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幸運の錬金術士はマナゲイン作りに勤しむ
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マナゲインを安定して作るべく僕は錬金術の修行を続けていた。
マナゲインを作っていてわかったことは、マナゲインの最終工程である魔力注入工程が非常に重要だということだ。
魔力注入工程の下準備である素材を物理的に加工する錬成工程まで完璧な出来であっても、魔力注入工程の出来が良くないと途端に変質し品質が劣化する。
逆に錬成工程の出来が今一つであっても魔力注入工程さえしっかりと済ませれば、それまでの失敗をすべて取返し良品といったレベルのマナゲインが出来上がる。
魔力注入を慎重に行うようにすると低品質な物が出来ることは殆どなくなり、上質な物ばかりが出来るようになった。
この調子なら量産も出来そうだと手応えを感じる。
リサさんに試作品のマナゲインの売り上げを確認すると、あまりうれしそうな顔をされなかった。
「アーキ君だから教えるけど、思ってたよりも売れてないわね」
「僕の錬金の質がまずかったんですか?」
「アーキ君の錬金が原因じゃないわ」
「じゃあ、どうして?」
「マナゲインは強敵と戦ってMPが切れそうになった時にMPを回復するのに飲む薬なの。なんて言うかな、ここぞと言うときに飲む薬なのよね。でもね、こんな平和な村じゃマナゲインを飲まないと倒せないような強敵なんて滅多にお目にかかれないのよ」
確かにそうかもしれない。
この村の周りで良く出会う強敵と言えばホワイトウルフたちで、一人で群れを倒すのは辛いけどパーティならケガ人も出ないぐらいの雑魚だったりする。
それ以上の強敵のダッフルベアなんて滅多に現れないしな。
僕はリサさんの言葉に納得した。
「マナゲインは最初の頃こそ格安だったから魔道士たちの手持ちの非常用薬品の予備の補充に売れたけど、そのあとはサッパリね」
「じゃあ、これ以上作るのは止めた方がいいのかな?」
「ダメよ。マナゲインの錬金が絶対に失敗しなくなるぐらいまで錬金の練習を頑張ってね。失敗がなくなれば価格を引き下げることが出来るから、マナゲインの使い方が変わって普段の依頼中にも魔道士たちが飲むようになって売れるかもしれないし、今の錬金はあくまでも訓練で投資なんだから売り上げやお金のことは気にしなくていいわ」
僕はリサさんの言葉に甘えてマナゲインを作り続けることになった。
*
それから一週間ぐらいマナゲインを作り続けているとかなり慣れてきたのか、前処理の錬成工程でミスをしていても上質なマナゲインが作れるようになった。
おまけにハイクオリティー品も10本に一本ぐらい作れるようになってきた。
もう、慎重に魔力注入をしなくても失敗はなさそうだ。
たぶんマナゲイン作りは極めた。
「もうこの辺りでマナゲイン作りの練習はもういいかな?」
いつもの行商人さんと商談をして戻ってきたリサさんにもうマナゲインを作らなくていいかと話すと本気で怒られた。
「アーキ君、やめちゃダメよ!」
「続けていいんですか?」
「マナゲインのハイクオリティー品を鑑定してもらったら、なんとマナエーテルだったのよ!」
「マナエーテル?」
マナエーテルと言えば上級錬金術士の錬金術の腕前の証みたいなものだ。
それが錬金術を始めてすぐの僕に作れたって?
信じられない!
