あかね色に染まる校舎に舞い落ちた君は

山井縫

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日曜のランチタイムで過ごすひと時は

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 昨日は香と電話で話した後も宿題を片付けた後はやることも無く悶々と過ごした。
 開けて日曜日。今日はどう過ごそうかと想い外を見ると雨は上がっていたものの曇り空。晴れていたら香でも誘って遊びに行こうかとも思ったが、なんだかそんな気も起きない。
 ボーッとしながらコーヒーを飲みトーストを頬張るとスマホのバイブ音がなる。見ると仕事へ出ていた母からのメッセージだった、内容は、【ごめん、ハンコがいるんだけど忘れちゃったの、届けに来てくれない?】というもの。
 一瞬面倒くさいなとは想った。が、仕事をしながら私達姉弟を育ててくれているのだ。感謝しなきゃなと思い直し職場の病院に向かうことにした。
 母が勤めている月ヶ瀬総合病院は市の中心から少し離れた立地にある。往復だと結構な距離だ。
 でも気分が沈んでいる今なら寧ろ外の空気を吸いながら身体を動かした方が気分転換になるかもしれない。そう想い散歩がてら徒歩で向かうことにした。
 今日は日曜日なので正面玄関は空いていない。裏口に回った。時間は十一時三十分頃。扉前に少し苦笑いしながら待ちわびた様子の母の姿が目に入ってくる。
「ほら、持ってきたよ。もう、気をつけてよね」
 私は渋った顔をしながらハンコを渡す。すると母は、
「ごめんごめん。ありがとうね、お昼まだでしょ、みつるにも何か買っていってあげて」と言って二千円くれた。
 今日は豪華なお昼に出来そうだ。いや、みつるにはハンバーガーでも買っていって私は残り総取りにすることも……。途端に機嫌を良くした私は受け取りながら、
「ふふん。ありがとう。また何か忘れ物があったらいつでも言ってね」と答える。
「全くこの娘は現金なんだから。誰に似たのかしら」
「カエルの子はカエルってことでしょ」
「もう、減らず口ばかりね」母はそういいながら時計を見ると「あら、いけない。私もお昼にしなきゃ、気をつけて帰るのよ」と言って行ってしまった。
 一人になった私はさて、どうしよう。
 お金もあるしとりあえず駅の方まで行ってみようかと思っていると、
「あら、東雲さんじゃない。妙なところで会うわね」
 後ろから声をかけられる。
 母の同僚に知り合いもいるのだが、そういった人たちのものではない。でも、その声には聞き覚えがあった。
「滝田さん、偶然ですね」
 驚いて振り返るとそこには品川刑事を従えた滝田刑事が立って
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東雲塔子シリーズ
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【連作短編集】東雲塔子の事件簿
あかね色に染まる校舎に舞い落ちた君は
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