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第一章:皇帝と寵姫の秘密。
信じる姿で充分、愛する理由も充分。
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ふと私が目を覚ますと目の前にルイが居た。
ベッドの上で寝てるのも判る。
だから何も言わないまま…
またルイを、良く見て思う。
やっぱり私と似てる?
兄だから?
瞳は閉じてるから判らないけど…
色白な肌だし?
でも唯一、私と違う綺麗な金色の髪。
ふと、私も少しだけ読んだ本を。
思い出すと余計…
僅かに覚えてる、あの暗い場所もだった。
私はルイも見ながら小さく…
「やっぱり…
私は要らない忌み…」
「違うぞ?
ルカは忌み子ではない。」
ルイの言葉が私の言葉を遮った。
そのまま私も見てると同じエメラルドの瞳が…
ゆっくりと開いた。
起こしちゃった?
でも…
私は何も言えないまま…
どうにか言葉も探すけど…
すぐルイの右手が、スッと自然に動いた。
優しく私の左頬へ。
僅かに触れてから、いつもと同じ優しい声で…
「ルカ?
いつも俺が言ってるだろう?
ルカは忌み子ではないと。
俺はルカを、誰よりも愛してる。
そして唯一の特別もルカだけだよ?」
また私はルイから、いつもの言葉も聞いた。
だから目だけ閉じた。
僅かにしか言えないけど…
私は…
「あのね、ルイ?
いつも、そう…
ルイだけなのに…
でも本に…
書いてあったよ?
家族は親愛でと、兄妹ではと…
それだと、やっぱり…」
私にはルイ以外?
家族も居ないのに?
そうしたら、やっぱり私は一人へ?
途中で言えなくなると、すぐだった。
「ルカ?
大丈夫だ、心配しなくて良い。
俺は何も変わらない。
そしてルカはね?
気付いてないだけなのだよ?」
ルイの声と内容に驚いた。
私も目を開けると優しく笑うルイが。
また…
「ルカ?
落ち着いて聞いておくれ?
そして良く思い出してごらん。
その本は他国の事を、だろう?
ならば、全て他国の言語になるが。
ルカは判らなくて全部を、だろう?
内容は判らなかった筈。
違うかな?」
そこで私もだった。
ルイに言われた言葉で良く思い出しながら…
同時に考える。
そう、あれは他国の本で…
だから私には…
全部を?
「う、うん。
ルイの?
言う通りで全部は…
判らなかったけど?」
どうにか言うとルイは優しく…
私の頭も撫でてきた。
笑ってるのも判って、ただ見てると。
「ルカも少し気付いた様だね?
つまり、ルカは本の内容もだ。
何も判ってないのだよ?
だから俺が教えるから…
そのまま聞いてごらん?
全て他国の言語。
全て他国の風習。
全て他国の常識。
この帝国と、何も関係ないだろう?」
もうルイの言った言葉と内容に驚くしかない。
それは!!
更にルイは軽く私も抱き寄せてから…
すぐ耳元でだった。
優しい声のまま…
「ルカも気付いたね?
つまり他国の決まり。
他国の考え方なだけだよ?
この帝国とは違うのだ。
他国と帝国。
違うのは当たり前だろう?」
そのまま私も…
「ルイ?
それは他国の決まりで?
私が言語も全て判らなかったから…
だから間違えてるの?」
聞けば、また、すぐルイもだった。
「そうだよ、ルカ。
この帝国には関係ない事。
他国の話と言うだけ、だろう?
俺やルカには何も関係ないと判ったかな?
そして俺はルカだけ愛してる。
唯一の特別もルカだけと言ってる筈。
それすら何も変わらないのだよ。
だからルカ?
大丈夫だ…」
私もルイの言った意味に気付く。
だから大丈夫と?
ルイも一緒で前と変わらない?
もう一人にならないと!?
嬉しくて私は笑う。
「ルイ!!
今の言葉で私にも判ったよ!!
言語も全部、判らなかったけど?
でも他国の事と、この帝国。
違うのが普通だし?
私が間違えてたんだね!?」
言うと、すぐ抱き締めてた腕も緩めて…
ルイも優しく笑った。
そして今度はスッと私へ。
軽くキスを、してから…
「あぁ、ルカは本当に…
可愛いな、だが、俺もだ。
そうして笑うルカを、見れて嬉しいよ。
もう心配すらないだろう?」
ルイの言ってきた事に私もだった。
納得しながら笑って頷く。
「うん、ルイは凄いなぁ!!
でも、ごめんね?
最初から私もだし?
ちゃんと言語も覚えてたら大丈夫だったね。
もっと勉学を、でしょう?
私も頑張るよ!!」
そう言うとルイも同じで、いつもの様に笑った。
優しいのも変わらないルイを、私も見てた。
「ルカも充分、頑張ってるよ。
そしてルカが謝る事もない。
本来ならば、あんな本で…
ルカに勘違いさせた講師が悪いのだ。
これでルカも安心しただろう?
あの時間は帝国史の筈。
読ませる必要すらない他国の本だぞ?
更に、こんな簡単な事にも関わらず。
単純にルカへ。
説明不足のみで、ルカは何も悪くない。
更に俺も判って居るのだから問題ない。」
ルイの言ってくる言葉が嬉しいけど…
少し違う事も思い出した。
勘違いかぁ…
でも講師の人は知らないから?
私がルイの…
複雑な気分にもなったけど少し笑ってルイへ。
「それは多分…
ルイ?
講師の人も悪気はないし?
私も悪いと思うから…
それより今もルイが、でしょう?
一緒に居るのも充分、私は嬉しいよ。」
言うとルイは少し、また笑うと、すぐ私へ…
「ルカが悪い事など何もないぞ?
今も僅かに、また考えた様子だな?
