青春〜或る少年たちの物語〜

Takaya

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第二章 燃え上がる日々

第四話 カウントダウン

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 部活動結成集会と時を同じくして、参加してない貴哉たちは野球部の部室でおしゃべりをしていた。灰皿にある新しい吸殻は彼らのものだ。

「なぁ、貴哉。」
「なんだよ音也?」
「お前、煙草似合わねぇな。」
「うるせぇよ。」

 実は貴哉も喫煙者の仲間入りを果たした。これまでも何回か吸ったことはあるが、吸えたもんじゃない、と思っていた。しかし、「野球部ならば通る道」「最初は1ミリメンソールから」などの意味不明な同調圧力に敗北し、今ではマイルドセブン6ミリロングを吸っている。無論、伯亜たちにはまだ言ってない。

「でもよぉ、お前みたいので吸ってる奴なんてのは、伊志凪初じゃないのか?」

 春樹がセブンスターを吸いながら問いかける。

「お前だってオタク初の喫煙者じゃねぇか。」
「誰がオタクだ!」

 和やかな時間が流れる。貴哉も彼らとつるむようになって、その場の空気が分かるようになってきた。ついこの前までの、小学校時代の自分は黒歴史だと思い始めてる。

「端から見たらお前の方がオタクだろうが。」
「うるせぇ、俺はな、アイドルとアニメを生き甲斐にする気は更々ねぇよ。お前らと燃えるような熱い青春を過ごすんだよ!」

 貴哉は今、別のタイプの黒歴史を更新中であることに気付いていない。そんな和やかな雰囲気の中、貴哉の携帯が鳴る。恵弥からだ。

「はいはい、どした?」
「あー、貴哉か?よかった、和人にかけても取らなかったからよぉ。」
「まじかよ?わりぃな。俺、今日の昼休み携帯取られたんだ。」
「らしいぜ。」
「....まぁ、いいや。それより今から神栄公園しんえいこうえん集合だからみんなに伝えてくれ。」
「あいよ。」

 貴哉は電話を切ってそれを伝える。

「なぁ、何で公園行くんだよ。」
「お披露目式だよ。」

 和人が答える。

「お披露目式だぁ?」
「あぁ、先輩たちの前で自己紹介するんだ。」
「ふーん。」

 適当に答えながら、貴哉はその辺に置いた学ランを羽織る。

「そういえば学ランもそろそろいじりたいよな。」
「あほ、浮かれすぎだ。」
「あ、どういうことだよ?」
「....公園行けば分かるよ。」

 和人はぶっきらぼうに答える。貴哉は嫌な予感がした。

(まぁ、自己紹介ならすぐ終わるだろ。)

 貴哉はこれからやらされる自己紹介を、新しいクラスになった時や、初対面の同級生に会った時とかにするような、そんな程度のものだと考えていた。わざわざ公園でやる意味も分からない、そう思っている。
 しかしその認識が間違いであることを、これから嫌というほど叩き込まれることになる。
 地獄へのカウントダウンがもう始まっているのだ。

つづく





 
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