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幸せの連鎖
披露宴
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照明が落とされ、ここまで真っ暗にする必要ある?! と思っていたら子供の泣き声がする。
分かる。ビックリしちゃうよね。
「新郎新婦の入場です。皆さま、温かい拍手でお迎えください」
赤い扉が開き、真っ白なウエディングドレスに身を包んだなっちゃんと新郎さんが腕を組んで入ってくる。
あのブーケが次に結婚する子を決めるのだな。
「綺麗ね~、なっちゃん」
「うんうん。めちゃくちゃ似合ってますね」
新郎さんにも目が行く。
チャペルに現れた時、嘘でしょと思った。
食事が始まると、マナーなんてあやふやな私は慣れた様子の朝倉さんのマネをする。
「紗夜、中熱いからちょっと冷ましてからの方がいいかも」
「分かった」
魁十は熱々が好きだからパクパク食べていく。
そろそろいいかな、とひと口サイズに切って口に入れると、噛んだらジュワッと出てくる肉汁。これか。
「どうして魁十くんは呼んでうちの彼氏ちゃんは招待してくれないのかしら」
「だって、彼氏ちゃんには私たち会ったことないですもん」
「やっぱ若い子に会わせるのは不安なの。年上の友達は会ったことある子もいるんだけど、彼氏ちゃん誰にでも愛想いいから心配になっちゃうんだよね」
「ほんと高校生なのにできる子ちゃんですね。うちの子大学生でも愛想ないのに」
魁十がジト目で睨んでくるのを華麗にスルー。
してたら、華やかなワンピースの女子二人が私と魁十の間に走り込んできた。
「あ、あの、私たちと二次会行きませんか」
「すごくカッコいいってみんな言ってて、ぜひ来てください!」
なっちゃんの学生時代の友テーブルの子たちだ。
実は私は挙式の時点からこの子たちが魁十をガン見してるのに気付いていた。
ちっ、声かける勇気出してきたか。
「行きません。彼女いるんで話しかけないでください」
女子二人がバッと振り返って、間から魁十が私を指差してるのが見えた。
朝倉さんが無音で笑いながら両手の人差し指をこちらに向けビームでも出すかのように小刻みにつつく。
何その独特な煽り方。
披露宴会場の外、ホテルの広々した廊下で濃い赤とエンジのドレスのなっちゃんと新郎さんが親戚の方々であろう年配のご夫婦たちとしゃべっている。
会社の偉いさんたちは帰って行ったけど、少しでもなっちゃんと話せないかなと、朝倉さん、魁十と共にフカフカなソファーに座って様子を伺う。
「お疲れ様」
大輝くんが爽やかな笑顔を巻き散らかしながら近付いてくる。
やっぱスーツって魔力あるよね。2割増しにカッコ良く見える。
「魁十くん、スーツもいいね。男でも惚れ惚れするよ」
「ありがとうございます」
大学の入学式の時に買ったスーツ。
ワイシャツにバッグにシューズまで付いてなんとお値段3万円ポッキリだったけど、魁十が着ると全然ちゃちく見えない。
2割増した大輝くんよりも上回る。ビジュ良。
「あ、あの! 私たち隣の会場の結婚式に出てたんですけど、お食事でもご一緒にお願いできませんか?!」
勢いで来たな。
ダーッと走ってきた見たことない女子二人が興奮気味に魁十と大輝くんを見上げる。
あら、かわいい人たち。
なっちゃんの友達と違って落ち着いた大人の女性に見えるけど、その表情はまるで10代の乙女のよう。
なのに、すっかりめんどくさくなってる魁十の舌打ちが聞こえる。
愛想ない通り越して態度悪い。
「彼は無理だと思うけど、僕と僕の友達とどうかな?」
「キャー! ありがとうございます!」
また難波ガールズが増えるのか……ほんと、この人は空っぽだな。
カカカカカッ、と凄まじいヒールの音が響く。
バキッと一帯の空気を切り裂くような轟音がして、ピンヒールの赤いエナメルの靴が急に目の前に飛んできた。
ゴンッと魁十の腕に当たった靴が床に落ちる。
「……ビックリした……」
「うっ……痛え」
「カイ、大丈夫? ありがとうね」
顔を上げたら、片足裸足で片足のヒールがバッキリ折れてる河合さんの顔面が大輝くんの胸にめり込んでいる。
「どういう状態?」
「河合さんの靴のヒールが折れてこけた先に難波くんがいたの」
なるほど。
朝倉さんも立ち上がっちゃって呆然としてる。
「難波さん……行かないでください」
「河合さん……」
河合さんが大輝くんを見上げる。
白いほっぺたに際立つ3本の赤い線に驚かされた。
「どうしたの、その傷?」
「赤ちゃんがかわいかったので抱っこさせてもらったら、くしゃみした拍子に引っかかれました」
うわあ……顔に目立つ傷、靴はボロボロ。
ドジっ子ってより、もう運に見放されてる感じ……。
「難波さん、私と一緒にいてください。難波さんのそばにいたいんです」
他人事だけど、胸を打たれた。