恐らく、俺の妹と知らないからと…
その講師も庇った様だが。
そもそも、教えるからこその講師だろう?
常に知らない者へ、常に教える立場の者。
ならば、言語も詳しく知らないルカへ。
本来、読めない言語の他国の本ならば…
一緒に読み説明すれば良いだけなのだ。
それすらしてない者など…
講師として失格だろう?」
ルイの言った言葉も、すぐ私も驚きながら考える。
教えるからこそ!?
講師、そう…
普段から知らない人達へ?
そう言う理由だとしたら…
私に限らないと!?
納得して私も笑った。
「本当にルイは凄いなぁ!!
そうなる?
私だけじゃないと、でしょう?
だからルイの言ってる事になるの?
教えるのは普通、難しいのに…
ルイは、すぐだったよね!!」
言ってからも嬉しくて私は思う。
やっぱりルイは正しい!!
そして凄い!!
それに、いつも優しいし?
いつも私にも教えてくれる。
そんなルイと?
私も一緒に居られるの!?
「ルカは素直で良い子だなぁ。
俺も少しだけ…
夜までか?」
そうルイも言うと、急に私は両手で再度。
抱き寄せられた上に、そのまま締められたけど…
更に私の首筋へ、ルイは舌を這わせた。
すぐビクリと勝手に身体も反応する。
「ぁあっ、ルイ?
どう、したの?
んぁ…」
でもルイは私の首筋へ。
舌だけでもなく…
唇で吸い付く様に強弱もだった。
どうしてもビクリとしてしまう私だけど…
すぐルイも離して私の姿勢だけを、腰へ。
腕だけ回して支えると私へ。
「このまま…
ルカも抱きたくなるが。
今は愛してる証だけをな。
それに、まだ朝も早過ぎるだろう?
もう少し眠ってた方が良い。」
言われてから私も部屋にある時刻も見れば…
まだ朝の6時だった。
だから言う通り素直にルイへ。
安心して少し擦り寄ると…
また軽く抱き締めてくるのも私には判る。
「本当にルカは可愛いだけだなぁ…
俺はルカだけ愛してる。
それに昨夜は少し激しかったからね…
大切な身体の事もある。
だから今日のルカならば…
いつも通りパターン12で問題ないよ?
アラームの時刻には、また俺も居ないが…
俺の仕事も、いつも通りには終わる。
何も心配ない。」
そのままで、私もルイへ。
「パターン12かぁ。
うん、判った。
ちゃんと私も、いつも通り…
頑張れるよ?
それに私よりルイが、でしょう?
仕事も詳しくないけど…
きっと忙しいぐらい判るの。
だから、せめて気を付けてね…」
言いながら私もルイの温かさも感じた。
余計、眠くなるけど思う。
ルイが実の兄だとしても…
私は嬉しいなぁ…
いつも優しいし?
いつも私の事まで…
そんな考えもしながら自然と私は眠った。
**************************
一方、ルイ。
既に昨夜の書類すらも暗記してた。
その上で行動も含め時間を。
計算したのもあるが、やはり考えてたのは…
常にルカだった。
起きた気配も、すぐ察して僅かな言葉へ。
予測しながら言葉まで誘導してルカへ。
俺が与えた学で倫理学…
本来この帝国も近親婚はないが。
他国の件として認識もズラせる筈。
そうした結果。
まさにルカの全てがだった。
信じて安心して寝た姿だけでもない。
そんな様子も含め全て、ルカの事ならば…
尚更、判る上に愛しくなるばかり。
俺の事を今までもだが…
一切、疑う事もなく信じる無垢な心。
そして姿も含めルカだけ、やはり俺の特別だ!!
危うく、また抱きたくなったのも抑えたが。
ルカの体力も考慮したのもある。
今日のパターン12、勉学と言っても芸術科目のみ。
ルカも好きな事でもあるからこそ…
俺の予定時間にも問題ない。
だが、今日は他国との交渉だけでもないか。
俺の予測でも場合に合わせ動かさねば…
特にルカの事で最近は余計にか!?
ルカが、17歳になる前だからこそ。
増える事でもだろう?
勿論、小細工など俺には通用しない。
もうルカの話題だけでも俺には許せないぞ?
思わず、溜息も出た。
ルカと居ると余計に感じてしまうなぁ…
いつも相手にしてるが。
他など愚か者ばかりで呆れる。
しかも俺に勝てないからこそ!?
今度はルカすら狙う気か!!
