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見たいな…。
しおりを挟む熱もすっかり下がって、ひとまず日常生活を送れるようになりました。
そろそろ、この家を出て行かないと。
僕は、朝から機会をうかがっていた。
あの事件以来、すっかり過保護に拍車がかかった兄は、できるだけ僕の側を離れない。
ちょっと食事をつくりに席を立っても、兄が一緒に来るのだ。
いつの間にか後ろから抱きしめられ、腰とか抱かれた日には…。
「兄さん…どうしたの…くすぐったいよ…」
と、離れようとしても、兄は中々離れてくれず、うなじに顔を埋めてくる始末。
もしや、一服盛ろうとしているのを気づかれているのだろうか。有り得る。何せ兄さんは一流の殺し屋。僕から殺気みたいなものが出てしまっているのかな。
もちろん、盛ろうとしているのは媚薬であって毒では無いけど。
「……」
試しに、念を込めて兄を見つめてみたら…
「…あまり見つめるな……俺を試しているのか」
と、バレてしまい、髪の毛をグシャグシャにされた。
やはり、僕から溢れ出る不穏な計画を感じ取っているんだ。
そんな密着して過ごす数日を経て、やっと兄が出かけた。
「ちょっと出てくる、すぐ戻る」
そう言っていたので、僕は超特急でゼリーを作った。
名付けて『媚薬ひたひたゼリー、リンゴ味』だ。その名前の通り、目薬一本分の媚薬を全部入れて作ったゼリーです。
リンゴ味にしたのは、兄がまぁまぁ好きな味だからだ。凄く好きな食べ物に盛られたら、トラウマになってしまうかもしれないから、ぶどう味は辞めておいた。
「そもそも…僕が媚薬を入れたって気づくかなぁ?」
まぁ、とにかく…これを冷蔵庫に入れておけば、きっとそのうち食べてくれるはず。
そして兄に媚薬の効果が出てきたら、この部屋から逃げる!
「ごめんね…兄さん」
きっと一晩中、右手が忙しくなって…僕を追ってこられないはず。
あぁ…媚薬に犯される兄さん…ちょっと…ちょっとだけ……見たい。
「嘘です!凄い見たい!見学したいよぉ!」
僕は顔を押さえて、ベッドの上をゴロゴロと転がった。
兄さんは、BLゲームの主人公になる程の、美青年で一流の殺し屋。
鍛え抜かれたしなやかな筋肉が汗びしょになり…艶やかなショートの黒髪が顔に張り付いて…エロい!!
小さめの乳首はツンと立ち上がって、綺麗だけど立派なサイズのペニスは吐精しまくり!
普段は鋭い目つきが…涙ぐんだり!
あの美声で喘いだり!
あああああ!スチルじゃ物足りない!生でも見てみたい!
自分の厭らしい妄想に、ゴクリと唾を飲む。
もう兄さんに会えない悲しさとか、寂しさとかを…エロスで誤魔化す!
そこら辺の廃墟で一人寝る事になっても、兄さんの艶姿を思い出せば、きっと元気が出るはずだよ。
なんか、もしかしたら…僕ってバイウーと気が合うのかもしれない。
バイウーがゲームの中で、兄さんに媚薬つかって玩具で色々してたの…凄い共感出来る。
まぁ、僕はバイウーみたいに、色気と男気に溢れた大人の男じゃないけどね。
うん、あの男も反則だよね。
この前見逃してくれたから、大きな声じゃ批判できないけれど。
「…うーん。あの貸しはどうやって返せばいいのかな」
バイウーの利益になるような事なんて何も出来ない。
うーん。
バイウーの未来って、この後どうなるんだっけ?
兄さんと結ばれ無いルートだよね。
確か、兄さんと結ばれないルートの攻略キャラって、結構ハードだった気がする。
戦闘、裏切り、事件…。
バイウーは、組織に潜入している攻略キャラの怜悧な警察官に撃たれて、死なないけど重症を負って、組織の幹部も数人逮捕されて、持ち直すのに数年かかるみたいな話だった。
「バイウー…ピンチじゃないか」
攻略キャラには、勝手に親近感あるけど…関わったバイウーの事は、より気になる。
バイウーが撃たれて重傷…。
痛いだろうな…苦しいだろうな。
僕なんて、しょっちゅう体調崩しているけど、その度にヒーヒー言っているし、気分も落ちている。
それでも、笑っていられるのは、やっぱり兄さんが居るからで…。
バイウーには、兄さんという女神が降臨しなければ、誰も居ない。
きっと、暗い裏路地とかで苦しむんだ。
「……そんな……」
どうしよう。
それは嫌だ。簡単に見捨てられない。
この部屋を出たら、バイウーに手紙でも書こうかな。
いや…海を牛耳る組織のボスに手紙ってどうやって届けるの。
「……んん…」
「ただいま…ヒナタ」
「おっ…お帰り兄さん!」
頭を抱えていると、兄が帰ってきた。
兄さんって足音しないから、突然現れて…びっくりする。
「大人しくしていたか?気分は?」
「もう大丈夫だってば、心配しすぎだよ」
帰って来るなり、兄さんは、僕のおでこに自分の額をつけてきたので、苦笑して、その頭を押しやった。
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