こんなにも自分がズタボロなのに、河合さんは大輝くんのことしか頭にない。
もったいない。
大輝くんなんかに、その純粋な思いはもったいない。
だって、彼は人の気持ちを踏みにじったって平気なんだから。
分かる。ビックリしちゃうよね。
「新郎新婦の入場です。皆さま、温かい拍手でお迎えください」
赤い扉が開き、真っ白なウエディングドレスに身を包んだなっちゃんと新郎さんが腕を組んで入ってくる。
あのブーケが次に結婚する子を決めるのだな。
「綺麗ね~、なっちゃん」
「うんうん。めちゃくちゃ似合ってますね」
新郎さんにも目が行く。
チャペルに現れた時、嘘でしょと思った。
食事が始まると、マナーなんてあやふやな私は慣れた様子の朝倉さんのマネをする。
「紗夜、中熱いからちょっと冷ましてからの方がいいかも」
「分かった」
魁十は熱々が好きだからパクパク食べていく。
そろそろいいかな、とひと口サイズに切って口に入れると、噛んだらジュワッと出てくる肉汁。これか。
「どうして魁十くんは呼んでうちの彼氏ちゃんは招待してくれないのかしら」
「だって、彼氏ちゃんには私たち会ったことないですもん」
「やっぱ若い子に会わせるのは不安なの。年上の友達は会ったことある子もいるんだけど、彼氏ちゃん誰にでも愛想いいから心配になっちゃうんだよね」
「ほんと高校生なのにできる子ちゃんですね。うちの子大学生でも愛想ないのに」
魁十がジト目で睨んでくるのを華麗にスルー。
してたら、華やかなワンピースの女子二人が私と魁十の間に走り込んできた。
「あ、あの、私たちと二次会行きませんか」
「すごくカッコいいってみんな言ってて、ぜひ来てください!」
なっちゃんの学生時代の友テーブルの子たちだ。
実は私は挙式の時点からこの子たちが魁十をガン見してるのに気付いていた。
ちっ、声かける勇気出してきたか。
「行きません。彼女いるんで話しかけないでください」
女子二人がバッと振り返って、間から魁十が私を指差してるのが見えた。
朝倉さんが無音で笑いながら両手の人差し指をこちらに向けビームでも出すかのように小刻みにつつく。
何その独特な煽り方。
披露宴会場の外、ホテルの広々した廊下で濃い赤とエンジのドレスのなっちゃんと新郎さんが親戚の方々であろう年配のご夫婦たちとしゃべっている。
会社の偉いさんたちは帰って行ったけど、少しでもなっちゃんと話せないかなと、朝倉さん、魁十と共にフカフカなソファーに座って様子を伺う。
「お疲れ様」
大輝くんが爽やかな笑顔を巻き散らかしながら近付いてくる。
やっぱスーツって魔力あるよね。2割増しにカッコ良く見える。
「魁十くん、スーツもいいね。男でも惚れ惚れするよ」
「ありがとうございます」
大学の入学式の時に買ったスーツ。
ワイシャツにバッグにシューズまで付いてなんとお値段3万円ポッキリだったけど、魁十が着ると全然ちゃちく見えない。
2割増した大輝くんよりも上回る。ビジュ良。
「あ、あの! 私たち隣の会場の結婚式に出てたんですけど、お食事でもご一緒にお願いできませんか?!」
勢いで来たな。
ダーッと走ってきた見たことない女子二人が興奮気味に魁十と大輝くんを見上げる。
あら、かわいい人たち。
なっちゃんの友達と違って落ち着いた大人の女性に見えるけど、その表情はまるで10代の乙女のよう。
なのに、すっかりめんどくさくなってる魁十の舌打ちが聞こえる。
愛想ない通り越して態度悪い。
「彼は無理だと思うけど、僕と僕の友達とどうかな?」
「キャー! ありがとうございます!」
また難波ガールズが増えるのか……ほんと、この人は空っぽだな。
カカカカカッ、と凄まじいヒールの音が響く。
バキッと一帯の空気を切り裂くような轟音がして、ピンヒールの赤いエナメルの靴が急に目の前に飛んできた。
ゴンッと魁十の腕に当たった靴が床に落ちる。
「……ビックリした……」
「うっ……痛え」
「カイ、大丈夫? ありがとうね」
顔を上げたら、片足裸足で片足のヒールがバッキリ折れてる河合さんの顔面が大輝くんの胸にめり込んでいる。
「どういう状態?」
「河合さんの靴のヒールが折れてこけた先に難波くんがいたの」
なるほど。
朝倉さんも立ち上がっちゃって呆然としてる。
「難波さん……行かないでください」
「河合さん……」
河合さんが大輝くんを見上げる。
白いほっぺたに際立つ3本の赤い線に驚かされた。
「どうしたの、その傷?」
「赤ちゃんがかわいかったので抱っこさせてもらったら、くしゃみした拍子に引っかかれました」
うわあ……顔に目立つ傷、靴はボロボロ。
ドジっ子ってより、もう運に見放されてる感じ……。
「難波さん、私と一緒にいてください。難波さんのそばにいたいんです」
他人事だけど、胸を打たれた。
こんなにも自分がズタボロなのに、河合さんは大輝くんのことしか頭にない。
もったいない。
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