こんなにも無垢なルカへ。
俺も一切、近付ける筈もない。
ルカが寝てる事も再確認してルイは…
皇帝としての顔へ。
ベッドから出て、すぐ連絡が入ってる事。
軽く魔力も使い同じ様に書類全て宙へ。
浮かせてから軽く俺も指示通りにだった。
動いたのも判る。
今日の予定に合わせ新たに指示も追加すると…
すぐ転送させてから一番近い壁へ。
そのまま魔力も僅かに送る。
壁に描かれてる金色の幾何学模様が反応する。
仄かに点灯しても、すぐ消えるが。
何もなかった壁の一部、ミラー付きのドアが現れる。
そのミラーのドアに触れて中へ。
この部屋にある家具は勿論だが。
アルデバード帝国ならば全て僅かな魔力操作のみ。
身体も清潔にさせる上で使われてる室内も…
大人二人分程度の広さの個室へ。
そこでルイも僅かに波動も出す。
すぐ設定されてた様に室内が白く僅かに光る。
身体も含め有害な汚れも一瞬で消した。
同時に着替えも出来る為、仕事用にと、いつも通り…
個室に設置されてる小さめなミラーパネルへ。
波動も合わせて当てるのみ。
着てたローブが分子分解すると新たに身体へ。
僅かに光の粒子が包み込めば…
指定しておいた服も精製されるのみ。
動き易い黒一式のスタイルでもあるが。
左肩にはアルデバード帝国の皇帝の証として…
金色で加工もされて刻まれた大きな留め具が輝く。
その留め具から斜めに流れ広がる。
濃い赤のマントも白の毛皮で縁取られ気品すら醸し出す。
更にロングブーツも濃い赤だった。
帝国の魔法技術は高度な為、着替える事もない。
全て分解と構築する上に、身体の波動も合わせる事。
それだけでサイズすら測る必要さえなかった。
ルイも慣れた動きで個室から出た時。
ふと一度、寝てるルカの元へ。
安心して寝てる姿も見てるだけで充分な気分になる。
そんな様子のルカも起こさないまま…
部屋から出ると結界の確認も怠らない。
少し歩いて転移装置で執務室へ。
そこからは一切、冷酷皇帝とも言われる通りだった。
だが、執務室に入った時。
すぐ察して端的に言う。
「ロガナか。
予定通りだな?」
「はい、陛下。
既に謁見の間にて手順通りです。」
返答も的確な答えに何も言わず、謁見室へ。
向かう途中でも数人の側近が無言で動き出す。
その中でもルイは常の計算通りなのも判る。
皇帝の直属側近達に関しては特に数も限られる。
アルデバード帝国では身分階級だけでもない。
魔力と頭脳で実力主義の帝国制度すら健在してた事。
皇帝だとしても常に権力を維持する為、血筋だけ…
愚かな者が皇帝にならない為、常の発展だけでもない。
帝国民に関してならば、遺伝子から…
解析され続けられた事。
常に発展してるのも現状だったが。
歴代最強と言われてる…
ルイに勝てる者も居ないのすら事実。
移動しながら謁見室に入ってからも通常通り…
皇帝の席に座ってから何も言わず、直属側近も動く中。
気配に察して交代制で動く直属三人へ。
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
使節団の人数は?」
すぐ三人が反応して視線のみ、合わせたが…
三人共に年齢も近い、優秀な順も判ってる。
やはりロアナがだった。
俺の前で真っ先に頭も下げてから…
「はい、陛下。
予定でもあった他国側でもある『チアント国』です。
今回、予定人数より多い理由も含め、私から申し上げます。
問題になったのは、チアント国の第二王子です。
私も含め、事前に言ってありますが…
既に陛下の予測通りでした。
我々も既に警告もしておりますが、恐らく…
全く理解しておりません。」
すぐ俺も理解して苛立ちも抑える。
「なるほど…
ロアナ、最終確認するぞ?
説明時に何人だった?」
言った瞬間にロアナが複雑な顔をした。
そこで視線もゼートとガガラへ。
二人共に察した様子で俺の前へ。
頭を下げると先にゼートが。
「はい、陛下。
我々三人共、時間もズラしました。
ですが、先方に関して申し上げさせて頂きます。
全く話にならず、力量は相手になりませんが…
外交の為と判断した事。
そして陛下の時間を、最優先に致しました。」
言った意味も判るが、すぐガガラまでだった。
「はい、陛下。
我々の処分に関しても承知しております。
ですが、先方の申した事も、そのままに…
『側近如きは話にならない』とでした。
時間の無駄になると思われますが…
大変、申し訳ございません。」
何だと!?
たかが、チアント国だぞ?
「ガガラ、処分に関して今は良い。
だが、そう言うのであれば、ロアナとゼートもか?」
言えば、二人共に頭も下げたまま…
またロアナが、先だった。
「はい、陛下。
先程、申し上げましたが…
我々も警告したのです。
ですが、全く判っておりません。」
ゼートまで同じ様子で続けた。
「はい、陛下。
恐らくですが、警告の意味も理解しておりません。
我々としては外交の決定権はございません。
その為、多忙な陛下の時間を、最優先した次第です。」
俺すら意味が判って呆れた。
それもあって目を閉じて、そのまま言う。
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
もう充分、理解した。
とんでもない大馬鹿者らしいな。
俺が話せば早い、そのまま通せ。」
「はい、陛下。
申し訳ございません。」
ロアナの声も聞いたが。
もう俺の中では予測も出来た。
溜息も出して目を開けると、三人共がだった。
すぐ動いて謁見室へ。
使節団も連れて入って来たが。
約30人近い者達を引き連れてた。
俺は何も言わず、足も組んで待ってると…
一人の若い男がだった。
一応、頭も下げてから…
「私はチアント国の第二王位継承者。
ヤランと申します。
この度は初めまして、アルデバード皇帝陛下。
御目通り出来る日も心待ちにしてました。」
そう言うと爽やかに笑ったが、俺は先に分析する。
なるほど、チアント国ならば…
確か第一王子に関して病弱だった筈。
既に確定してると…
更に特産品もあったからこそ、国益もだ。
「チアント国ならば…
俺が名乗る必要もなさそうだが。
但し、俺がアルデバード帝国皇帝でもある。
意味も判るな?
全ての決定権は俺がしてる事、時間も惜しい。
要件のみ、端的に言え。」
俺の予測通り、驚いた顔でだった。
「な、名乗るのが礼儀でしょう?
アルデバード皇帝ともあろう者が…
そして我が国は属国でもないのですよ?
なぜ、その様な扱いなのですか!?」
ヤランと名乗った馬鹿者へ。
もう俺すら呆れるが。
「同じ事も言いたくない。
俺はアルデバード皇帝だと言った筈だぞ?
確かに属国ではないが、そんな事すら関係ないと。
既に側近達から説明された筈。
にも関わらず、追い払った経緯も聞いて居る。
更に謁見室まで大人数、連れて来る非常識な者にか?
