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第四章

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 岡田先輩に防犯ブザーをつけられた。
 佐久間も巻き添えになっていた。すまん…
 岡田先輩は篠崎を警戒している。確かに篠崎の様子は変だけれど…それより気になるのは今の教室の空気感だ。自分に悪い噂が流れている。くだらないくだらない噂だ。俺が事務員を誘惑して成績を上げているとのことだ。対象を教授としない辺りが何とも言えない。おそらく教授にすればデマを広げた者無事では済まないからだろう。
 教授陣はαが多い。αはプライドが高い。β風情に誘惑されたなどと事実無根の事を発せられれば報復を行うだろう。
 実害はないから放置はしているが…正直うざったい。同じ
 同じ講義をとっている。俺を知っている人たちは俺がそんなことをしているとは思っていない。ただ、学年が違う人たちは、わざわざ俺を観察しに教室までやってきて聞こえよがしにひそひそと言うのだ。
 見物人の大抵はアルファだ。
「あれが、あー、そういうことね。」とか「俺もお試ししてみたいもんだぜ」とかそんな感じの事を言っている。
 くだらない。
αのパートナーはΩと決まっている。βは遊びにしかならない。βの大半もそれを理解していて、ワザワザそんな所にいきはしない。遊びという認識で付き合うβもいるけど、それ狙いならそっちにいけ。
 佐久間は俺に、「一人になるなよ」と口が酸っぱくなるくらいに言う。
 正直、見物に来ているアルファ数人なんて簡単に転がせるんだけどな。俺が転がせないとすれば優とか護身術を身に着けているαぐらいだろう。
 そういうと佐久間は顔色を変えてがみがみと言い出した。
「アルファーは狡猾なんだよ。慢心するな。お前が護身術に長けていても、薬を盛られたら意味がないだろう!」と。
 わざわざ薬を盛ってまでオレをどうにかしようとする馬鹿な輩なんて居ないと思うが。アルファーの位は俺達βには分からないけれど、でもこの学校に来れるだけでもそれなりのαなんだとはおもう。
 それに…基本的に食べ物には注意している。俺に差し入れをしてくれるものは基本的に食べない。これは、俺の武術の師匠ともいえる人、優の父親の猛に徹底させられたのだ。どうしても食べなければならない場面では、くれた人にもおすそ分けして当人が飲み込んだのを確認して食べる様にしている。
まぁ、ワザワザ佐久間とかに触れ回る必要はないけれど。


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