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遠距離から散々にいいようにやられた恨み、仲間を殺された怒り、そういったものが彼らの全身から立ち昇っている。
が、それは決して賢い選択肢ではない。隘路では数の優位をいかすことができないからだ。
――衝突、まず紅孩児と悟空が迅影(はやかげ)と化して敵に突進する。
急所を裂かれ、あるいは鎧の上から頭蓋を砕かれ臓腑を破裂させられ、士卒が次々に地面に這う……
異常な強さの彼らを前に、敵勢の勢いが止まった。
生きて帰れると思うなよ! ――三蔵は声に出さずに凶暴な叫びをあげる。
金角と銀角、それに八戒の重量級の三人が、立花方の士卒たちへと突っ込んだ。彼らは対手の得物ごと敵を斬りふせる。
さらに悟浄が、それでも抵抗する者、あるいは仲間の隙を突こうとする対手を目ざとくみつけては屠(ほふ)る。
三蔵はその掩護にまわっていた。
他方、賢兼と円久尼、さらに士卒たちの活躍も目覚しい。騎乗から大身槍を豪腕でふるい、円久尼も荒馬を乗りこなしながら大薙刀を一閃する。
他の者たちも刀槍をきらめかせ、敵を切り裂いては血煙を吹かせた――
が、それは決して賢い選択肢ではない。隘路では数の優位をいかすことができないからだ。
――衝突、まず紅孩児と悟空が迅影(はやかげ)と化して敵に突進する。
急所を裂かれ、あるいは鎧の上から頭蓋を砕かれ臓腑を破裂させられ、士卒が次々に地面に這う……
異常な強さの彼らを前に、敵勢の勢いが止まった。
生きて帰れると思うなよ! ――三蔵は声に出さずに凶暴な叫びをあげる。
金角と銀角、それに八戒の重量級の三人が、立花方の士卒たちへと突っ込んだ。彼らは対手の得物ごと敵を斬りふせる。
さらに悟浄が、それでも抵抗する者、あるいは仲間の隙を突こうとする対手を目ざとくみつけては屠(ほふ)る。
三蔵はその掩護にまわっていた。
他方、賢兼と円久尼、さらに士卒たちの活躍も目覚しい。騎乗から大身槍を豪腕でふるい、円久尼も荒馬を乗りこなしながら大薙刀を一閃する。
他の者たちも刀槍をきらめかせ、敵を切り裂いては血煙を吹かせた――
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