俺は無駄な時間も使いたくない。
要件に関して無いならば、帰国して貰おう。
あるならば、早く言え?」
言った瞬間、明らかに今度は怒りを。
隠さず、ヤランと言う馬鹿者もだった。
「私の場合、チアント国の次期国王も決まってる!!
だからこそ、護衛人数としては当然の事。
非常識なのはアルデバード皇帝の方でしょう!?
我が国では国力で勝てなくても…
貿易してる国数は圧倒的に多いのですよ?
まして属国でもない外交問題に関しての話。
たかが側近相手に私が話す必要もない!!
そしてアルデバード皇帝と貿易に関してと…
別件もあったからこそです。」
もう俺すら淡々と言う。
「なるほど。
チアント国の次期国王のヤランと。
要件は貿易と別件に関しての様だが。
我が帝国に関して誤解されても困る。
そんな人数すら護衛になど。
全くならない事。
そして我が直属の側近へ。
この帝国内で無礼な行為も既にしてる。
何も判ってないのは、そちらだろう。」
動揺しながらヤランも…
「そ、それは、つまり…
側近に対して、我が国が。
だからこそ、アルデバード皇帝陛下の今か?
そうであれば…
謝罪も、したいが…
だが、皇帝陛下の多忙も判るからこそ。
こんな時間な事も、私は承知してる。
本来、あり得ない時間帯だろう?
更に護衛にならないと?
我が国でも精鋭しか連れてない。」
話すだけ無駄と俺は判断した。
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
この場だけ許可する。」
言った時、すぐ三人共が動いた。
俺の少し前に立ってロアナがだった…
「今ですが、陛下の許可も頂いた事。
外交に関してもでしょうが。
帝国側としての判断も全てです。
陛下がされてる事。
ご多忙な陛下、自らと?
チアント国は話す価値もないのです。
次期国王のヤラン様。
確かに属国でもないからこそ…
ここまで来られただけの事。
アルデバード帝国の軍事力でも世界一。
その意味も判らない様子ならば…
ただの側近でもある。
我々すら簡単に判断してました。
具体的な内容もでしょう。
陛下がする必要もありません。」
またチアント国側も動揺した様子も見てたが。
俺は三人共、チアント国の対応もだった。
もう任せられる判断も出来て席も立った時。
「待て!?
どれだけ我がチアント国を!!
馬鹿にするのだ!?
確かにアルデバード帝国には勝てなくても…
これの、どこが外交なのだ!!
貿易に関して主にだったが…
私は別件の話もあるのだぞ!?
既に『クリスタ妃』も16歳の筈。
我が国はクリスタ国とも一時期、関わった!!
もし今ですら『属国の妃』としての扱いならば…」
その声は俺にも充分、聞こえてた上に…
すぐ安心してるルカの姿も浮かんだ。
「黙れぇ!!」
咄嗟に怒鳴ったが、もう俺すら別件の意味に気付く。
貿易よりもルカを。
しかも年齢まで正しいならば…
決定的な発言まで聞いた事で、怒りが湧き上がる。
それもあって、俺は…
「なるほど、お前の目的も判ったぞ?
貿易よりも、そっちか?
一応、誤解もされたくないから言うが。
属国の妃扱いなど、俺もしない!!
ヤランと言う名だったな?
第二王子ならば、チアント国にだ。
属国にしても第一王子が居た筈。
何も問題ない…」
すぐヤランは顔色も変えたのも見た。
「ま、まさか、私を!?
しかも、アルデバード帝国の属国へ?
もし、クリスタ妃の件ならば…」
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
さっきの判断に関して撤回する。
下がれ。」
言って、すぐ三人共、意味に気付いた様子へ。
驚きながらだったが、急いで下がった。
そして俺は、魔力も徐々に出しながら…
「この程度では護衛にならないと。
その意味を、見たいか?
チアント国の次期国王らしいが。
愚か者に国など、任せられないのは…
どこでも同じ様子だな?」
そう言えば、察したのか。
後ろに控えてた護衛らしい者達も動いたが。
もう魔力も含め出してた為、言うのみ。
「汝の主よ、汝の青き炎よ。
我が紅き血潮、共に賜り行使も願う。
我の元に集え、汝の力も讃えん。」
青と赤の炎が地面から、すぐ湧き上がる。
再度、俺は魔力も込めて…
「訪れる汝の力を、我が言霊を。
我の魔、汝の源、黄昏の紅き華よ。
我が元の寄る辺に従い賜え。」
言った瞬間。
火柱の様に地面から一気に赤い炎が舞い上がる。
そこで使節団の一人以外、燃え散るのも見た。
この場に居た者達でもだった。
側近の三人も含め無言のまま…
震え出したが、余りの弱さに残った一人へ。
俺も淡々と言う。
「既に一人しか居ない理由も簡単な答えだ。
チアント国に戻って一部始終の報告役。
今後は、アルデバード帝国の属国へ。
もし第一王子でも良いが、反対するならば…
チアント国は滅すのみ。」
それから無言の三人共へ。
視線も向けた時。
慌てながら反応したのも判るが。
少し俺は冷笑して、そのまま言う。
「お前達は他の側近にも連絡しておけ。
余りにも下らない今回の件。
もう滑稽でしかない。」
どうにか三人共が頷き、またロアナだけ…
「はい、陛下…
次の時間まで一応、僅かにありますが。
他の案件を?」
そこで再度、今日の予定も含め考える。
確かに他の案件も済ませてしまえば…
夜も早くルカの側へ。
戻れる時間も早くする為。
時間の計算も瞬時にして冷酷な笑みで言う。
「そうしよう、ロアナ。
この空き時間で纏めて書類も終わるぞ?
