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第19話 念願のご対面
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~アメリア視点~
「わぁ~、すごい!」
王城を訪れるのは初めてだった。やはり、レベルが違うわ。漂う風格も格式も。そして、ここに愛しいあのお方、レオルド様がいらっしゃるのね。あたしはもう、馬車に揺られている最中からずっと、ドキドキが止まらなかった。あたしがここまで緊張するなんて、本当に珍しいことなのだ。
「ねえねえ、お姉さま。レオルド様と話したことあるの?」
「え、ええ、まあ少しだけ」
「ふぅ~ん?」
まあ、お姉さまは奥手な性格だから、せっかくレオルド様と会うチャンスがあっても、世間話くらいで終わってしまうだろう。その点、積極的なあたしはガンガンアピールして、何ならそのまま子作りへと持って行って……って、それはちょっとはしたないわね。さすがに自重しましょう。これからお会いするのは、今までの男たちとは一線を画すレベルのお方なのだから。
「ようこそ、いらっしゃいました、ユリナ様。殿下は中庭にてお待ちです」
「はい、ありがとうございます」
家臣の人に案内されて、あたしはとうとう……
「――やあ、よく来たね」
ぶわっと、花吹雪が舞うようだった。そのルックス、声、出で立ち、微笑み。全てが完璧な王子様がそこにいらっしゃった。
「あ、レオルド様、こんにち……」
「レオルド様! お会い出来て光栄ですわ!」
あたしはお姉さまを差し置いて、彼にごあいさつをした。
「えっと……君は?」
「あ、申し遅れました。あたし、アメリアと申します。こちらの聖女であるユリナお姉さまの妹でございます」
あたしはニコニコとしながらそう言った。しかし……
「……ああ、君がそうなのか」
なぜか、レオルド様は微妙な顔をされた。えっ? どういうこと?
「やあ、ユリナ。こんにちは」
「こ、こんにちは」
打って変わって、レオルド様はお姉さまに飛び切りの笑顔を浮かべる。お姉さまは、生娘みたいに顔をうつむけたまま。ちょっと、面白くないんだけど。
「さあ、どうぞ座って。せっかくだから、妹さんもどうぞ」
「アメリアです、失礼します」
あたしは笑顔がひび割れそうになるのを堪えながら、席に座った。
「それにしても驚いたな」
「え、何がですか?」
「いや、君たち姉妹は絶縁したと聞いていたから、まさかこんな風に姉妹そろって会いに来るなんてね」
あたしは冷や汗が垂れそうになった。チラリ、とお姉さまに目を向ける。お姉さまは、ちょっと申し訳なさそうな顔をした。
「ユリナが責められる道理はないだろう? 君たち家族が、彼女を追放したのだから」
サーッ、と今度は明確に血の気が引いて行く。
「そ、それは……お、お父さまとお母さまがいけないんです。あたしは、お姉さまと別れることがさみしくって……」
「まあ、それはもう過ぎたことだから、どうでも良い。彼に過去の罪人だったとしても、今しっかりと反省して真っ当な人間になっていれば問題ないからさ……君はどうだろうね?」
レオルド様は初めて、あたしに微笑みを向けてくれる。
それなのに、冷や汗が止まらないのはなぜだろうか?
「わぁ~、すごい!」
王城を訪れるのは初めてだった。やはり、レベルが違うわ。漂う風格も格式も。そして、ここに愛しいあのお方、レオルド様がいらっしゃるのね。あたしはもう、馬車に揺られている最中からずっと、ドキドキが止まらなかった。あたしがここまで緊張するなんて、本当に珍しいことなのだ。
「ねえねえ、お姉さま。レオルド様と話したことあるの?」
「え、ええ、まあ少しだけ」
「ふぅ~ん?」
まあ、お姉さまは奥手な性格だから、せっかくレオルド様と会うチャンスがあっても、世間話くらいで終わってしまうだろう。その点、積極的なあたしはガンガンアピールして、何ならそのまま子作りへと持って行って……って、それはちょっとはしたないわね。さすがに自重しましょう。これからお会いするのは、今までの男たちとは一線を画すレベルのお方なのだから。
「ようこそ、いらっしゃいました、ユリナ様。殿下は中庭にてお待ちです」
「はい、ありがとうございます」
家臣の人に案内されて、あたしはとうとう……
「――やあ、よく来たね」
ぶわっと、花吹雪が舞うようだった。そのルックス、声、出で立ち、微笑み。全てが完璧な王子様がそこにいらっしゃった。
「あ、レオルド様、こんにち……」
「レオルド様! お会い出来て光栄ですわ!」
あたしはお姉さまを差し置いて、彼にごあいさつをした。
「えっと……君は?」
「あ、申し遅れました。あたし、アメリアと申します。こちらの聖女であるユリナお姉さまの妹でございます」
あたしはニコニコとしながらそう言った。しかし……
「……ああ、君がそうなのか」
なぜか、レオルド様は微妙な顔をされた。えっ? どういうこと?
「やあ、ユリナ。こんにちは」
「こ、こんにちは」
打って変わって、レオルド様はお姉さまに飛び切りの笑顔を浮かべる。お姉さまは、生娘みたいに顔をうつむけたまま。ちょっと、面白くないんだけど。
「さあ、どうぞ座って。せっかくだから、妹さんもどうぞ」
「アメリアです、失礼します」
あたしは笑顔がひび割れそうになるのを堪えながら、席に座った。
「それにしても驚いたな」
「え、何がですか?」
「いや、君たち姉妹は絶縁したと聞いていたから、まさかこんな風に姉妹そろって会いに来るなんてね」
あたしは冷や汗が垂れそうになった。チラリ、とお姉さまに目を向ける。お姉さまは、ちょっと申し訳なさそうな顔をした。
「ユリナが責められる道理はないだろう? 君たち家族が、彼女を追放したのだから」
サーッ、と今度は明確に血の気が引いて行く。
「そ、それは……お、お父さまとお母さまがいけないんです。あたしは、お姉さまと別れることがさみしくって……」
「まあ、それはもう過ぎたことだから、どうでも良い。彼に過去の罪人だったとしても、今しっかりと反省して真っ当な人間になっていれば問題ないからさ……君はどうだろうね?」
レオルド様は初めて、あたしに微笑みを向けてくれる。
それなのに、冷や汗が止まらないのはなぜだろうか?
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