小さなパン屋の恋物語

あさの紅茶

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一章◆ぜひ常連さんに◆

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翌日の昼休み、雄大は思い立って昨日地図で場所を確認した【小さなパン屋minami】へ足を運んだ。
住宅街の路地を曲がると可愛らしい小さな立看板があり、迷うことなくここだとわかる。
隠れ家のような小さな店だが、ガラス張りの窓に大きく開かれた入口。
客が数人並んでいて人気店なのかと思わせたが、近づいてみてその理由がわかった。
店内が狭いのだ。
自分で好きなパンを選んでレジに持っていくスタイルではなく、珍しくショーケースに並べられているパンたち。
まるで洋菓子店のようだ。

斬新なスタイルに惹かれて、雄大は列に並んだ。
普段は行列なんて面倒で敬遠するのに、何故だか並んでみようという気持ちになったのだ。
行列といっても数人なので、思ったよりすぐに店内へ入ることができた。

店内は外からの光りが柔らかく差し込んで明るく、落ち着いた色合いで統一されている。
スペース的には小さいはずなのに床に視覚効果が施されているのか、小ささを感じさせない空間デザインだ。
なるほどと感心していると、先にいた客が会計を済ませて出ていった。

「お決まりでしたらお申し付けください。」

声をかけられそちらを見ると、可愛らしいエプロンと三角巾を身に纏った店員にニコリと微笑みかけられ、はっと我に返る。
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