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誕生日プレゼント
今朝の弟
しおりを挟むまぶたに光を感じる。
さわさわとおでこに触れる感触……ん……朝?
まだ重いまぶたをゆっくりと開くと、魁十の部屋には二面にある窓はカーテン全開、キラキラ輝く魁十がベッドに頬杖をついて私の髪をなでながら微笑んでいる。
柴犬みたいな髪色が朝日を受けて金色で、もはや全宇宙を創造すべし神。
「おはよ。早く準備しないと遅刻するよ」
「カイ……おはよう……」
「まさかこの日差しの中10分以上も寝続けるとは思わなかった。もう7時半」
「7時半?! 遅刻する!」
「ごめん、寝顔かわいすぎて直接起こせなかった」
カーッと顔が熱くなる。
昨夜の予想を上回る勢いで目が覚めた。
慌ててガバッと体を起こすと、魁十が額にキスをしたからドキッとする。
寝坊したから急いで準備しないといけないんだけど……もっと欲しい。
「いいの? 遅刻しちゃうよ」
良くはない。でも……私のあごに手を添えた魁十が顔の向きを変えながらこめかみ、眉の間、目尻、と細かく移動しつつ口をつけていく。
耳はこしょばくて、体がビクッと震える。
ギューッと抱きしめられたと思ったら、魁十が動かなくなった。
「さっさと準備しろよ。朝メシの用意はしてやるから」
急にクールに言いながらベッドを下り、背中しか見えない魁十はそのままペタペタと部屋を出て行く。
え……唐突にポツーンなんですけど。
今の時間、何?
歯を磨いて顔を洗い、着替えを済ませ、とりあえずファンデを塗り眉を描きマスカラを重ねる。
ダイニングテーブルには卵かけごはんが置かれていた。早く食べられて助かる!
「カイ、ありがとう」
「どういたしまして」
食べ終わったら、卵ついてる、と魁十が私の口元をティッシュで拭う。
「ガキかよ」
「ごめん。お世話おかけします」
「ガキの頃のお返し」
舌を出していたずらっ子のように笑った魁十を見て、小さい頃は私が魁十のお世話をしたくてしたくてまとわりついていたのを思い出した。
やっといて良かった。
情けは人の為ならず、とは言え、当時の私は完全に楽しんでたけど返ってくるんだ。
子供の頃の私はたぶん、儚げで幻みたいにかわいい魁十を守りたかった。ずっとそばにいたかったから、消えてしまわないように。
「いつの間にか、すっかり魁十に守ってもらってる気がする」
ん? と首をかしげて笑った魁十がなぜかヨシヨシと頭をなでてくる。
「そうだよ。ずっと昔に、俺が紗夜を守るって決めたもん」
「そうなの?」
「悪い虫から鉄壁のガード。1匹だけすり抜けやがったけど」
「今はカイの虫になっちゃったしね」
魁十がブレスレットをシャラシャラと鳴らす。
さすがはハイブランド、光を反射して綺麗だし心地いい音がする。
「礼言っといて。これは気に入った」
「分かった。プレゼントは気に入ったけど大輝くんのことは嫌いって言ってたってお礼言っとく」
「それ礼って言うんか」
笑った魁十が今日もめちゃくちゃかわいい。
うちの婚約者がかわいすぎてヤバい、無理。会社行きたくなくなる。
さわさわとおでこに触れる感触……ん……朝?
まだ重いまぶたをゆっくりと開くと、魁十の部屋には二面にある窓はカーテン全開、キラキラ輝く魁十がベッドに頬杖をついて私の髪をなでながら微笑んでいる。
柴犬みたいな髪色が朝日を受けて金色で、もはや全宇宙を創造すべし神。
「おはよ。早く準備しないと遅刻するよ」
「カイ……おはよう……」
「まさかこの日差しの中10分以上も寝続けるとは思わなかった。もう7時半」
「7時半?! 遅刻する!」
「ごめん、寝顔かわいすぎて直接起こせなかった」
カーッと顔が熱くなる。
昨夜の予想を上回る勢いで目が覚めた。
慌ててガバッと体を起こすと、魁十が額にキスをしたからドキッとする。
寝坊したから急いで準備しないといけないんだけど……もっと欲しい。
「いいの? 遅刻しちゃうよ」
良くはない。でも……私のあごに手を添えた魁十が顔の向きを変えながらこめかみ、眉の間、目尻、と細かく移動しつつ口をつけていく。
耳はこしょばくて、体がビクッと震える。
ギューッと抱きしめられたと思ったら、魁十が動かなくなった。
「さっさと準備しろよ。朝メシの用意はしてやるから」
急にクールに言いながらベッドを下り、背中しか見えない魁十はそのままペタペタと部屋を出て行く。
え……唐突にポツーンなんですけど。
今の時間、何?
歯を磨いて顔を洗い、着替えを済ませ、とりあえずファンデを塗り眉を描きマスカラを重ねる。
ダイニングテーブルには卵かけごはんが置かれていた。早く食べられて助かる!
「カイ、ありがとう」
「どういたしまして」
食べ終わったら、卵ついてる、と魁十が私の口元をティッシュで拭う。
「ガキかよ」
「ごめん。お世話おかけします」
「ガキの頃のお返し」
舌を出していたずらっ子のように笑った魁十を見て、小さい頃は私が魁十のお世話をしたくてしたくてまとわりついていたのを思い出した。
やっといて良かった。
情けは人の為ならず、とは言え、当時の私は完全に楽しんでたけど返ってくるんだ。
子供の頃の私はたぶん、儚げで幻みたいにかわいい魁十を守りたかった。ずっとそばにいたかったから、消えてしまわないように。
「いつの間にか、すっかり魁十に守ってもらってる気がする」
ん? と首をかしげて笑った魁十がなぜかヨシヨシと頭をなでてくる。
「そうだよ。ずっと昔に、俺が紗夜を守るって決めたもん」
「そうなの?」
「悪い虫から鉄壁のガード。1匹だけすり抜けやがったけど」
「今はカイの虫になっちゃったしね」
魁十がブレスレットをシャラシャラと鳴らす。
さすがはハイブランド、光を反射して綺麗だし心地いい音がする。
「礼言っといて。これは気に入った」
「分かった。プレゼントは気に入ったけど大輝くんのことは嫌いって言ってたってお礼言っとく」
「それ礼って言うんか」
笑った魁十が今日もめちゃくちゃかわいい。
うちの婚約者がかわいすぎてヤバい、無理。会社行きたくなくなる。
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