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本編
158:食物連鎖バトル
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ひとまずモフモフにやられている面々は置いておいて、ビッグサイズ過ぎる海産物の説明をシルヴァに求める。
『うむ、事の発端は釣りとやらをしていた異人とバーバルコーンスネールという魔物が獲物を巡って争い始めたことから始まるである』
『……もうよく分からないんだが……バーバルコーンスネールというのは?』
『あそこの鬼人族がいる辺りに山と積まれている貝のことである。猛毒の銛が厄介そうであったな』
僕は久しぶりに外部の検索サイトで素早く、その魔物名を検索してみる。『バーバル』は置いておくとして『コーンスネール』は『イモガイ』という現実にもいる貝らしく、毒のある銛を突き出してくるので危険らしい。
名前の通り、見た目や習性も割とそのままイモガイのようだ。……こちらもトラックサイズのエビほどではないが、バランスボールくらいのサイズで危険な銛を突き出されるかと思うとかなり脅威的なのだが。
『その時は介入するほどではないと、見守っていたのであるが、そこにさらにグレータースパイニーロブスターが襲ってきたである。どうやら大量に集まっていたバーバルコーンスネールを狙ってきたようであるな』
『なるほど』
まぁ、捕食者側としては獲物が大量に、しかも気が逸れているなど絶好の狩猟チャンスだろうな。
『そのグレータースパイニーロブスターにも異人が果敢に挑んでいったことで、事態が混沌としだしたである』
『……なるほど』
よく考えたら『スパイニーロブスター』とはイセエビ類のことだ。異人としては可食出来る可能性が低いイモガイよりも、可食出来そうで贅沢で美味な食材として認知されているイセエビの方が魅力的だろう。こちらでも美味な食材なのかは分からないが。
『そうして三つ巴のバトルをしているところにグレータースパイニーロブスターを狙ったギガントオクトパスが現れたのだ』
『もう滅茶苦茶だな……』
『であるなぁ。そこで戦いの余波が浜辺の戦えぬ者達も巻き込みかねないほど大きくなったのでな、我が動きを縛って、夜狗の小僧が大技をいくつか叩き込んでバトルは終わったである』
『それは……異人からの反応はどうだったんだ?』
何となく、そういう大きなバトルはプレイヤー達で最後まで倒したいものではないかと思うので、バラムというNPCが良いところを持っていってしまうのはどう思うのだろうか?
『うむ? とくにどうもしなかったであるが? 夜狗の小僧は大層感謝されておったぞ。今夜は“豪華海鮮パーティ”だとか何とか言われて』
『……好意的な反応なら良かった』
美味なる食の前ではバトルとかそういうのはどうでも良くなるようだ。
まぁ、これで奇天烈な光景に至った状況は大体聞けただろうか。
「そういえば、鉄銹お兄さんが参加してるってことは盟友契約してるあのプレイヤーもここにいるはずよね? それらしい人誰か見た?」
「いんや、見てないな」
「そういえば……。もしかしてドサクサに紛れて1デスしちゃってたり?」
『…………』
気づけば、オンキラの魅力から少し覚めたプレイヤー達が僕の姿が無いことを疑問に持ち始めている。……うぅん、どうしようか。
と、逡巡していると。
「おーい! そろそろ海鮮の解体に人手がいるパートらしいから皆手伝ってくれー!」
「「「はーい」」」
シャケ茶漬けがオンキラを取り囲んだプレイヤー達に指示を出して自然に解散させる。
「兄貴お疲れっす! (トウノ君も起きた……?)」
『ああ、大変な時に寝ていてすまない』
皆が散ったのを確認してから、僕達の方に寄って来て、フクロウ姿の僕にはこっそり語りかける。
「いや、調子が悪かったんなら無理しなくていいよ。本当はログアウトして休んだ方が良いんだろうけど……」