馬鹿な国も、それぐらいにしか使えんな。」
また三人共、僅かに驚いた様子だったが。
一日の仕事も無事に終わらせ…
ルカの待ってる部屋へ。
戻るのだった。
ベッドの上で寝てるのも判る。
だから何も言わないまま…
またルイを、良く見て思う。
やっぱり私と似てる?
兄だから?
瞳は閉じてるから判らないけど…
色白な肌だし?
でも唯一、私と違う綺麗な金色の髪。
ふと、私も少しだけ読んだ本を。
思い出すと余計…
僅かに覚えてる、あの暗い場所もだった。
私はルイも見ながら小さく…
「やっぱり…
私は要らない忌み…」
「違うぞ?
ルカは忌み子ではない。」
ルイの言葉が私の言葉を遮った。
そのまま私も見てると同じエメラルドの瞳が…
ゆっくりと開いた。
起こしちゃった?
でも…
私は何も言えないまま…
どうにか言葉も探すけど…
すぐルイの右手が、スッと自然に動いた。
優しく私の左頬へ。
僅かに触れてから、いつもと同じ優しい声で…
「ルカ?
いつも俺が言ってるだろう?
ルカは忌み子ではないと。
俺はルカを、誰よりも愛してる。
そして唯一の特別もルカだけだよ?」
また私はルイから、いつもの言葉も聞いた。
だから目だけ閉じた。
僅かにしか言えないけど…
私は…
「あのね、ルイ?
いつも、そう…
ルイだけなのに…
でも本に…
書いてあったよ?
家族は親愛でと、兄妹ではと…
それだと、やっぱり…」
私にはルイ以外?
家族も居ないのに?
そうしたら、やっぱり私は一人へ?
途中で言えなくなると、すぐだった。
「ルカ?
大丈夫だ、心配しなくて良い。
俺は何も変わらない。
そしてルカはね?
気付いてないだけなのだよ?」
ルイの声と内容に驚いた。
私も目を開けると優しく笑うルイが。
また…
「ルカ?
落ち着いて聞いておくれ?
そして良く思い出してごらん。
その本は他国の事を、だろう?
ならば、全て他国の言語になるが。
ルカは判らなくて全部を、だろう?
内容は判らなかった筈。
違うかな?」
そこで私もだった。
ルイに言われた言葉で良く思い出しながら…
同時に考える。
そう、あれは他国の本で…
だから私には…
全部を?
「う、うん。
ルイの?
言う通りで全部は…
判らなかったけど?」
どうにか言うとルイは優しく…
私の頭も撫でてきた。
笑ってるのも判って、ただ見てると。
「ルカも少し気付いた様だね?
つまり、ルカは本の内容もだ。
何も判ってないのだよ?
だから俺が教えるから…
そのまま聞いてごらん?
全て他国の言語。
全て他国の風習。
全て他国の常識。
この帝国と、何も関係ないだろう?」
もうルイの言った言葉と内容に驚くしかない。
それは!!
更にルイは軽く私も抱き寄せてから…
すぐ耳元でだった。
優しい声のまま…
「ルカも気付いたね?
つまり他国の決まり。
他国の考え方なだけだよ?
この帝国とは違うのだ。
他国と帝国。
違うのは当たり前だろう?」
そのまま私も…
「ルイ?
それは他国の決まりで?
私が言語も全て判らなかったから…
だから間違えてるの?」
聞けば、また、すぐルイもだった。
「そうだよ、ルカ。
この帝国には関係ない事。
他国の話と言うだけ、だろう?
俺やルカには何も関係ないと判ったかな?
そして俺はルカだけ愛してる。
唯一の特別もルカだけと言ってる筈。
それすら何も変わらないのだよ。
だからルカ?
大丈夫だ…」
私もルイの言った意味に気付く。
だから大丈夫と?
ルイも一緒で前と変わらない?
もう一人にならないと!?
嬉しくて私は笑う。
「ルイ!!
今の言葉で私にも判ったよ!!
言語も全部、判らなかったけど?
でも他国の事と、この帝国。
違うのが普通だし?
私が間違えてたんだね!?」
言うと、すぐ抱き締めてた腕も緩めて…
ルイも優しく笑った。
そして今度はスッと私へ。
軽くキスを、してから…
「あぁ、ルカは本当に…
可愛いな、だが、俺もだ。
そうして笑うルカを、見れて嬉しいよ。
もう心配すらないだろう?」
ルイの言ってきた事に私もだった。
納得しながら笑って頷く。
「うん、ルイは凄いなぁ!!
でも、ごめんね?
最初から私もだし?
ちゃんと言語も覚えてたら大丈夫だったね。
もっと勉学を、でしょう?
私も頑張るよ!!」
そう言うとルイも同じで、いつもの様に笑った。
優しいのも変わらないルイを、私も見てた。
「ルカも充分、頑張ってるよ。
そしてルカが謝る事もない。
本来ならば、あんな本で…
ルカに勘違いさせた講師が悪いのだ。
これでルカも安心しただろう?
あの時間は帝国史の筈。
読ませる必要すらない他国の本だぞ?
更に、こんな簡単な事にも関わらず。
単純にルカへ。
説明不足のみで、ルカは何も悪くない。
更に俺も判って居るのだから問題ない。」
ルイの言ってくる言葉が嬉しいけど…
少し違う事も思い出した。
勘違いかぁ…
でも講師の人は知らないから?
私がルイの…
複雑な気分にもなったけど少し笑ってルイへ。
「それは多分…
ルイ?
講師の人も悪気はないし?
私も悪いと思うから…
それより今もルイが、でしょう?
一緒に居るのも充分、私は嬉しいよ。」
言うとルイは少し、また笑うと、すぐ私へ…
「ルカが悪い事など何もないぞ?
今も僅かに、また考えた様子だな?
恐らく、俺の妹と知らないからと…
その講師も庇った様だが。
そもそも、教えるからこその講師だろう?
常に知らない者へ、常に教える立場の者。
ならば、言語も詳しく知らないルカへ。
本来、読めない言語の他国の本ならば…
一緒に読み説明すれば良いだけなのだ。
それすらしてない者など…
講師として失格だろう?」
ルイの言った言葉も、すぐ私も驚きながら考える。
教えるからこそ!?
講師、そう…
普段から知らない人達へ?
そう言う理由だとしたら…
私に限らないと!?
納得して私も笑った。
「本当にルイは凄いなぁ!!
そうなる?
私だけじゃないと、でしょう?
だからルイの言ってる事になるの?
教えるのは普通、難しいのに…
ルイは、すぐだったよね!!」
言ってからも嬉しくて私は思う。
やっぱりルイは正しい!!
そして凄い!!
それに、いつも優しいし?
いつも私にも教えてくれる。
そんなルイと?
私も一緒に居られるの!?
「ルカは素直で良い子だなぁ。
俺も少しだけ…
夜までか?」
そうルイも言うと、急に私は両手で再度。
抱き寄せられた上に、そのまま締められたけど…
更に私の首筋へ、ルイは舌を這わせた。
すぐビクリと勝手に身体も反応する。
「ぁあっ、ルイ?
どう、したの?
んぁ…」
でもルイは私の首筋へ。
舌だけでもなく…
唇で吸い付く様に強弱もだった。
どうしてもビクリとしてしまう私だけど…
すぐルイも離して私の姿勢だけを、腰へ。
腕だけ回して支えると私へ。
「このまま…
ルカも抱きたくなるが。
今は愛してる証だけをな。
それに、まだ朝も早過ぎるだろう?
もう少し眠ってた方が良い。」
言われてから私も部屋にある時刻も見れば…
まだ朝の6時だった。
だから言う通り素直にルイへ。
安心して少し擦り寄ると…
また軽く抱き締めてくるのも私には判る。
「本当にルカは可愛いだけだなぁ…
俺はルカだけ愛してる。
それに昨夜は少し激しかったからね…
大切な身体の事もある。
だから今日のルカならば…
いつも通りパターン12で問題ないよ?
アラームの時刻には、また俺も居ないが…
俺の仕事も、いつも通りには終わる。
何も心配ない。」
そのままで、私もルイへ。
「パターン12かぁ。
うん、判った。
ちゃんと私も、いつも通り…
頑張れるよ?
それに私よりルイが、でしょう?
仕事も詳しくないけど…
きっと忙しいぐらい判るの。
だから、せめて気を付けてね…」
言いながら私もルイの温かさも感じた。
余計、眠くなるけど思う。
ルイが実の兄だとしても…
私は嬉しいなぁ…
いつも優しいし?
いつも私の事まで…
そんな考えもしながら自然と私は眠った。
**************************
一方、ルイ。
既に昨夜の書類すらも暗記してた。
その上で行動も含め時間を。
計算したのもあるが、やはり考えてたのは…
常にルカだった。
起きた気配も、すぐ察して僅かな言葉へ。
予測しながら言葉まで誘導してルカへ。
俺が与えた学で倫理学…
本来この帝国も近親婚はないが。
他国の件として認識もズラせる筈。
そうした結果。
まさにルカの全てがだった。
信じて安心して寝た姿だけでもない。
そんな様子も含め全て、ルカの事ならば…
尚更、判る上に愛しくなるばかり。
俺の事を今までもだが…
一切、疑う事もなく信じる無垢な心。
そして姿も含めルカだけ、やはり俺の特別だ!!
危うく、また抱きたくなったのも抑えたが。
ルカの体力も考慮したのもある。
今日のパターン12、勉学と言っても芸術科目のみ。
ルカも好きな事でもあるからこそ…
俺の予定時間にも問題ない。
だが、今日は他国との交渉だけでもないか。
俺の予測でも場合に合わせ動かさねば…
特にルカの事で最近は余計にか!?
ルカが、17歳になる前だからこそ。
増える事でもだろう?
勿論、小細工など俺には通用しない。
もうルカの話題だけでも俺には許せないぞ?
思わず、溜息も出た。
ルカと居ると余計に感じてしまうなぁ…
いつも相手にしてるが。
他など愚か者ばかりで呆れる。
しかも俺に勝てないからこそ!?
今度はルカすら狙う気か!!
