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ホムの困惑
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昨日夜中にホムに叩き起こされてからすっかり目が覚めてしまった僕。
騒動を解決し、ベッドに潜り込みやっと寝れたかな?と思ったら、ホムがドアを蹴破る勢いで再び飛び込んできた。
「アーキ、大変。助けて!」
この慌てように真剣な顔。
嫌な予感しかしない。
蘇生したはずの師匠がまた死んだ?
ホムに連れられてやってきたのはキッチン。
師匠の部屋ではなくてそっと胸を撫で下ろす。
「ホム、なにに困ってるの?」
「ガスも電気も止まってるの」
ガス?
電気?
「それってなに?」
ガスは火を起こす燃料油みたいなもの。
気体で管を通ってキッチンまでやってきて調理器具に火を起こす。
電気は光を起こす魔力燃料みたいなもので、目には見えないけど触ると痺れたり焦げたりする危険なものだそうだ。
電気は銅や鉄でできた線を伝わってやってくる。
そう、僕に説明したホム。
どうりで昨日と比べると照明が消えていて部屋が薄暗い。
でも、僕よりもずっと詳しいのになんで聞いてくるの?
「こんなことになったのは初めてで、ホムはどうすればいいのかわからない。一番大切な人に相談したらダメ?」
僕を一番大切な人と言って頼ってくれるのは嬉しい。
錬金術でどうにかなればしたいんだけど、ガスと電気の仕組みがよくわからないしな。
ここは一番詳しそうな師匠に聞くしかないと、師匠の部屋を訪れる。
師匠は昨日冷たくなっていたのがまるで嘘のように大いびきを掻いて熟睡していた。
ホムはベッドの横に置いてある水差しを手に取ると、師匠の顔目掛けて水を注いだ。
ほ、ホムさん、な、なにしてるの?
「あひゃ! な、なんじゃ!」
師匠もこれにはビックリ。
顔に水を注がれたので一瞬で目が覚めて飛び起きた。
まあ、普通そんなことをされたら誰だって同じ反応するよね。
師匠は結構歳を取っているので驚き過ぎてショック死しないか心配だ。
「だいじょうぶ。急ぎの時はこうして起こしてと、マーリン様がホムに言った」
そう言われてても、普通に揺り起こしたりして起こす努力をしてからにしようよ。
飛び起きた師匠は僕たちがベッドの傍に立っていたのに気が付き聞いてくる。
「な、なにが起こったんじゃ?」
「マーリン様、たいへんなの?」
「どうしたんじゃ、ホム」
「ガスも電気も止まってるの」
「なぬ? フェアリーが寝坊でもしてるのかの?」
師匠によると電気もガスも担当のフェアリーさんが作ってくれているらしい。
この屋敷の生活で必要なものを作り出してくれているフェアリーさんたちの住む離れが庭にあるとのこと。
さっそく離れへと向かう僕たち。
電気とガスの供給の再開をしてもらおうと思ったんだけど……。
「ありゃ? 屋敷がもぬけの空じゃ」
いつもは少し窮屈なぐらい多くのフェアリーさんたちが住んでるはずの屋敷から一人もいなくなっていた。
時計が時を刻む音だけが聞こえてくる。
これには師匠も目を丸くして驚いている。
「いったい、どうなっとるんじゃ? ガスと電気の担当どころか、フェアリーが一人もおらんぞ」
「これじゃ、ホムはごはんを作れない」
「ごはんなら僕が作りますよ」
「できるのか?」
「朝ごはんぐらいなら僕に任せてください」
幸いなことに錬金術道具を持っている僕。
錬金術と料理は共通点が多い。
刻んで煮て……料理の基本だ。
パンを火で炙り、バターを塗る。
ベーコンと卵をフライパンで焼く。
コーヒーをろ過器で淹《い》れる。
錬金術士風モーニングセットの出来上がりだ。
さっそく料理を口にした二人は気に入ってくれたみたい。
「ホム、これ、すき」
「わしも気に入った!」
錬金術だけじゃなく、料理も褒められると結構うれしい。
「また作りますよ」
「ホム、うれしい」
「わしもじゃ」
僕らは朝ごはんを堪能する。
*
「ところでマーリン様、朝ご飯はアーキに作ってもらって食べられたんですけど、調べてみたら、ガスも電気の他に水道も止まっていました。これから炊事仕事はどうすればいいんでしょうか?」
さすがに、コンロ代わりの炉が一つしかないので夕ご飯を錬金術セットで作るのは少し厳しいかもしれない。
「水道もか……フェアリーが皆居なくなったんじゃから当然かの……」
師匠は長く白い顎髭を撫でつけながら考え込む。
そんなとこに女の人の声が……。
「あらあら、たいへんね」
「ウィスダムじゃないか。久しぶりじゃのう」
そこにはとっても露出度の高い魔女のような服装の、とってもグラマラスなお姉さんが立っていた。
騒動を解決し、ベッドに潜り込みやっと寝れたかな?と思ったら、ホムがドアを蹴破る勢いで再び飛び込んできた。
「アーキ、大変。助けて!」
この慌てように真剣な顔。
嫌な予感しかしない。
蘇生したはずの師匠がまた死んだ?
