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 その後の煙の末の行方は掴めなかった。
 小休止のために街道脇で仮眠をとることになり、栄助は小便に立った。そこに助左衛門も来て用を足す。
「なあ、ちょっと話したいことがある」
 小便が済んだところで助左衛門が神妙な声で言った。
「なんの話だ?」
 栄助の問いかけに助左衛門はやや躊躇ったのち、
「おまえの親父のことだ」
 と告げた。
 親父、と栄助は眉をひそめる。助左衛門に迷惑をかけた話なら前に聞いたが。
「お前の親父は確かに借財があったが、姿を消したのはそれが理由ではないかもしれない」
 え、と栄助は戸惑いを露わにする。
「うちの親父に話していたそうだ『己は御庭番の抜け忍だからいつか追手がかかるかもしれない』と」
「俺の親父が抜け忍、それがも御庭番」
 にわかには信じられない話だった。だが、
「向後、場合によっちゃおれたちは命がないかもしれない。だから、洗いざらい白状することにしんだ」
 と言う助左衛門の言葉に嘘があるとも思えない。
「そうか、俺が御庭番の子」
「結句のところ、おまえはおまえでしかないけどな」
 助左衛門のせりふに、確かにその通りだと思った。
 父親が実は御庭番の抜け忍だったとしても、栄助が村で育った事実に嘘はない。
「親父はどこぞで生きてるんだろうか」
「いや、それらしい人が追剥に遭って死んだと聞いた。追剥が偽装だとするなら抜け忍狩りの仕業だろう」
 栄助の何気ないつぶやきに、助左衛門が真剣な口調で応じた。
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