親友彼氏―親友と付き合う俺らの話。

はちみつ電車

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ラストのひとり

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どうして俺は課題を先に終わらせなかったんだろう。
どうしてテストで点が取れるはずもないのに、加点される課題なんてテストができれば出さなくていいや、とやらなかったんだろう。
どうしてテストが終わったのに課題に追われているんだろう。

「終わらねえ~。ヤバい、今日中って23時59分までかなあ」
「今日は最終下校17時だよ」

早すぎるぅ~。
明翔は点数取れるから課題は出さない主義だし、点は取れるが課題も出す柳や颯太はテスト終了時にすでに提出済。

「柳! これ答え教えて!」
「全然覚えてないのになぜ課題をやらなかったんだい?」
「今そんな話してるヒマはない! さっさと答えを教えろください!」

くっそ、柳に敬語を使うなんて屈辱でしかないが背に腹は代えられない。

ピンポンパンポーン、と校内放送が鳴り響く。

「2年1組高崎明翔、2年1組高崎明翔、至急中庭まで来てください」

教室にはすでに、俺と明翔と柳しかいない。
だって今日はテスト最終日。午後3時に残っている生徒なんて今日中に課題を出したい俺くらいなものだ。

「工藤の声だ」
「まだ漢検の受験者が足りないのかな。会場が学校じゃなくなるなら僕も受けたくはないんだが」
「漢検かー。2級くらいまで取ってれば受験で有利なんだっけ。行ってくるー」
「ひとりで大丈夫か? 明翔」

さっさと教室を出ようとする明翔に、一抹の不安がよぎった。

「ついてきて課題終わるの?」
「終わんねえ。せめて柳だけでも」
「柳がついてきて課題終わるの?」
「終わんねえ」

俺ひとりじゃ全く進まないのだ。
でしょ、と明翔が笑う。

「こんな時間まであの子がいるわけないよ。行ってきまーす」

あの子……はんな。
ついに昨日、はんなはタカトゥーに投石行為を行った。
それで気付いた。

俺と別れた直後に襲われたタカトゥー。
はんなは俺に近付かないとの念書にサインをしている。

この聖天坂高校の生徒らしく根が真面目なはんなは、たぶんそれを守ろうとしてるんだと思う。

ガガガ……ガガガ……
とスピーカーから不協和音が聞こえる。

「うっせ。集中できねーじゃねえか!」
「元から集中してるようには見えないが。工藤先生、マイクを切り忘れてるんじゃないのかな」
「柳、放送室行ってマイク切って来い。学級委員長として」
「呂久村くんのジャイアンぷりが目に余るのだが」
「俺は今焦りから気が立っている!」
「やれやれ。自業自得じゃないか」
「うるさい」

この居残りにも「学級委員長なんだから俺が進級できるように協力しろ」と付き合わせている。
学級委員長と言えば動く柳はなんだかんだ責任感あるな、と思っているが絶対に口には出さない。

自分でも答えが書けるところを先に埋めよう、と課題に向かうも、3つも欄を埋めたらシャーペンが止まる。
早く戻って来い! 柳!

スピーカーからの雑音が消えた。
よし、これで柳が戻ってくる。

しばらくすると、廊下から品行方正な柳らしくない足音が響いてきた。

「呂久村くん! 高崎くんが危ない!」
「明翔が?! なんで?!」

思わず立ち上がる。
あの放送は間違いなく工藤の声だったのに?!

「工藤先生は柿ノ元さんにナイフで脅されてあの校内放送を行ったそうだ! 放送室で震えながら倒れていた!」
「ナイフ?!」

はんなのヤツ、ついに凶器を持ち出しやがった。
これまでことごとく襲撃に失敗しているから焦りだしたか、明翔がイチャついていた相手だとバレたか。

もう課題なんて頭にはない。
教室を飛び出し、中庭に急ぐ。

女相手に暴力は振るえない、とかなまっちょろいことを言ってると刺される可能性は十分にある!
はんなは何をするか分かったもんじゃない!

階段を滑るように駆け下り、最速で中庭に着いたが明翔もはんなも姿が見えない。

もしも、はんなと遭遇したらとにかく逃げろと明翔には伝えている。
きっと呼び出しがはんなの罠だったと知った明翔はここから逃げだしたんだろう。

「柳、手分けして探そう!」
「じゃあ、僕はこっちを!」
「頼む!」

明翔の足ならはんな相手に逃げきれないってことはない。
だが、明翔は身体能力が高いだけに過信してるところがある。
夏風邪をひいた時も、体力あるから大丈夫、と祭りに行こうとして高熱を出した。

油断が一番怖いってのに、明翔ははんなをまるで怖がっていないのが逆に恐ろしい。

息が上がるにつれて、焦りも増す。

明翔が血を流すようなことがあってみろ。
俺は絶対お前を許さない。
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