32 / 114
二章◆お姫様みたい◆
32
しおりを挟む
嬉しいやら照れくさいやらな気持ちが渦巻いて胸がいっぱいになり、気持ちが溢れ出てくる。
琴葉は俯きながらも今まで誰にも言えなかった気持ちを吐露した。
「そんな風に言ってもらえて嬉しいです。私、まだまだ半人前で、本当は一人でお店をするのが怖いんです。何度も辞めようって思って、でもその度にminamiのパンが好きって言ってくださるお客様を思い出して…。半分は意地でここまでやってきました。今日、早瀬さんにそう言ってもらえて、私これからも頑張れそうです。」
ぐすっと鼻をすすりながらも笑顔を向けると、雄大は殊更優しい視線を送りながら琴葉の目尻を拭う。
「琴葉、好きだよ。」
そのまま優しい口調で言われ、琴葉は一瞬時が止まった。
「えっ、あのっ。」
「キスしたい。」
そっと耳元で囁かれたその言葉は琴葉にとっては刺激が強すぎて思わず椅子を引いて身構えるが、雄大がそれをまた強引に引き寄せる。
「い、いやいやいや。何をおっしゃっているんですか。ここではダメです。」
カウンター席なので、大将からも他の客からも丸見えだ。
そんなところに座っているのにキスとかあり得ないし、ましてや公開するものでもない。
妙な想像をしてしまい、琴葉はぐんぐんと体温が上がってしまう。
「ここじゃなければいい?」
「い、いえ、ダメです。お付き合いもしていないのに。」
「俺と付き合ってよ。」
予想だにしない雄大の告白に、琴葉は困惑した。
「えええ…どうしたら。」
頬を真っ赤に染めながらも頑なに首を縦に振らない琴葉に、雄大は苦笑いをした。
「手強いなぁ、琴葉は。」
それでもなお、優しい視線を送ってくる雄大に、琴葉は胸が張り裂けんばかりになる。
頬が熱く両手で隠すように覆うも、なかなか熱が引いてくれない。
「もう、早瀬さんが変なこと言うから。」
琴葉はぷうと膨れて見せたが、雄大にはその姿さえ可愛く見えるのだから、もう重症と言わざるを得ない。
琴葉が好きだと改めて実感したのだった。
琴葉は俯きながらも今まで誰にも言えなかった気持ちを吐露した。
「そんな風に言ってもらえて嬉しいです。私、まだまだ半人前で、本当は一人でお店をするのが怖いんです。何度も辞めようって思って、でもその度にminamiのパンが好きって言ってくださるお客様を思い出して…。半分は意地でここまでやってきました。今日、早瀬さんにそう言ってもらえて、私これからも頑張れそうです。」
ぐすっと鼻をすすりながらも笑顔を向けると、雄大は殊更優しい視線を送りながら琴葉の目尻を拭う。
「琴葉、好きだよ。」
そのまま優しい口調で言われ、琴葉は一瞬時が止まった。
「えっ、あのっ。」
「キスしたい。」
そっと耳元で囁かれたその言葉は琴葉にとっては刺激が強すぎて思わず椅子を引いて身構えるが、雄大がそれをまた強引に引き寄せる。
「い、いやいやいや。何をおっしゃっているんですか。ここではダメです。」
カウンター席なので、大将からも他の客からも丸見えだ。
そんなところに座っているのにキスとかあり得ないし、ましてや公開するものでもない。
妙な想像をしてしまい、琴葉はぐんぐんと体温が上がってしまう。
「ここじゃなければいい?」
「い、いえ、ダメです。お付き合いもしていないのに。」
「俺と付き合ってよ。」
予想だにしない雄大の告白に、琴葉は困惑した。
「えええ…どうしたら。」
頬を真っ赤に染めながらも頑なに首を縦に振らない琴葉に、雄大は苦笑いをした。
「手強いなぁ、琴葉は。」
それでもなお、優しい視線を送ってくる雄大に、琴葉は胸が張り裂けんばかりになる。
頬が熱く両手で隠すように覆うも、なかなか熱が引いてくれない。
「もう、早瀬さんが変なこと言うから。」
琴葉はぷうと膨れて見せたが、雄大にはその姿さえ可愛く見えるのだから、もう重症と言わざるを得ない。
琴葉が好きだと改めて実感したのだった。
40
あなたにおすすめの小説
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
神楽坂gimmick
涼寺みすゞ
恋愛
明治26年、欧州視察を終え帰国した司法官僚 近衛惟前の耳に飛び込んできたのは、学友でもあり親戚にあたる久我侯爵家の跡取り 久我光雅負傷の連絡。
侯爵家のスキャンダルを収めるべく、奔走する羽目になり……
若者が広げた夢の大風呂敷と、初恋の行方は?
氷雨と猫と君〖完結〗
カシューナッツ
恋愛
彼とは長年付き合っていた。もうすぐ薬指に指輪をはめると思っていたけれど、久しぶりに呼び出された寒い日、思いもしないことを言われ、季節外れの寒波の中、帰途につく。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写と他もすべて架空です。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる