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川岸で姫と

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背中合わせに座る。宗平の体温が心地よい。

「私には親友がいたの。親友の一番でありたかったけど、親友の一番は恋人だった。それは当然の事なのに特に考えたりもしなかった。とにかく二人を引き裂きたくて。けれどお二人は信頼し合っててそのまま結婚することになったわ」

結婚すれば親友はさらに彼氏を大事にする。そのことに恐怖すら覚えた。

「最初に結婚を知ったのは私ではなかった。」
彼女のもう一人の親友が一番に知った。サヤはさらに恐怖を覚えた。親友の前では何で自分に最初に知らせてくれなかったの?と言って拗ねてみせた

「彼女は拗ねた私をなだめるのに秘密を一つ教えてくれたわ。私にしか言わないと」

あなたは親友だから。絶対に他の人には内緒だよ?

「二人は兄弟だった」

ここでも同母でなければ結婚できる。サヤのいたところでもだ。だが、次第に血が濃くなり始め 兄弟の結婚はあまり 賛成はされなくなりつつあった。子ができる可能性はゼロに近かったためである。それでも、一般的には認められていたのだ、親友の婚約者を除いて。
親友の婚約者はとても優れた科学者であり、その遺伝子を引き継ぐ子を政府は未来のために望んでいた。
政府は、基本的に自由恋愛を認め、そのために二十歳を過ぎると子は戸籍抜ける。幼児期を共に過ごすでもしない限り周囲には兄弟かはわからないものなのだが。

「私が言わなければ 誰も反対しなかったはず。 けれど 私は……」

政府に密告した。二人の髪の毛を持って。

「二人の結婚に横槍が入ったわ。私が裏にいたことに二人はすぐ気が付いた。私しか知らなかったのだから」

ーーーーーあなたがたの結婚は不可能です。博士の子供をあなたでは望めない。
ーーーーーサヤ、あなたが言ったのね
ーーーーーそうよ
ーーーーーなんで?彼のことが好きだったの?

「二人を別れさせた。一番になれると浅はかにも思ったわ」

ーーーーー代わりにサヤさんではどうでしょうか。顔も体つきも似ていますし
ーーーーー馬鹿にするな。俺は婚約者の心に惚れたんだ
ーーーーーでは暗示で婚約者の性格をコピーさせましょう
ーーーーーふざけるなっ

「結局、私が彼女の恋人と結婚することになったわ。親友は私を恨まなかった。私が彼に惚れていると思ったのね。ただ…親友は私達の前から去った。夫は私を憎み、私は怖くなって夫から逃げ出したの」

「……」

「口に出すとくだらなすぎて涙も出ないわね。ただ月を見てみると良心が痛むの。彼女も同じ月を見ているのかなと思って」

親友は月を見ているのだろうか、荒れ果てた地球で。生存率20%の任務の中で。

「帰るわ。先輩からの忠告よ。1番ではなくても我慢しなさい。彼にとってあなたが何番目になろうとも大切なのは変わりないはずだわ。じゃあね」

言って、沙野は去っていった

「あ、待って……」

宗平は沙野の背を見送った。自分は木だと言った以上、口を挟むのは規定違反。

沙野姫は結婚していたのか。そして憎まれていると…宗平は頭を振った。とりあえず東宮殿に帰らなければ
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