『いや、もう大分休まったから大丈夫だ』
すごくちゃんと気遣ってくれていた。ありがたい。
『……さっきの呟きもあった通り、そろそろ人の方の姿を見せないと不審だろうか……』
「まぁ……そうだな。今は皆、拠点に集まってるし、この夜くらいは一緒に休んでる姿を見せた方がいいかもしれない」
『そうか、じゃあ……ぶっ』
僕が首元から抜け出そうとしたところで、バラムの手に阻まれてしまった。
「お前がフクロウに《変化》出来ると他の奴らに知らせたくない」
「あー……兄貴の意見に俺も賛成だ。モフモフは時に人を狂わせる」
『そ、そうか……』
オンキラ……猫はともかくフクロウはそこまでモフモフとしての支持があるのかよく分からないが、バラムとシャケ茶漬けが真剣な顔で言うのだから素直に聞いておこう。
「今から海鮮調理に入るからドサクサに紛れて暗がりで《変化》を解いてくるといいよ」
『分かった』
ということで、大迫力海鮮調理と暴力的に美味しそうな香りに皆が大盛り上がりな中、焚き火の明かりによって逆に濃くなった暗がりで《変化》を解く。
フードを被るとパーティ以外の面々に《認識阻害》が働いてしまうし、そもそも顔が見えないので、この夜は思い切ってフードを被らずにいることにした。
バラムは渋っていたが、シルヴァがフクロウとして肩に乗って常に僕から離れないというのと、シャケ茶漬けが見る限りプレイヤーの中にPK志向の奴はいないということで、渋々だが、納得してくれた。
そんなこんなで、しれっと海鮮に沸く集団に混ざったのだが────。
皆、あまりに海鮮に夢中過ぎて僕がいるかいないかなど頭の片隅にも無いようだった。
……まぁ、そんなものか。少し、自意識過剰だったようで恥ずかしい。
なのである程度肩の力を抜いて、焚き火の隅の明かりと影の間くらいの認識しづらいところで、分けられた海鮮料理を食べる。
「む!」
エビの濃厚な熱々の汁が口の中で弾け、プリプリの身がまたとても美味しい。現実でもあまり食べられないような贅沢な味なのが、食に疎い僕でも理解出来た。
そういえば、ユヌでもドゥトワでも地理的な関係か海鮮はあまり出なかったな……。次の町のカトルという港町では海鮮料理も豊富だと言う。
……海鮮料理目当てでイベントが終わったらカトルにも行ってみようか……。
などと考えながら味わっていると、何処からともなく音楽が聴こえてきた。
音がする方を探すと、焚き火を囲むようにして数人のプレイヤーが楽器……いや魔楽器か?をかき鳴らしていた。
それぞれハープや縦笛や太鼓なので、音自体は牧歌的なのだが曲調が何だか激しい。多分……ロック系、だろうか?
「やっほー! トウのん、楽しんでるー?」
「ああ、贅沢な海鮮料理を堪能している」
「むふふ、これ美味しいよねぇ」
そう言って笑うあぬ丸の両手には大きな串焼きが何本もあった。あぬ丸も食を楽しんでいるようだ。
「あれは魔楽器だろうか?」
「うーん? ああ、そうそう。魔楽器奏者同士で固定パーティ組んでるんだってさー」
「……それって結構大変なんじゃないか?」
確か、魔楽器は《支援魔法》特化でさらに両手杖扱いだからサブウェポンも中々持ちづらいはずだ。全員魔楽器奏者となるとバトルが中々難しいのではないだろうか。
「そうなんだよぉ。基本支援特化なのに、前衛も後衛もいないっていうねー。まぁ、でも音楽性が合うとか何とかで純魔楽器パーティを貫いてるっぽいよぉ」
「そうなのか」
「音楽性の違いで解散しちゃったりしてねー」
「……うぅん」
そう言ってあぬ丸がケラケラと笑うが、割と解散理由としてはありそうで何とも言えない。
「……そうならないと良いな」
と、魔楽器の演奏の方に視線を戻す。
…………あんまり楽しそうなので、少し、僕も演奏したくなってきた。
────────────
BL大賞期間中、たくさんの応援いただきありがとうございました!