ホムに連れられてやってきたのはキッチン。
師匠の部屋ではなくてそっと胸を撫で下ろす。
「ホム、なにに困ってるの?」
「ガスも電気も止まってるの」
ガス?
電気?
「それってなに?」
ガスは火を起こす燃料油みたいなもの。
気体で管を通ってキッチンまでやってきて調理器具に火を起こす。
電気は光を起こす魔力燃料みたいなもので、目には見えないけど触ると痺れたり焦げたりする危険なものだそうだ。
電気は銅や鉄でできた線を伝わってやってくる。
そう、僕に説明したホム。
どうりで昨日と比べると照明が消えていて部屋が薄暗い。
でも、僕よりもずっと詳しいのになんで聞いてくるの?
「こんなことになったのは初めてで、ホムはどうすればいいのかわからない。一番大切な人に相談したらダメ?」
僕を一番大切な人と言って頼ってくれるのは嬉しい。
錬金術でどうにかなればしたいんだけど、ガスと電気の仕組みがよくわからないしな。
ここは一番詳しそうな師匠に聞くしかないと、師匠の部屋を訪れる。
師匠は昨日冷たくなっていたのがまるで嘘のように大いびきを掻いて熟睡していた。
ホムはベッドの横に置いてある水差しを手に取ると、師匠の顔目掛けて水を注いだ。
ほ、ホムさん、な、なにしてるの?
「あひゃ! な、なんじゃ!」
師匠もこれにはビックリ。
顔に水を注がれたので一瞬で目が覚めて飛び起きた。
まあ、普通そんなことをされたら誰だって同じ反応するよね。
師匠は結構歳を取っているので驚き過ぎてショック死しないか心配だ。
「だいじょうぶ。急ぎの時はこうして起こしてと、マーリン様がホムに言った」
そう言われてても、普通に揺り起こしたりして起こす努力をしてからにしようよ。
飛び起きた師匠は僕たちがベッドの傍に立っていたのに気が付き聞いてくる。
「な、なにが起こったんじゃ?」
「マーリン様、たいへんなの?」
「どうしたんじゃ、ホム」
「ガスも電気も止まってるの」
「なぬ? フェアリーが寝坊でもしてるのかの?」
師匠によると電気もガスも担当のフェアリーさんが作ってくれているらしい。
この屋敷の生活で必要なものを作り出してくれているフェアリーさんたちの住む離れが庭にあるとのこと。
さっそく離れへと向かう僕たち。
電気とガスの供給の再開をしてもらおうと思ったんだけど……。
「ありゃ? 屋敷がもぬけの空じゃ」
いつもは少し窮屈なぐらい多くのフェアリーさんたちが住んでるはずの屋敷から一人もいなくなっていた。
時計が時を刻む音だけが聞こえてくる。
これには師匠も目を丸くして驚いている。
「いったい、どうなっとるんじゃ? ガスと電気の担当どころか、フェアリーが一人もおらんぞ」
「これじゃ、ホムはごはんを作れない」
「ごはんなら僕が作りますよ」
「できるのか?」
「朝ごはんぐらいなら僕に任せてください」
幸いなことに錬金術道具を持っている僕。
錬金術と料理は共通点が多い。
刻んで煮て……料理の基本だ。
パンを火で炙り、バターを塗る。
ベーコンと卵をフライパンで焼く。
コーヒーをろ過器で淹《い》れる。
錬金術士風モーニングセットの出来上がりだ。
さっそく料理を口にした二人は気に入ってくれたみたい。
「ホム、これ、すき」
「わしも気に入った!」
錬金術だけじゃなく、料理も褒められると結構うれしい。
「また作りますよ」
「ホム、うれしい」
「わしもじゃ」
僕らは朝ごはんを堪能する。
*
「ところでマーリン様、朝ご飯はアーキに作ってもらって食べられたんですけど、調べてみたら、ガスも電気の他に水道も止まっていました。これから炊事仕事はどうすればいいんでしょうか?」
さすがに、コンロ代わりの炉が一つしかないので夕ご飯を錬金術セットで作るのは少し厳しいかもしれない。
「水道もか……フェアリーが皆居なくなったんじゃから当然かの……」
師匠は長く白い顎髭を撫でつけながら考え込む。
そんなとこに女の人の声が……。
「あらあら、たいへんね」
「ウィスダムじゃないか。久しぶりじゃのう」
そこにはとっても露出度の高い魔女のような服装の、とってもグラマラスなお姉さんが立っていた。
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