こんなにも無垢なルカへ。
俺も一切、近付ける筈もない。
ルカが寝てる事も再確認してルイは…
皇帝としての顔へ。
ベッドから出て、すぐ連絡が入ってる事。
軽く魔力も使い同じ様に書類全て宙へ。
浮かせてから軽く俺も指示通りにだった。
動いたのも判る。
今日の予定に合わせ新たに指示も追加すると…
すぐ転送させてから一番近い壁へ。
そのまま魔力も僅かに送る。
壁に描かれてる金色の幾何学模様が反応する。
仄かに点灯しても、すぐ消えるが。
何もなかった壁の一部、ミラー付きのドアが現れる。
そのミラーのドアに触れて中へ。
この部屋にある家具は勿論だが。
アルデバード帝国ならば全て僅かな魔力操作のみ。
身体も清潔にさせる上で使われてる室内も…
大人二人分程度の広さの個室へ。
そこでルイも僅かに波動も出す。
すぐ設定されてた様に室内が白く僅かに光る。
身体も含め有害な汚れも一瞬で消した。
同時に着替えも出来る為、仕事用にと、いつも通り…
個室に設置されてる小さめなミラーパネルへ。
波動も合わせて当てるのみ。
着てたローブが分子分解すると新たに身体へ。
僅かに光の粒子が包み込めば…
指定しておいた服も精製されるのみ。
動き易い黒一式のスタイルでもあるが。
左肩にはアルデバード帝国の皇帝の証として…
金色で加工もされて刻まれた大きな留め具が輝く。
その留め具から斜めに流れ広がる。
濃い赤のマントも白の毛皮で縁取られ気品すら醸し出す。
更にロングブーツも濃い赤だった。
帝国の魔法技術は高度な為、着替える事もない。
全て分解と構築する上に、身体の波動も合わせる事。
それだけでサイズすら測る必要さえなかった。
ルイも慣れた動きで個室から出た時。
ふと一度、寝てるルカの元へ。
安心して寝てる姿も見てるだけで充分な気分になる。
そんな様子のルカも起こさないまま…
部屋から出ると結界の確認も怠らない。
少し歩いて転移装置で執務室へ。
そこからは一切、冷酷皇帝とも言われる通りだった。
だが、執務室に入った時。
すぐ察して端的に言う。
「ロガナか。
予定通りだな?」
「はい、陛下。
既に謁見の間にて手順通りです。」
返答も的確な答えに何も言わず、謁見室へ。
向かう途中でも数人の側近が無言で動き出す。
その中でもルイは常の計算通りなのも判る。
皇帝の直属側近達に関しては特に数も限られる。
アルデバード帝国では身分階級だけでもない。
魔力と頭脳で実力主義の帝国制度すら健在してた事。
皇帝だとしても常に権力を維持する為、血筋だけ…
愚かな者が皇帝にならない為、常の発展だけでもない。
帝国民に関してならば、遺伝子から…
解析され続けられた事。
常に発展してるのも現状だったが。
歴代最強と言われてる…
ルイに勝てる者も居ないのすら事実。
移動しながら謁見室に入ってからも通常通り…
皇帝の席に座ってから何も言わず、直属側近も動く中。
気配に察して交代制で動く直属三人へ。
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
使節団の人数は?」
すぐ三人が反応して視線のみ、合わせたが…
三人共に年齢も近い、優秀な順も判ってる。
やはりロアナがだった。
俺の前で真っ先に頭も下げてから…
「はい、陛下。
予定でもあった他国側でもある『チアント国』です。
今回、予定人数より多い理由も含め、私から申し上げます。
問題になったのは、チアント国の第二王子です。
私も含め、事前に言ってありますが…
既に陛下の予測通りでした。
我々も既に警告もしておりますが、恐らく…
全く理解しておりません。」
すぐ俺も理解して苛立ちも抑える。
「なるほど…
ロアナ、最終確認するぞ?
説明時に何人だった?」
言った瞬間にロアナが複雑な顔をした。
そこで視線もゼートとガガラへ。
二人共に察した様子で俺の前へ。
頭を下げると先にゼートが。
「はい、陛下。
我々三人共、時間もズラしました。
ですが、先方に関して申し上げさせて頂きます。
全く話にならず、力量は相手になりませんが…
外交の為と判断した事。
そして陛下の時間を、最優先に致しました。」
言った意味も判るが、すぐガガラまでだった。
「はい、陛下。
我々の処分に関しても承知しております。
ですが、先方の申した事も、そのままに…
『側近如きは話にならない』とでした。
時間の無駄になると思われますが…
大変、申し訳ございません。」
何だと!?
たかが、チアント国だぞ?
「ガガラ、処分に関して今は良い。
だが、そう言うのであれば、ロアナとゼートもか?」
言えば、二人共に頭も下げたまま…
またロアナが、先だった。
「はい、陛下。
先程、申し上げましたが…
我々も警告したのです。
ですが、全く判っておりません。」
ゼートまで同じ様子で続けた。
「はい、陛下。
恐らくですが、警告の意味も理解しておりません。
我々としては外交の決定権はございません。
その為、多忙な陛下の時間を、最優先した次第です。」
俺すら意味が判って呆れた。
それもあって目を閉じて、そのまま言う。
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
もう充分、理解した。
とんでもない大馬鹿者らしいな。
俺が話せば早い、そのまま通せ。」
「はい、陛下。
申し訳ございません。」
ロアナの声も聞いたが。
もう俺の中では予測も出来た。
溜息も出して目を開けると、三人共がだった。
すぐ動いて謁見室へ。
使節団も連れて入って来たが。
約30人近い者達を引き連れてた。
俺は何も言わず、足も組んで待ってると…
一人の若い男がだった。
一応、頭も下げてから…
「私はチアント国の第二王位継承者。
ヤランと申します。
この度は初めまして、アルデバード皇帝陛下。
御目通り出来る日も心待ちにしてました。」
そう言うと爽やかに笑ったが、俺は先に分析する。
なるほど、チアント国ならば…
確か第一王子に関して病弱だった筈。
既に確定してると…
更に特産品もあったからこそ、国益もだ。
「チアント国ならば…
俺が名乗る必要もなさそうだが。
但し、俺がアルデバード帝国皇帝でもある。
意味も判るな?
全ての決定権は俺がしてる事、時間も惜しい。
要件のみ、端的に言え。」
俺の予測通り、驚いた顔でだった。
「な、名乗るのが礼儀でしょう?
アルデバード皇帝ともあろう者が…
そして我が国は属国でもないのですよ?
なぜ、その様な扱いなのですか!?」
ヤランと名乗った馬鹿者へ。
もう俺すら呆れるが。
「同じ事も言いたくない。
俺はアルデバード皇帝だと言った筈だぞ?
確かに属国ではないが、そんな事すら関係ないと。
既に側近達から説明された筈。
にも関わらず、追い払った経緯も聞いて居る。
更に謁見室まで大人数、連れて来る非常識な者にか?
俺は無駄な時間も使いたくない。
要件に関して無いならば、帰国して貰おう。
あるならば、早く言え?」
言った瞬間、明らかに今度は怒りを。
隠さず、ヤランと言う馬鹿者もだった。
「私の場合、チアント国の次期国王も決まってる!!