引き続き、余暇にでも拙作を楽しんでいただけたら幸いでございますm(_ _)m
(近況ボードにてロングバージョン感謝を投稿しております)
『うむ、事の発端は釣りとやらをしていた異人とバーバルコーンスネールという魔物が獲物を巡って争い始めたことから始まるである』
『……もうよく分からないんだが……バーバルコーンスネールというのは?』
『あそこの鬼人族がいる辺りに山と積まれている貝のことである。猛毒の銛が厄介そうであったな』
僕は久しぶりに外部の検索サイトで素早く、その魔物名を検索してみる。『バーバル』は置いておくとして『コーンスネール』は『イモガイ』という現実にもいる貝らしく、毒のある銛を突き出してくるので危険らしい。
名前の通り、見た目や習性も割とそのままイモガイのようだ。……こちらもトラックサイズのエビほどではないが、バランスボールくらいのサイズで危険な銛を突き出されるかと思うとかなり脅威的なのだが。
『その時は介入するほどではないと、見守っていたのであるが、そこにさらにグレータースパイニーロブスターが襲ってきたである。どうやら大量に集まっていたバーバルコーンスネールを狙ってきたようであるな』
『なるほど』
まぁ、捕食者側としては獲物が大量に、しかも気が逸れているなど絶好の狩猟チャンスだろうな。
『そのグレータースパイニーロブスターにも異人が果敢に挑んでいったことで、事態が混沌としだしたである』
『……なるほど』
よく考えたら『スパイニーロブスター』とはイセエビ類のことだ。異人としては可食出来る可能性が低いイモガイよりも、可食出来そうで贅沢で美味な食材として認知されているイセエビの方が魅力的だろう。こちらでも美味な食材なのかは分からないが。
『そうして三つ巴のバトルをしているところにグレータースパイニーロブスターを狙ったギガントオクトパスが現れたのだ』
『もう滅茶苦茶だな……』
『であるなぁ。そこで戦いの余波が浜辺の戦えぬ者達も巻き込みかねないほど大きくなったのでな、我が動きを縛って、夜狗の小僧が大技をいくつか叩き込んでバトルは終わったである』
『それは……異人からの反応はどうだったんだ?』
何となく、そういう大きなバトルはプレイヤー達で最後まで倒したいものではないかと思うので、バラムというNPCが良いところを持っていってしまうのはどう思うのだろうか?
『うむ? とくにどうもしなかったであるが? 夜狗の小僧は大層感謝されておったぞ。今夜は“豪華海鮮パーティ”だとか何とか言われて』
『……好意的な反応なら良かった』
美味なる食の前ではバトルとかそういうのはどうでも良くなるようだ。
まぁ、これで奇天烈な光景に至った状況は大体聞けただろうか。
「そういえば、鉄銹お兄さんが参加してるってことは盟友契約してるあのプレイヤーもここにいるはずよね? それらしい人誰か見た?」
「いんや、見てないな」
「そういえば……。もしかしてドサクサに紛れて1デスしちゃってたり?」
『…………』
気づけば、オンキラの魅力から少し覚めたプレイヤー達が僕の姿が無いことを疑問に持ち始めている。……うぅん、どうしようか。
と、逡巡していると。
「おーい! そろそろ海鮮の解体に人手がいるパートらしいから皆手伝ってくれー!」
「「「はーい」」」
シャケ茶漬けがオンキラを取り囲んだプレイヤー達に指示を出して自然に解散させる。
「兄貴お疲れっす! (トウノ君も起きた……?)」
『ああ、大変な時に寝ていてすまない』
皆が散ったのを確認してから、僕達の方に寄って来て、フクロウ姿の僕にはこっそり語りかける。
「いや、調子が悪かったんなら無理しなくていいよ。本当はログアウトして休んだ方が良いんだろうけど……」
