あかね色に染まる校舎に舞い落ちた君は

山井縫

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休日の朝方にモーニングコールで起こしてきたのは

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「日奈はエリナがいなくなってどう思ってるかな」
『さあね、いい気味……とまでは思ってないかもしれない。けど、どうだろうね。ここまで色々こじれた人間関係とか空気をリセットしたいって思ったとしても自然かな』
「そう、だよね」
 日奈達だって入学直後はエリナに惹かれていたことは間違いない。でも、今現在はどうだろう。可愛さ余って憎さが百倍という事も考えられないだろうか。
『もっと単純に日奈がエリナに謝るのが良かったんじゃないかとも思うけどね』
「それは、出来ないだろうな」
 勿論日奈だって普通の事なら頭を下げることくらいは出来ると想う。でも、ここに至るまでの様々な要因が複雑に絡みあってしまっている。そもそも謝るって何をって話にもなる。既にその段階は過ぎてしまったのだ。
『でも、それでも謝るんだよ。自分が悪いと想ったら、許してもらいたいと想ったら謝り続けるしかないじゃん』
「本心から悪いと思ってりゃね。聞いてる限りじゃそうじゃないでしょ」
 香が言ってるのは芯から謝るという奴だ。通り一遍ではなく心の底から反省しているという姿を見せるという事だ。100%自分が悪いと思っているならそれも出来る。 
 でも、そうじゃない場合はやはり難しい。別に日奈が特別じゃない。私だって同じ立場ならできるか自信はない。
『なら、許してほしいって思わない事だね』
「そうだね。それにそれを望んでも、もう絶対無理になっちゃった訳だし」
『う……ん。そうだね』と言った後、彼女は再びこの言葉を吐き出した『ねえ、えりな……何で死んじゃったんだろうね』
「……何でだろう、ね」
『スンッズッ……ごめんね』
 電話の向こうで彼女が鼻をすする音と涙声が聞こえてくる。
「うん、いいよ。いいんだ」
 と答える私の声も沈んでしまう。泣くなよなんて言えない。私だってその気持ちだからだ。かと言って寂しいねとか哀しいなとか、そんなありきたりな言葉を出すことも怖い。その言葉に気持ちが呑み込まれそうになるから。
『電話、長くなったね。ごめんね、今日はもう切るよ。また、来週、学校で』
「う……」
 彼女の発した言葉に私の方の言葉を一瞬詰まらせてしまった。また、来週、学校で。それは、私がえりなから聞いた最後の言葉だったからだ。
『え? どしたの?』
 その様子を不審に思ったのだろう、驚いた様子で香は聞き返してきた。
「いや、何でもない。香の方は大丈夫?」
『んふふふ。うん、大丈夫。トーコと話せて少し落ち着いたよ。トーコこそ大丈夫?』
「う……ん」
『はあ……まあ大丈夫じゃないよね』
「いや、大丈夫だよ。こちらこそありがとう、電話してくれて。また、学校でね」
「はいっはーいっ。まったっねー」
 電話の最後。やたらスタッカートの利いたハイテンションで彼女は電話を切る。最後は務めて明るくしようとしてくれたのだろう。
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