぐで純粋だと思う。
それが嫌だとかは思わないけれども、私なんかにそれを注いでいいんだろうか? とも思ってしまうのは自分を愛せてないからかも知れない。
私は楓の温もりに包まれて少しずつ愛を知る。
愛を自分にも与えてあげれるように、そう考えて。
「弥生は」
「なぁに?」
「可愛いし綺麗だし、俺の彼女でいてくれて……俺の最高の理解者だよ」
「どうしたの急に?」
「たまには弥生の事を見つめ直したいなと思って」
「見つめ直すって……私の事嫌いに……」
「違うよ。もっと好きになりたいから弥生の事を、だから見つめ直すんだ」
「楓……」
「俺の愛情は逃がしてあげない事、それは弥生が本当に望む形の「愛」だろ?」
「っ、うん……」
「大好きな弥生の笑顔を見れるならどんな事でもしたいから。頑張るからいつまでも微笑んでてね弥生」
楓とキスして思うのは、楓は私の愛する事を知らない時期の私すらも愛してくれようとしている事。
私はそんな楓に何を返せるのだろうか……それだけが気掛かりな今日この頃。
でも、それでも恋愛は出来るもので、色々な人と付き合っては別れてを繰り返しているけれども、彼は……楓だけは違っていると思う。
考えてしまう、想ってしまう、見てしまう、気付けば彼を探している。
こんな事、今までなかったからどうしたらいいのか分からないまま、お付き合いをして既に数年。
最短では1日も持たないで有名な私が楓とお付き合いし始めて既に数年の時間を共にしている、それを知った友人達にはよく口を揃えられて言われる「弥生の運命が動いた!」って。
けれど、私だけの存在じゃない。
楓は誰からも好かれるしモテるし愛される、私なんかと付き合う理由なんてあまり無いんじゃないかと思ってしまう。
カフェで待ち合わせしている時も、公園の入口で待ち合せている時も、楓は良くも悪くも注目の存在として見られる。
自慢、したい気もするけれどもそれじゃ失礼な気もする。
私、愛する事を知らない筈なのに……楓の事を愛しているのかな?
「弥生」
「……楓」
「今日は弥生の大好きなパエリアだよ。味の濃さとか教えてくれると嬉しいな」
「ありがとう」
「さぁ、一緒に食べよ。出来立ての方が美味しいから」
「うん」
私だけに向けられる微笑み、私だけに向けられる愛情、その全てが心に癒しと愛情を生み出す。
楓の愛する一番になりたい、楓の全てになりたい、そう思う事が自分にあるのを最近になって気付いた。
愛する事を知らない私が誰かを愛そうとしている、それは成長と言うべきなのだろうか。
私の変化を一番に気付くのは当然恋人の楓で、彼はそっと私の身体を包むように抱き締めては髪を撫でつつ優しく囁く。
「変わったね弥生」
「そう……?」
「もっと素敵な女性になった。離れるのが怖い位に輝いている」
「そんな事……」
「大丈夫。弥生は誰よりも素敵な女性だよ」
「楓も素敵な男性よ?」
「君に、弥生に似合う男になりたいから」
「ありがとう」
楓はいつだって私に真剣な愛情を注いでくれる、それが嬉しいと思うし幸せだとも感じれるのは愛を知ったから?
私の心には未知なる感情である「愛」が芽生えているのかも知れない。
愛を知れば強くも弱くもなるし、どうしても分からない事も当然あるのだけれども。
楓の愛情は本当に真っ直ぐで純粋だと思う。
それが嫌だとかは思わないけれども、私なんかにそれを注いでいいんだろうか? とも思ってしまうのは自分を愛せてないからかも知れない。
私は楓の温もりに包まれて少しずつ愛を知る。
愛を自分にも与えてあげれるように、そう考えて。
「弥生は」
「なぁに?」
「可愛いし綺麗だし、俺の彼女でいてくれて……俺の最高の理解者だよ」
「どうしたの急に?」
「たまには弥生の事を見つめ直したいなと思って」
「見つめ直すって……私の事嫌いに……」
「違うよ。もっと好きになりたいから弥生の事を、だから見つめ直すんだ」
「楓……」
「俺の愛情は逃がしてあげない事、それは弥生が本当に望む形の「愛」だろ?」
「っ、うん……」
「大好きな弥生の笑顔を見れるならどんな事でもしたいから。頑張るからいつまでも微笑んでてね弥生」
楓とキスして思うのは、楓は私の愛する事を知らない時期の私すらも愛してくれようとしている事。
私はそんな楓に何を返せるのだろうか……それだけが気掛かりな今日この頃。
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