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呂久村深月の看病
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コトコトとかゆを作りながら、颯太に電話をかける。
「明翔熱出しちゃってさ。今日は俺ん家に泊めるって一条に言っといてくれる? 39度くらいあってさ、今寝てんの。うん。うん、そーだな。あーい。みんなにも言っといてねー。うん、言っとくー」
かゆって簡単。塩と米を煮込むだけだ。でも、こんなんで栄養つくんかな。明翔38.9度も熱あるのに。
俺の部屋の方から音がして見ると、明翔が柔らか氷枕を持って部屋から出てこようとしている。
「何してんだよ! 寝てなきゃダメだろ!」
「だって、これブヨブヨしてきたから」
「替え持って行くから、明翔は寝てろ!」
「はーい」
もう起きたのか。寝続けるのもしんどいほどにしんどいんかな。
冷凍室から新たな柔らか氷枕を取り出す。
「あー、冷たい。気持ちいいー」
「ちょっとは熱下がったかな」
氷枕がかなりの熱を吸い取ったはずだけど。
「38.9」
「くっそー、39度の壁は高いな」
「いや、こんだけ氷枕ブヨブヨにしてこれだから普通に越えてただろーよ。薬飲む? 解熱剤あるよ」
「俺解熱剤でアナフィラキシーショック起こしたことあるから市販のは飲まないようにしてるんだよね」
「えっ、マジか」
じゃあ、寝るしかないか。今日は日曜だ。病院もやっていない。
「おかゆに何か入れる? 米だけじゃ栄養足りないんじゃねーの」
「そうかな。じゃあ、溶き卵入れて」
「お! おじやみたいでうまそうだな。そーする」
「なんか深月に世話かけに来たみたいになってごめんね」
「んなこと気にすんなよ。あ、颯太もさ、お大事にーって言ってたよ」
「おーありがと、颯太」
熱は変わってないけど、ちょっとは元気になってきてる気がする。
「食えそうだったら、早いけど食っちゃうか?」
「うん。昼メシも吐いてるし腹減った」
「じゃー、持って来るから」
「うん。ありがとう」
鍋とレンゲスプーンを持って俺の部屋に入ると、明翔が笑った。
「鍋から直なの?」
「え? 変?」
「茶碗あるでしょ」
「あー、あるある」
ベッドの上に座らせて、茶碗に入れたおかゆをレンゲスプーンですくいフーフーして明翔の口に入れる。こういう看病シーンよく見るけど、人に食わせるって案外難しい。
「あ、うまい!」
「お、マジで?! 俺意外と料理の才能あったりして」
「もしかして、まだ自炊したことなかったの?」
「あ。バレた」
「深月が初めて作った料理なんだ、これ。それはそれでうれしい」
うれしそうに明翔がにっこり笑う。クッソかわいいな、おい。
「ごちそうさまでした」
茶碗1杯のおかゆを食べて、明翔が手を合わせた。
「もういいの? 5杯はありそうなんだけど」
「うん。おいしかった。ありがとう」
明翔が布団にもぐる。
「エアコン効きすぎてない?」
「うん、ちょうどいいよ」
「あ、颯太から今日はうちに泊まるって一条に伝えてもらってるから」
「え、いいの?」
「いいよ。ゆっくりして行けよ。俺ソファで寝るし」
鍋と茶碗なんかを持って部屋を出ようと立ち上がった。
「深月」
「ん?」
「ありがとう」
「え……何回言うんだよ!」
「あはは! たしかに」
「んじゃ俺、これ片付けてくっから」
「うん」
あー。ずっと熱出しててもいいかもしんない。病気の明翔は何回かわいいと思わせるんだ。
片付けを済ませて部屋をのぞくと、寝付けないのがせわしなく寝がえりを打っている。
「体力消耗するだろ、そんなに動いてたら」
「あ! やっと帰って来た。これで寝れる」
「お……おう、寝ろ」
しばらく様子を見て、完全に寝付いたなと思った俺は起こさないようにそーっと立ち上がって部屋を出た。
そのまま、明翔は朝まで眠っていたようだ。
翌朝目覚めたら、明翔が台所で卵焼きを焼いていた。
「明翔、大丈夫なのか? また無理してんじゃねーだろうな」
「大丈夫だよ。ほら」
テーブルの上の体温計を見ると、36.5度と表示されている。
「完全復活! もう、超元気!」
「そっか、良かった良かった」
「ありがとうね、深月」
「もういいよ。マジで何回言うんだよ」
俺が笑うと明翔も笑った。
「普段の深月はさー荒っぽくて雑だけど、看病する時はすごく気が利くんだね」
「え?」
「寒くないか気にしてくれたりさ、食べる時にフーフーしてくれたり、俺の体力心配してくれたり」
「いや別に……それが看病ってもんだろ」
「そーかな。たまには熱出すのもいいなって思ったよ。深月が優しいからうれしかった」
明翔はいつもストレートに言葉にするから、いつもドキッとさせられる。
「できた! スペシャル朝定食!」
「卵焼きとウインナーの豪華共演!」
「それだけじゃない! なんと卵かけごはん!」
「超豪華!」
「あはは! 俺ら質素~」
