うちの弟がかわいすぎてヤバい無理!

はちみつ電車

文字の大きさ
上 下
80 / 86
誕生日プレゼント

今朝の弟

しおりを挟む
まぶたに光を感じる。
さわさわとおでこに触れる感触……ん……朝?

まだ重いまぶたをゆっくりと開くと、魁十の部屋には二面にある窓はカーテン全開、キラキラ輝く魁十がベッドに頬杖をついて私の髪をなでながら微笑んでいる。

柴犬みたいな髪色が朝日を受けて金色で、もはや全宇宙を創造すべし神。

「おはよ。早く準備しないと遅刻するよ」
「カイ……おはよう……」
「まさかこの日差しの中10分以上も寝続けるとは思わなかった。もう7時半」
「7時半?! 遅刻する!」
「ごめん、寝顔かわいすぎて直接起こせなかった」

カーッと顔が熱くなる。
昨夜の予想を上回る勢いで目が覚めた。

慌ててガバッと体を起こすと、魁十が額にキスをしたからドキッとする。
寝坊したから急いで準備しないといけないんだけど……もっと欲しい。

「いいの? 遅刻しちゃうよ」

良くはない。でも……私のあごに手を添えた魁十が顔の向きを変えながらこめかみ、眉の間、目尻、と細かく移動しつつ口をつけていく。
耳はこしょばくて、体がビクッと震える。

ギューッと抱きしめられたと思ったら、魁十が動かなくなった。

「さっさと準備しろよ。朝メシの用意はしてやるから」

急にクールに言いながらベッドを下り、背中しか見えない魁十はそのままペタペタと部屋を出て行く。

え……唐突にポツーンなんですけど。
今の時間、何?


歯を磨いて顔を洗い、着替えを済ませ、とりあえずファンデを塗り眉を描きマスカラを重ねる。
ダイニングテーブルには卵かけごはんが置かれていた。早く食べられて助かる!

「カイ、ありがとう」
「どういたしまして」

食べ終わったら、卵ついてる、と魁十が私の口元をティッシュで拭う。

「ガキかよ」
「ごめん。お世話おかけします」
「ガキの頃のお返し」

舌を出していたずらっ子のように笑った魁十を見て、小さい頃は私が魁十のお世話をしたくてしたくてまとわりついていたのを思い出した。

やっといて良かった。
情けは人の為ならず、とは言え、当時の私は完全に楽しんでたけど返ってくるんだ。

子供の頃の私はたぶん、儚げで幻みたいにかわいい魁十を守りたかった。ずっとそばにいたかったから、消えてしまわないように。

「いつの間にか、すっかり魁十に守ってもらってる気がする」

ん? と首をかしげて笑った魁十がなぜかヨシヨシと頭をなでてくる。

「そうだよ。ずっと昔に、俺が紗夜を守るって決めたもん」
「そうなの?」
「悪い虫から鉄壁のガード。1匹だけすり抜けやがったけど」
「今はカイの虫になっちゃったしね」

魁十がブレスレットをシャラシャラと鳴らす。
さすがはハイブランド、光を反射して綺麗だし心地いい音がする。

「礼言っといて。これは気に入った」
「分かった。プレゼントは気に入ったけど大輝くんのことは嫌いって言ってたってお礼言っとく」
「それ礼って言うんか」

笑った魁十が今日もめちゃくちゃかわいい。
うちの婚約者がかわいすぎてヤバい、無理。会社行きたくなくなる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

消えた記憶

詩織
恋愛
交通事故で一部の記憶がなくなった彩芽。大事な旦那さんの記憶が全くない。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

処理中です...