『いや、もう大分休まったから大丈夫だ』
すごくちゃんと気遣ってくれていた。ありがたい。
『……さっきの呟きもあった通り、そろそろ人の方の姿を見せないと不審だろうか……』
「まぁ……そうだな。今は皆、拠点に集まってるし、この夜くらいは一緒に休んでる姿を見せた方がいいかもしれない」
『そうか、じゃあ……ぶっ』
僕が首元から抜け出そうとしたところで、バラムの手に阻まれてしまった。
「お前がフクロウに《変化》出来ると他の奴らに知らせたくない」
「あー……兄貴の意見に俺も賛成だ。モフモフは時に人を狂わせる」
『そ、そうか……』
オンキラ……猫はともかくフクロウはそこまでモフモフとしての支持があるのかよく分からないが、バラムとシャケ茶漬けが真剣な顔で言うのだから素直に聞いておこう。
「今から海鮮調理に入るからドサクサに紛れて暗がりで《変化》を解いてくるといいよ」
『分かった』
ということで、大迫力海鮮調理と暴力的に美味しそうな香りに皆が大盛り上がりな中、焚き火の明かりによって逆に濃くなった暗がりで《変化》を解く。
フードを被るとパーティ以外の面々に《認識阻害》が働いてしまうし、そもそも顔が見えないので、この夜は思い切ってフードを被らずにいることにした。
バラムは渋っていたが、シルヴァがフクロウとして肩に乗って常に僕から離れないというのと、シャケ茶漬けが見る限りプレイヤーの中にPK志向の奴はいないということで、渋々だが、納得してくれた。
そんなこんなで、しれっと海鮮に沸く集団に混ざったのだが────。
皆、あまりに海鮮に夢中過ぎて僕がいるかいないかなど頭の片隅にも無いようだった。
……まぁ、そんなものか。少し、自意識過剰だったようで恥ずかしい。
なのである程度肩の力を抜いて、焚き火の隅の明かりと影の間くらいの認識しづらいところで、分けられた海鮮料理を食べる。
「む!」
エビの濃厚な熱々の汁が口の中で弾け、プリプリの身がまたとても美味しい。現実でもあまり食べられないような贅沢な味なのが、食に疎い僕でも理解出来た。
そういえば、ユヌでもドゥトワでも地理的な関係か海鮮はあまり出なかったな……。次の町のカトルという港町では海鮮料理も豊富だと言う。
……海鮮料理目当てでイベントが終わったらカトルにも行ってみようか……。
などと考えながら味わっていると、何処からともなく音楽が聴こえてきた。
音がする方を探すと、焚き火を囲むようにして数人のプレイヤーが楽器……いや魔楽器か?をかき鳴らしていた。
それぞれハープや縦笛や太鼓なので、音自体は牧歌的なのだが曲調が何だか激しい。多分……ロック系、だろうか?
「やっほー! トウのん、楽しんでるー?」
「ああ、贅沢な海鮮料理を堪能している」
「むふふ、これ美味しいよねぇ」
そう言って笑うあぬ丸の両手には大きな串焼きが何本もあった。あぬ丸も食を楽しんでいるようだ。
「あれは魔楽器だろうか?」
「うーん? ああ、そうそう。魔楽器奏者同士で固定パーティ組んでるんだってさー」
「……それって結構大変なんじゃないか?」
確か、魔楽器は《支援魔法》特化でさらに両手杖扱いだからサブウェポンも中々持ちづらいはずだ。全員魔楽器奏者となるとバトルが中々難しいのではないだろうか。
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「そうなのか」
「音楽性の違いで解散しちゃったりしてねー」
「……うぅん」
そう言ってあぬ丸がケラケラと笑うが、割と解散理由としてはありそうで何とも言えない。
「……そうならないと良いな」
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