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7.過去の清算

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私は無力だ。
智光さんは私のためにいろいろなことをしてくれたのに、私は何もできない。ただ隣にいて手を握ることくらいしかできないなんて、なんてちっぽけなのだろう。

『いざとなったら智光さんが助けてくれるんですよね』
『当然だ』

あのときの会話が悔やまれる。
こんな風に守って貰うなんて思いもよらなかった。
悔やんでも悔やみきれずに胸が苦しい。

それに、一番つらいのは智光さんのご両親だと思うのに、不甲斐ない私を励ましてくれた。その心の広さがありがたいのに、今の私にはつらすぎてどうしようもない。いっそのこと私を責め立ててほしかった。お前が悪いのだと。私のせいでこうなったのだと。

智光さんと結婚しなければこんなことにはならなかったのかな……。

ふとそう考えるけれど、答えは出ない。
私の中の浅ましい気持ちが、智光さんと離れたくないと駄々をこねている。

お義母さんとお義父さんが教えてくださった。もしかしたら私を励ますために誇張されたのかもしれないけれど……。

「……智光さん、私のこと大切に想っているって……本当ですか?」

智光さんは慈悲深いから。だから優しいんだと思っていたけれど、本当のところはどう思っているんだろうか。そういえば智光さんの気持ちを聞いたことがないような気がする。

「智光さん……目を覚ましてください」

手を握っても反応はない。寂しくて悲しくて、また涙がじわりとわいて視界がぼやけていく。

「お願い……智光さん……」

呼びかけはむなしく、夜の闇に消えていった。
散々泣いたのに、涙は枯れることを知らないようだ。
私はただ祈ることしかできなかった。
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