だからこそ、護衛人数としては当然の事。
非常識なのはアルデバード皇帝の方でしょう!?
我が国では国力で勝てなくても…
貿易してる国数は圧倒的に多いのですよ?
まして属国でもない外交問題に関しての話。
たかが側近相手に私が話す必要もない!!
そしてアルデバード皇帝と貿易に関してと…
別件もあったからこそです。」
もう俺すら淡々と言う。
「なるほど。
チアント国の次期国王のヤランと。
要件は貿易と別件に関しての様だが。
我が帝国に関して誤解されても困る。
そんな人数すら護衛になど。
全くならない事。
そして我が直属の側近へ。
この帝国内で無礼な行為も既にしてる。
何も判ってないのは、そちらだろう。」
動揺しながらヤランも…
「そ、それは、つまり…
側近に対して、我が国が。
だからこそ、アルデバード皇帝陛下の今か?
そうであれば…
謝罪も、したいが…
だが、皇帝陛下の多忙も判るからこそ。
こんな時間な事も、私は承知してる。
本来、あり得ない時間帯だろう?
更に護衛にならないと?
我が国でも精鋭しか連れてない。」
話すだけ無駄と俺は判断した。
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
この場だけ許可する。」
言った時、すぐ三人共が動いた。
俺の少し前に立ってロアナがだった…
「今ですが、陛下の許可も頂いた事。
外交に関してもでしょうが。
帝国側としての判断も全てです。
陛下がされてる事。
ご多忙な陛下、自らと?
チアント国は話す価値もないのです。
次期国王のヤラン様。
確かに属国でもないからこそ…
ここまで来られただけの事。
アルデバード帝国の軍事力でも世界一。
その意味も判らない様子ならば…
ただの側近でもある。
我々すら簡単に判断してました。
具体的な内容もでしょう。
陛下がする必要もありません。」
またチアント国側も動揺した様子も見てたが。
俺は三人共、チアント国の対応もだった。
もう任せられる判断も出来て席も立った時。
「待て!?
どれだけ我がチアント国を!!
馬鹿にするのだ!?
確かにアルデバード帝国には勝てなくても…
これの、どこが外交なのだ!!
貿易に関して主にだったが…
私は別件の話もあるのだぞ!?
既に『クリスタ妃』も16歳の筈。
我が国はクリスタ国とも一時期、関わった!!
もし今ですら『属国の妃』としての扱いならば…」
その声は俺にも充分、聞こえてた上に…
すぐ安心してるルカの姿も浮かんだ。
「黙れぇ!!」
咄嗟に怒鳴ったが、もう俺すら別件の意味に気付く。
貿易よりもルカを。
しかも年齢まで正しいならば…
決定的な発言まで聞いた事で、怒りが湧き上がる。
それもあって、俺は…
「なるほど、お前の目的も判ったぞ?
貿易よりも、そっちか?
一応、誤解もされたくないから言うが。
属国の妃扱いなど、俺もしない!!
ヤランと言う名だったな?
第二王子ならば、チアント国にだ。
属国にしても第一王子が居た筈。
何も問題ない…」
すぐヤランは顔色も変えたのも見た。
「ま、まさか、私を!?
しかも、アルデバード帝国の属国へ?
もし、クリスタ妃の件ならば…」
「ロアナ、ゼート、ガガラ。
さっきの判断に関して撤回する。
下がれ。」
言って、すぐ三人共、意味に気付いた様子へ。
驚きながらだったが、急いで下がった。
そして俺は、魔力も徐々に出しながら…
「この程度では護衛にならないと。
その意味を、見たいか?
チアント国の次期国王らしいが。
愚か者に国など、任せられないのは…
どこでも同じ様子だな?」
そう言えば、察したのか。
後ろに控えてた護衛らしい者達も動いたが。
もう魔力も含め出してた為、言うのみ。
「汝の主よ、汝の青き炎よ。
我が紅き血潮、共に賜り行使も願う。
我の元に集え、汝の力も讃えん。」
青と赤の炎が地面から、すぐ湧き上がる。
再度、俺は魔力も込めて…
「訪れる汝の力を、我が言霊を。
我の魔、汝の源、黄昏の紅き華よ。
我が元の寄る辺に従い賜え。」
言った瞬間。
火柱の様に地面から一気に赤い炎が舞い上がる。
そこで使節団の一人以外、燃え散るのも見た。
この場に居た者達でもだった。
側近の三人も含め無言のまま…
震え出したが、余りの弱さに残った一人へ。
俺も淡々と言う。
「既に一人しか居ない理由も簡単な答えだ。
チアント国に戻って一部始終の報告役。
今後は、アルデバード帝国の属国へ。
もし第一王子でも良いが、反対するならば…
チアント国は滅すのみ。」
それから無言の三人共へ。
視線も向けた時。
慌てながら反応したのも判るが。
少し俺は冷笑して、そのまま言う。
「お前達は他の側近にも連絡しておけ。
余りにも下らない今回の件。
もう滑稽でしかない。」
どうにか三人共が頷き、またロアナだけ…
「はい、陛下…
次の時間まで一応、僅かにありますが。
他の案件を?」
そこで再度、今日の予定も含め考える。
確かに他の案件も済ませてしまえば…
夜も早くルカの側へ。
戻れる時間も早くする為。
時間の計算も瞬時にして冷酷な笑みで言う。
「そうしよう、ロアナ。
この空き時間で纏めて書類も終わるぞ?
馬鹿な国も、それぐらいにしか使えんな。」
また三人共、僅かに驚いた様子だったが。
一日の仕事も無事に終わらせ…
ルカの待ってる部屋へ。
戻るのだった。
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