上 下
1,261 / 1,299

雨の作手村

しおりを挟む
今は新城市か。
2023年5月31日。雨の月末。
久しぶりに作手まで出かけてみた。

冬の間は雪に閉ざされ、そうでなければ峠道が凍ってしまうので、愛知県と言えど山の方に遊びに行くなら5月か6月だとちょうどいい。
折しも台風が発生し悪天候ではあったが、出掛けられないほどではない。
クルマだと大丈夫だけどバイクやチャリはキツイ、ぐらいの天気だと、元々常識的で善良なライダーの皆さんはお出かけなんてしないし。コッチも気を付けて運転せねばならんが。

で、作手高原。高速道路の下をくぐって峠道を登っていくと車の窓から這入り込む風が明らかに少し冷たくなって心地よい。
そのまま301号線を北上して、一旦、道の駅・つくで手作り村を通り過ぎてしばし直進。
巴湖に向かう横道に控えめな看板がポコッと立っている。
餅・喫茶
ちょうじゃ屋
と書かれたその白い看板を目印に左折して、ワールドヒーローズのマッドマンにブロッケンが電気ショックを浴びせたようなカレー屋さんの前を通り過ぎ、美味しい窯焼きパンのお店も通り過ぎると、巴湖のほとりに小ぎれいな茶店がある。
そこが、餅・喫茶の「ちょうじゃ屋」さんだ。

定休日:2023年より木・金
営業時間:9:30-17:00
愛知県新城市作手高里字大平2-5
https://www.instagram.com/chojaya_tukude/?hl=ja

餅というのは作手に伝わる長者餅(ちょうじゃもち)という手作りのお餅で、他に同じく手作りのおぜんざい、おはぎも食べられる。それと各地の美味しい紅茶やコーヒー。
お店に入ると聞き覚えのあるメロディ。なんだっけコレ、この明るくやわらかな色調と湖畔の涼し気な雰囲気に、まったく不釣り合いな不穏で血生臭いイメージ。私の頭の中にかかった道路橋を苛立ち、不機嫌そのものの顔でイライラ歩く若くぎらついたビートたけし。
あっ!その男、凶暴につき。だ!
思わず「サティエ、エリック・サティエだ!」と声に出していた。すると店主さんが、そうなんですよ!と反応して下さった。この見るからに品の良さそうな、文系で自然を愛するお姉さんが、あの謂れのないバイオレンスで血みどろになった映画を見ているのか…!?
と思うと、ちょっとドキドキするね(するな)。

今日は長者餅と紅茶のセット。
紅茶は京都の有名なお店、治郎兵衛さんの茶葉。
色んな種類があって、季節のものもある。
美味しいのと興味深いのとで2種類頂き、さらにご家庭用のをひとつ購入。
清姜(しょうが)というブレンドで、アッサム、ジンジャー、カカオ。
この先、発汗と冷房で冷えた時にでも飲もうと楽しみにしているのである。

長者餅、とは、やわらかいとろっとしたお餅に黄な粉、ゴマ、アンコをそれぞれ乗せたりまぶしたりしたもので、これがまた絶品。甘すぎず、淡泊でなく。お茶やコーヒーによくあう。
おはぎも美味しいけど、今日は何となく長者餅にしてみた。ちなみに長者餅は、すぐ近くの道の駅つくで手作り村でもテイクアウト用が販売されているのでそちらでも購入できる。時間帯や曜日によっては売り切れちゃってるかも知れないので、そういう時はあたってみよう。

飲み食いしている間に雨が酷くなって来たので、店主さんと暫しお喋り。
ココに居ると日々いろんな野鳥がやってくるようで、図鑑も常備して観察しているとのこと。確かに詳しい。私はキノコや虫なんかは今でも多少知っているけど、鳥類は疎いので聞いていて楽しい。草花に雑草というものが無いように、単に鳥というだけの生き物もまた存在しないのだ。

結局なかなか雨が引かないので、そのままオイトマすることに。
今度また違う紅茶を頂きに、近いうちにお邪魔したいです。
何しろ冬はお休みになっちゃうし、天気いいと混みそうなので…小雨で涼しい日に。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

50歳の独り言

たくやす
エッセイ・ノンフィクション
自己啓発とか自分への言い聞かせ自分の感想思った事を書いてる。 専門家や医学的な事でなく経験と思った事を書いてみる。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

処理中です...