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第九章

第385話 【大会〝個人戦〟・2】

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 カイの勝利を見届けた俺達は、予定表を見れば次の次の試合にルーカスが出るみたいなので会場を移動する事にした。その際、出店から美味しい匂いに釣れられてレティシアさんが購入していたのを見ていたリン達も買いたそうにしていたので、皆の分を買ってから会場へと入った。
 会場に入り空いていた席に座った俺達は、ルーカスの試合が行われるまで食べながら試合を見る事にした。

「わ~、あの人凄いね。体は小さいのに大きな剣をあんなに振り回してるよ」

「レティシアさん、あの人はドワーフみたいですよ。なので、体格以上の物も軽々と持ってるんですよ」

「あっ、本当だ。ラルク君、本当に目が良いよね」

 それからレティシアさんは試合をしているドワーフの選手の戦い方を見て興奮していた。その試合の結果は、応援していたドワーフの選手が勝利を勝ち取り無事に第二試合へと進出が出来、レティシアさんも嬉しそうにしていた。
 その後、試合の片付けが終わりルーカスとルーカスの対戦相手が入場して来た。ルーカスの相手は、竜人族の様で種族的にも差があるなと感じた。

「ルーカス君、大丈夫かな?」

「リン、ルーカスの心配はいらないよ。逆に、ルーカスの対戦相手を心配してやった方が良い」

「そうだね。イデルさんと訓練をずっとしていたみたいだから相当強くなってるよね」

 リンがルーカスを心配していたのでそう言うと、アスラも同意見の様で相手選手の心配をしていた。そんな俺達の気持ちをよそにルーカスは俺達に気が付くと一礼をしてから、対戦相手と向き合った。

「それでは、試合を始めます。両者良いですね? それでは、はじめッ!」

「いくっすよッ!」

 ルーカスは合図と共に自身に〖身体強化魔法〗を掛け、速さを最大まで強化したルーカスは対戦相手の後方を取る事が出来、一瞬にして背後から飛びつき絞め落とす体制に入った。

「「おぉッ!」」

 ルーカスのその攻撃に会場で試合を見ていた観客達は興奮した様に反応した。ルーカスはそのまま絞め落とすつもりでいたようだが、対戦相手もそう易々と負けるつもりは無いらしくルーカスを地面に叩きつけて自由となった。
 その後、ルーカスも対戦相手の竜人も互いに素手での攻防が続いた。

「す、すごいね。二人とも拳と拳のぶつけ合いだよ……」

「ああ、多分ルーカスがそうしたんだろうな、さっき絞め落としてる時に何か呟いていたみたいだし」

「そうだよね。でも、何て言ってたのか分からなかったよ。ラルク君は何て言ってたか解読出来た?」

「いや、解読できたのは「楽しもう」と言ってた事くらいだな」

 リンの言葉に一瞬、リンの方を見て返すとその一瞬の間に決着がついたのか会場中に「お~ッ!」と歓声が聞こえ始めた。

「あっ、やっぱりルーカスが勝ったのか」

「みたいだね。凄かったねルーカス君、最後は対戦相手の拳をギリギリで避けて下から顎を打ち抜いて対戦相手を飛ばしちゃったよ」

 レティシアさんのその言葉を聞いた俺は、ルーカスとは反対側にある壁の所を見ると先程までルーカスと戦っていた竜人族が倒れかかっているのを発見し、あそこまで吹き飛ばすとはルーカスも成長したなと感じていた。

「主殿~! やったすよ~!」

 ルーカスは俺の方向かってそう元気そうに両手を振って言ってきたので、その言葉に答えるように片手を上げて「よくやった」と褒めると、ルーカスは嬉しそうに会場から出て行った。それから、カイとルーカスの試合を見届けたので後は予定表を見て面白そうな組み合わせの試合を観戦した。それらの試合は、カイ達の試合同様に凄く盛り上がり、一緒に観戦していたレティシアさんがソワソワしていた。

「こんな盛り上がるんなら、私も試合に出ればよかったな……」

「確かに、ここまで盛り上がるとは思ってもいませんでしたよ。まだ、大会初日なのに、この盛り上がり様ですからね」

「う~、早く戦いたい~」

 レティシアさんの言葉にアスラも「こんなに面白いのを見させられちゃったら、僕も早く戦いたくなってきたよ」とアスラも闘争心を既に燃やし始めていた。
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