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215.里佳の事情③
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「鉄は? 鉄の備蓄は充分にあったと思うけど」
檻を作って人獣の攻撃を防ぐと聞いて、勇吾に尋ねた。
「鉄かぁ……」
「動物園の檻のイメージね」
と伝えてから、スマホで調べる。
交信は2回目だけど、前回と同じなら残り時間は少ないはず。ネズミの国のトイレの中でサクサク操作する。
「なるほど、動物園な!」
「鉄製も多いけど、ステンレスの方が強いみたい」
「おおっ……。スマホ……」
さらに調べる。
「ステンレスは、鉄にクロムを10.5%、炭素を1.2%加えてつくるみたい」
「そ、そうか……」
「ほら、あの娘。なんて言ったっけ? 司空府でミンリンの下についてる、紅い髪の娘」
「シーシ?」
「そう! シーシ。あの娘なら、教えたら作れると思うんだけど」
ミンリンを追いかけてジーウォに行ってしまったけど、王都でも知る人ぞ知る『なんでも出来る娘』だった。あの娘なら、なんとかしてくれるはず……。
交信はいつ途切れるか分からない。手元ではスマホの操作を続けてクロムを調べる。
「クロムって……」
「うん。今、調べてる」
画像を開く。
「あっ。これ見たことある」
「ホント?」
「祖霊廟の装飾に使ってるやつだ。えっと……、輝鉄だ。そっちでは輝鉄って呼ばれてたはず」
「分かった。輝鉄を10.5%、炭を1.2%だな?」
「うん、そう! でも、今、ネットで調べただけだから、深追いしないでね。鉄製の檻もいっぱいあるみたいだし」
「分かった! シーシに伝えるよ」
「ダーシャンに金属を混ぜるっていう発想はなかったと思うの。だから、シーシに教えたらステンレスは無理でも、なにかやってくれるんじゃないかって思う」
「そうか! シーシだもんな」
「ふふっ。仲良くやってるんだ?」
「そ、そうだな……。仲良く……、してもらってるよ……」
と、勇吾の目が泳いだ。
バカね。ほかの女子と仲良くしてるからって、私はヤキモチ妬いたりしないのに。勇吾、可愛い。
「ミンリンにも、よろしく伝えてね」
「わ、分かった……」
「シアユンにも」
「う、うん……」
「ツイファも」
「そ、そだね……」
「ユーフォンも」
「わ、わかった……」
可愛い。
女子の名前を出す度に目を泳がせてる。私のことが大好きで、純潔の乙女たちに手を出さなかっただけのことはある。
と、そこで、交信の光が弱まり始めた。
「また28日後」
と、勇吾が笑った。
私にとっては明日だけど、その間、勇吾は食糧も乏しい中、最後の決戦を挑む。
もどかしくてたまらないけど、私に出来ることはない。
「勇吾……」
「なに?」
「好きだよ」
「えっ?」
「えって、何よ」
「あ、ごめん」
「勇吾は?」
「……す、好きだよ」
「ふふっ。絶対、勝ってね」
「うん、分かった……」
と、そこで交信は途絶えた。
ネズミの国の賑やかさが耳に戻ってくる。
向こうでは、また28日が過ぎる。全部の結果が出ているかもしれない。人獣を討ち果たしているか、それとも……。
ううん。私の彼氏が頑張ってるんだ。
悪いことは考えない! きっとやってくれる。勇吾ならきっと……。
その時、トイレの個室のドアをコンコンッとノックする音がした。
「あのぉ……、お客様? 何か光ってたようなんですけど……?」
交信の光が外に漏れてたのか。
「あ、いえ……、大丈夫です」
「苦情が入ってたもので……」
「あの……、スマホが爆発しちゃいそうになって」
「ええ!?」
「も、もう直ったんで大丈夫です!」
我ながら、ウソが下手すぎる……。
檻を作って人獣の攻撃を防ぐと聞いて、勇吾に尋ねた。
「鉄かぁ……」
「動物園の檻のイメージね」
と伝えてから、スマホで調べる。
交信は2回目だけど、前回と同じなら残り時間は少ないはず。ネズミの国のトイレの中でサクサク操作する。
「なるほど、動物園な!」
「鉄製も多いけど、ステンレスの方が強いみたい」
「おおっ……。スマホ……」
さらに調べる。
「ステンレスは、鉄にクロムを10.5%、炭素を1.2%加えてつくるみたい」
「そ、そうか……」
「ほら、あの娘。なんて言ったっけ? 司空府でミンリンの下についてる、紅い髪の娘」
「シーシ?」
「そう! シーシ。あの娘なら、教えたら作れると思うんだけど」
ミンリンを追いかけてジーウォに行ってしまったけど、王都でも知る人ぞ知る『なんでも出来る娘』だった。あの娘なら、なんとかしてくれるはず……。
交信はいつ途切れるか分からない。手元ではスマホの操作を続けてクロムを調べる。
「クロムって……」
「うん。今、調べてる」
画像を開く。
「あっ。これ見たことある」
「ホント?」
「祖霊廟の装飾に使ってるやつだ。えっと……、輝鉄だ。そっちでは輝鉄って呼ばれてたはず」
「分かった。輝鉄を10.5%、炭を1.2%だな?」
「うん、そう! でも、今、ネットで調べただけだから、深追いしないでね。鉄製の檻もいっぱいあるみたいだし」
「分かった! シーシに伝えるよ」
「ダーシャンに金属を混ぜるっていう発想はなかったと思うの。だから、シーシに教えたらステンレスは無理でも、なにかやってくれるんじゃないかって思う」
「そうか! シーシだもんな」
「ふふっ。仲良くやってるんだ?」
「そ、そうだな……。仲良く……、してもらってるよ……」
と、勇吾の目が泳いだ。
バカね。ほかの女子と仲良くしてるからって、私はヤキモチ妬いたりしないのに。勇吾、可愛い。
「ミンリンにも、よろしく伝えてね」
「わ、分かった……」
「シアユンにも」
「う、うん……」
「ツイファも」
「そ、そだね……」
「ユーフォンも」
「わ、わかった……」
可愛い。
女子の名前を出す度に目を泳がせてる。私のことが大好きで、純潔の乙女たちに手を出さなかっただけのことはある。
と、そこで、交信の光が弱まり始めた。
「また28日後」
と、勇吾が笑った。
私にとっては明日だけど、その間、勇吾は食糧も乏しい中、最後の決戦を挑む。
もどかしくてたまらないけど、私に出来ることはない。
「勇吾……」
「なに?」
「好きだよ」
「えっ?」
「えって、何よ」
「あ、ごめん」
「勇吾は?」
「……す、好きだよ」
「ふふっ。絶対、勝ってね」
「うん、分かった……」
と、そこで交信は途絶えた。
ネズミの国の賑やかさが耳に戻ってくる。
向こうでは、また28日が過ぎる。全部の結果が出ているかもしれない。人獣を討ち果たしているか、それとも……。
ううん。私の彼氏が頑張ってるんだ。
悪いことは考えない! きっとやってくれる。勇吾ならきっと……。
その時、トイレの個室のドアをコンコンッとノックする音がした。
「あのぉ……、お客様? 何か光ってたようなんですけど……?」
交信の光が外に漏れてたのか。
「あ、いえ……、大丈夫です」
「苦情が入ってたもので……」
「あの……、スマホが爆発しちゃいそうになって」
「ええ!?」
「も、もう直ったんで大丈夫です!」
我ながら、ウソが下手すぎる……。
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