元気いっぱいに笑ってる明翔を見て、昨日の自分の間違いに気付く。
やっぱり明翔は、元気なのが一番だ。
「明翔熱出しちゃってさ。今日は俺ん家に泊めるって一条に言っといてくれる? 39度くらいあってさ、今寝てんの。うん。うん、そーだな。あーい。みんなにも言っといてねー。うん、言っとくー」
かゆって簡単。塩と米を煮込むだけだ。でも、こんなんで栄養つくんかな。明翔38.9度も熱あるのに。
俺の部屋の方から音がして見ると、明翔が柔らか氷枕を持って部屋から出てこようとしている。
「何してんだよ! 寝てなきゃダメだろ!」
「だって、これブヨブヨしてきたから」
「替え持って行くから、明翔は寝てろ!」
「はーい」
もう起きたのか。寝続けるのもしんどいほどにしんどいんかな。
冷凍室から新たな柔らか氷枕を取り出す。
「あー、冷たい。気持ちいいー」
「ちょっとは熱下がったかな」
氷枕がかなりの熱を吸い取ったはずだけど。
「38.9」
「くっそー、39度の壁は高いな」
「いや、こんだけ氷枕ブヨブヨにしてこれだから普通に越えてただろーよ。薬飲む? 解熱剤あるよ」
「俺解熱剤でアナフィラキシーショック起こしたことあるから市販のは飲まないようにしてるんだよね」
「えっ、マジか」
じゃあ、寝るしかないか。今日は日曜だ。病院もやっていない。
「おかゆに何か入れる? 米だけじゃ栄養足りないんじゃねーの」
「そうかな。じゃあ、溶き卵入れて」
「お! おじやみたいでうまそうだな。そーする」
「なんか深月に世話かけに来たみたいになってごめんね」
「んなこと気にすんなよ。あ、颯太もさ、お大事にーって言ってたよ」
「おーありがと、颯太」
熱は変わってないけど、ちょっとは元気になってきてる気がする。
「食えそうだったら、早いけど食っちゃうか?」
「うん。昼メシも吐いてるし腹減った」
「じゃー、持って来るから」
「うん。ありがとう」
鍋とレンゲスプーンを持って俺の部屋に入ると、明翔が笑った。
「鍋から直なの?」
「え? 変?」
「茶碗あるでしょ」
「あー、あるある」
ベッドの上に座らせて、茶碗に入れたおかゆをレンゲスプーンですくいフーフーして明翔の口に入れる。こういう看病シーンよく見るけど、人に食わせるって案外難しい。
「あ、うまい!」
「お、マジで?! 俺意外と料理の才能あったりして」
「もしかして、まだ自炊したことなかったの?」
「あ。バレた」
「深月が初めて作った料理なんだ、これ。それはそれでうれしい」
うれしそうに明翔がにっこり笑う。クッソかわいいな、おい。
「ごちそうさまでした」
茶碗1杯のおかゆを食べて、明翔が手を合わせた。
「もういいの? 5杯はありそうなんだけど」
「うん。おいしかった。ありがとう」
明翔が布団にもぐる。
「エアコン効きすぎてない?」
「うん、ちょうどいいよ」
「あ、颯太から今日はうちに泊まるって一条に伝えてもらってるから」
「え、いいの?」
「いいよ。ゆっくりして行けよ。俺ソファで寝るし」
鍋と茶碗なんかを持って部屋を出ようと立ち上がった。
「深月」
「ん?」
「ありがとう」
「え……何回言うんだよ!」
「あはは! たしかに」
「んじゃ俺、これ片付けてくっから」
「うん」
あー。ずっと熱出しててもいいかもしんない。病気の明翔は何回かわいいと思わせるんだ。
片付けを済ませて部屋をのぞくと、寝付けないのがせわしなく寝がえりを打っている。
「体力消耗するだろ、そんなに動いてたら」
「あ! やっと帰って来た。これで寝れる」
「お……おう、寝ろ」
しばらく様子を見て、完全に寝付いたなと思った俺は起こさないようにそーっと立ち上がって部屋を出た。
そのまま、明翔は朝まで眠っていたようだ。
翌朝目覚めたら、明翔が台所で卵焼きを焼いていた。
「明翔、大丈夫なのか? また無理してんじゃねーだろうな」
「大丈夫だよ。ほら」
テーブルの上の体温計を見ると、36.5度と表示されている。
「完全復活! もう、超元気!」
「そっか、良かった良かった」
「ありがとうね、深月」
「もういいよ。マジで何回言うんだよ」
俺が笑うと明翔も笑った。
「普段の深月はさー荒っぽくて雑だけど、看病する時はすごく気が利くんだね」
「え?」
「寒くないか気にしてくれたりさ、食べる時にフーフーしてくれたり、俺の体力心配してくれたり」
「いや別に……それが看病ってもんだろ」
「そーかな。たまには熱出すのもいいなって思ったよ。深月が優しいからうれしかった」
明翔はいつもストレートに言葉にするから、いつもドキッとさせられる。
「できた! スペシャル朝定食!」
「卵焼きとウインナーの豪華共演!」
「それだけじゃない! なんと卵かけごはん!」
「超豪華!」
「あはは! 俺ら質素~」
元気いっぱいに笑ってる明翔を見て、昨日の自分の間違いに気付く。
やっぱり明翔は、元気なのが一番だ。
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