僕は自分の錬金術の腕前の凄さを信じられなかった。
リサさんも信じられないみたいだ。
僕の錬金術の腕じゃなく小瓶の値段だけど……。
「50万よ! 50万! 信じられる? あのちっちゃい小瓶一本で50万なのよ! ボロ儲けよ! 全部ハイクオリティー品を作れるようになるまで練習していいわ! いや、むしろしてください!」
凄い勢いでお願いされた。
僕は気がついたらエーテルまで作れる錬金術士になっていたのだ。
もちろん幸運のステータスのお陰だがアーキは知らない。
アーキの絶好調はまだまだ続く。
マナゲインを作っていてわかったことは、マナゲインの最終工程である魔力注入工程が非常に重要だということだ。
魔力注入工程の下準備である素材を物理的に加工する錬成工程まで完璧な出来であっても、魔力注入工程の出来が良くないと途端に変質し品質が劣化する。
逆に錬成工程の出来が今一つであっても魔力注入工程さえしっかりと済ませれば、それまでの失敗をすべて取返し良品といったレベルのマナゲインが出来上がる。
魔力注入を慎重に行うようにすると低品質な物が出来ることは殆どなくなり、上質な物ばかりが出来るようになった。
この調子なら量産も出来そうだと手応えを感じる。
リサさんに試作品のマナゲインの売り上げを確認すると、あまりうれしそうな顔をされなかった。
「アーキ君だから教えるけど、思ってたよりも売れてないわね」
「僕の錬金の質がまずかったんですか?」
「アーキ君の錬金が原因じゃないわ」
「じゃあ、どうして?」
「マナゲインは強敵と戦ってMPが切れそうになった時にMPを回復するのに飲む薬なの。なんて言うかな、ここぞと言うときに飲む薬なのよね。でもね、こんな平和な村じゃマナゲインを飲まないと倒せないような強敵なんて滅多にお目にかかれないのよ」
確かにそうかもしれない。
この村の周りで良く出会う強敵と言えばホワイトウルフたちで、一人で群れを倒すのは辛いけどパーティならケガ人も出ないぐらいの雑魚だったりする。
それ以上の強敵のダッフルベアなんて滅多に現れないしな。
僕はリサさんの言葉に納得した。
「マナゲインは最初の頃こそ格安だったから魔道士たちの手持ちの非常用薬品の予備の補充に売れたけど、そのあとはサッパリね」
「じゃあ、これ以上作るのは止めた方がいいのかな?」
「ダメよ。マナゲインの錬金が絶対に失敗しなくなるぐらいまで錬金の練習を頑張ってね。失敗がなくなれば価格を引き下げることが出来るから、マナゲインの使い方が変わって普段の依頼中にも魔道士たちが飲むようになって売れるかもしれないし、今の錬金はあくまでも訓練で投資なんだから売り上げやお金のことは気にしなくていいわ」
僕はリサさんの言葉に甘えてマナゲインを作り続けることになった。
*
それから一週間ぐらいマナゲインを作り続けているとかなり慣れてきたのか、前処理の錬成工程でミスをしていても上質なマナゲインが作れるようになった。
おまけにハイクオリティー品も10本に一本ぐらい作れるようになってきた。
もう、慎重に魔力注入をしなくても失敗はなさそうだ。
たぶんマナゲイン作りは極めた。
「もうこの辺りでマナゲイン作りの練習はもういいかな?」
いつもの行商人さんと商談をして戻ってきたリサさんにもうマナゲインを作らなくていいかと話すと本気で怒られた。
「アーキ君、やめちゃダメよ!」
「続けていいんですか?」
「マナゲインのハイクオリティー品を鑑定してもらったら、なんとマナエーテルだったのよ!」
「マナエーテル?」
マナエーテルと言えば上級錬金術士の錬金術の腕前の証みたいなものだ。
それが錬金術を始めてすぐの僕に作れたって?
信じられない!
僕は自分の錬金術の腕前の凄さを信じられなかった。
リサさんも信じられないみたいだ。
僕の錬金術の腕じゃなく小瓶の値段だけど……。
「50万よ! 50万! 信じられる? あのちっちゃい小瓶一本で50万なのよ! ボロ儲けよ! 全部ハイクオリティー品を作れるようになるまで練習していいわ! いや、むしろしてください!」
凄い勢いでお願いされた。
僕は気がついたらエーテルまで作れる錬金術士になっていたのだ。
もちろん幸運のステータスのお陰だがアーキは知らない。
アーキの絶好調はまだまだ続く。
応援ありがとうございます!
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