青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第三話 部活動結成集会

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 4月17日(金)。

 この日の放課後は部活動結成集会だ。体育館で部活毎に分かれて整列している。先生たちが部活をするにあたっての心構えがやらなんやらについて熱く語っているが、そんなもの端っから守る気もない集団がいる。野球部だ。他の部活が舞台から垂直に並んでいるのに対して、彼らは後ろの方で3年生を中心に横一列に並んでいる。

「おい、そろそろ飽きたから公園向かうぞ。」

 大将ターリーである祐士の一言で、野球部は全員体育館から出て行った。それを咎める者はいない。

「おい、公園着いたらすぐ集会始めるから他の奴らに連絡入れとけ。」

 祐士はダルそうに指示を出す。今日この場にいるのは各学年の中心メンバーだけだ。後のメンバーは各々で待機している。彼らは先生たちの前で平気で携帯を取り出し、電話をし始める。無論、咎める者はいない。

(馬鹿どもが....)

 それをバレー部の列から見ていた香織は心の中で吐き捨てる。すると、後ろにいた麗花が小声で話かけてきた。

「ねぇねぇ香織、あんたあの中で誰が1番タイプ?」
「はぁ?」
「私はやっぱり恵弥かなぁ....」

 勝手に1人で喋って勝手にうっとりしてる。

(ここにも馬鹿がいた....)

 香織は呆れ顔でそっぽを向いた。

 そのバレー部の列の隣には吹奏楽部がいた。1番後ろの方に男が4人いる。伯亜たちだ。たが、伯亜はスゥスゥ寝息を立てている。すると、伯亜の頭をファイルで叩く者がいた。吹奏楽部の顧問、三村 香里奈みむら かりな、若手の女教師だ。

「むにゃむにゃ....先生なぁに....」
「何じゃない!起きなさない!」

 それを聞いて周りの生徒たちはクスクス笑い始めた。そして、尚也が発言した。

「ねぇ、先生。」
「何よ?」
「先生たちさ、野球部には文句言わないのにさ、僕たちには注意するんだね。」
「!?」

 途端に周囲から爆笑が起こった。

「こら、そこ!静かにしなさい!」

 舞台上で演説してた校長先生が怒鳴る。静かになるがみんな心の中では尚也に称賛の声を送っていた。香織もその1人だ。

(双子のどっちだったかしら?忘れたけどなかなか大したタマね。)

 そして、麻耶も

(あの妖怪ヒステリックババアに文句言うなんてさすが優也、私の従兄弟だ。)

 なんて思っていたが、優也じゃなくて尚也である。

 しばらくして集会も終わり、その日もまた部活が始まる。ちなみに吹奏楽部では、男4人が連帯責任としてこっぴどく叱られた。


つづく

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