あかね色に染まる校舎に舞い落ちた君は

山井縫

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帰路の車中で目に付いた物は

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「まあ、そうですね。特に私達は降矢先生が担任だっていうのもありますし」
「っていう事は皆寄ってたかってあれこれ勝手な噂を流してるのかな」
 苦笑交じりに言うしおり先生に私は少し慌てて言う。
「いや、別にどちらかを悪く言ってる訳じゃないんですよ」
 ここまで話していて少し私は後悔した。事は二人のプライベートな事に踏み込む。
「彼は教科担当。それに比べて私は殆ど保健室詰め。生徒から見たら接点は思い浮かばないだろうね」
「そうなんです。それで意外だなって思っているだけですよ」
「まあ、それは否定しない。学校で彼との関係は実際そんなものだったしね。ただ合間にアプローチは受けたりはしてたのよね」
「アプローチって校内でですか」
 そこまであからさまにやっていたのかと少し驚くが噂になっていたという事はそこまであからさまだったのだろう。
「うん。休み時間の合間とか、放課後に保健室にやってきてね。ご飯一緒にどうですかとか呑みに行きませんかとかね」
「それって勤務時間中ですよね」
「ああ、つい最近までプライベートな連絡先ですら交換していなかったよ。だから直接やってきていたんだろうね。終いには休み時間には必ず来るようになったし私もほとほと困ってね」
 セクハラとかコンプライアンスとか教師としての業務上の姿勢とかなんか色々抵触してないかその行動。
「えええええ。そ、そこまで深刻だったんですか。で、でも……それでも婚約したんですよね。ど……」『どうして』と言いかけて言葉を止める。それこそ下世話な質問でしかないという事に気が付いたからだ。
「夏休みに入る前にね。校長の音頭で教職員数人暑気払いという事で仕事終わりに飲み会があったんだ」
「は、はあ」
 そんな私に対して突然しおり先生が始めた話。私は無理に話題を変えようとしているのかと一瞬思って曖昧な答えを返す。
「お酒が入るからその日車通勤は止めにしたんだけどね、その中に降矢先生もいたんだよ。でも、私、終わる頃には酔っぱらってしまってね。不覚にも寝てしまったの」
「ええ。本当ですか。何か余り想像が付きませんね」
 今こうして喋っている先生の姿は泰然自若といった感じでお酒を飲んでも乱れるような姿が想い浮かばない。
「私も今までそんな事経験したことなかった。お酒も強い方だって思ってたんだけどね。そこからは記憶が曖昧なんだけどそんな私を降矢先生が介抱してくれてね。タクシーで家まで送ってくれたんだ。まあ、そんなことがあったんで流石に邪険に出来ず、お礼にこちらから食事に誘う形になってね」
「はあ、なるほど。そういう事がきっかけで仲を深めたということなんですね」
「まあ、簡単に言えばそんな所かな」
 そういう形で少しずつ関係を育んでいった。とはいえ二人は教師だから表立って仲良くすることは憚られる。だから、結果婚約発表がサプライズ報告の様になったという訳か。
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