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第61話 国王陛下が現れた訳。
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研究室の中は、そりゃあ酷いものだった。
ベルナドット様は、燃え尽きて真っ白になってるし――エリザベス様は……あれ、気絶してる気がするんだけど……。
エドガー様とクリス先輩の目は虚ろ。情報を処理しきれて無いんだろう。ダグ君は、「子竜?え?マジで??」と混乱中で、ベルク先生は色々と諦めたような顔をしていた。
ウォルフ先輩は、笑いを堪え過ぎたのか痙攣してるし。アルは――意識を手放したいって感じの顔をしてた。
私は――こうやって皆を観察する事で平静を保とうとしています。じゃなきゃ、令嬢とは思えない言葉で罵りそうだったから。
「――そんなに動揺するような話でしたか??皆さん、少し精神を鍛えた方が良いのでは?」
「いいえ、お父様――お父様達が変なだけで、私達はまともですわ……」
疲れたようにそう言えば、父と陛下が理解不能だというような顔をした。私達が動揺したり疲れたような顔をしている意味が分からないらしい。
普通に考えれば、この国のトップにいる人達にホイホイとダンジョンに潜って欲しく無いと思うんだ。万が一何かあったらって思うじゃない?
けど、今分かった。この人達にとってはダンジョンに潜るのって日常生活と変わらないんだ――きっと。
強すぎるからなのかもしれないけれど『万が一』の可能性が、普通に生きてるのと変わらない位の確率でしか起こらないって知ってるんだろう。だからS級。
「そろそろ良いですか?父上――何しにここに来たのか忘れてませんよね??」
アルが笑顔でそう言えば、陛下は「?」って顔をした後、「大丈夫、大丈夫忘れて無い無い」と信憑性皆無な事を言った。それを見たアルが、忘れてましたね――と冷めた口調で呟く。
「うん。まぁ、あれだ――まずは、不肖の倅が秘密を話すほど信頼した連中に会ってみたかったのが一つ――流石に全員と謁見ってのは色々悪目立ちするからな……だから、俺が来る事にした訳だ。それから、魔女の件に関してもう少しちゃんとした連携を取れるようにしようと思ってな……」
「えぇ。私達のクランが『何』かは理解して頂けたかと思いますが――今の所、私達との連絡手段は殿下しかない状況でしたね?なので、そこをどうにかしておこうとなった訳です」
アルは連絡用の水晶球を持っているらしいんだけど、その水晶は定時連絡用。連絡する時間――日付を指定して使うんだって。王城にある水晶が親機、アルの持ってる水晶が子機らしい。それで、親機は携帯出来ない位に大きいんだとか。緊急時の連絡には向かないそう。
その代わり、綿密に術が施された部屋にあるから、盗聴されたりとかの心配が無くなるらしい。
て言うか、父よ――そりゃ家で会う事が少ない娘ですが、私から父に連絡取れるんじゃ……?と思うよね。けど、昔兄が落馬して生死の境を彷徨った時――三日間父と連絡が取れなかった前科があるのだ。
忙し過ぎて、連絡があった事すら気が付かなかったらしい。
「これを、全員に渡しておきます」
そう言って父が取り出したのは、金色、小振りのメダリオン。受け取ったそれはペンダントになっていて、楕円形のコインには武器にしか見えないナイフとフォークをもったチビ竜が挑戦的に笑っている姿が刻印されていた。
多分、クランとしてのマークがこれなんだろう――無駄に可愛い。
「私達は、クランの本拠地を秘匿していますので――連絡を取りたい場合はこれを冒険者ギルドで見せれば、ギルドから私達の誰かに連絡が入る仕様です。緊急時には『レッドからのオーダー』だと符牒を告げて頂ければ最優先で連絡が来ます」
どうやらギルドの上層部も陛下達の正体を知ってるっぽい。
だからこそ、本拠地を秘匿して連絡の窓口をギルドにしてあるんだろう。……誰も止めなかったのかな?ギルドの人――と思ったら、現在の王都のギルドマスターが陛下達が学園に在籍してた頃のご学友だとか。
学生時代は一緒にダンジョン潜ってたらしいので、その人が協力者として色々と便宜を図ってくれるらしい。
まぁ、ギルドからしても、正体を考えなければS級冒険者のクランが王都のギルドに在籍しているってだけで利点があるんだと思う。他国のギルドに対しても箔がつくって言うの?発言権とかが増すらしい。
王城に向かうより、ギルドの方が学園から断然近いから、確かに急ぎの時はこの連絡手段は頼りになりそうだった。
「後は、情勢の話になっちまうが――ファージルの反乱が激化しそうだ。王族がコッチに逃げて来るかもしれないっつー話もあるし、メルジェドの方からは短期留学生を寄こしたいと言う話も出ている。正直、魔女探しにに手勢を割けるのは少数だ」
陛下の言葉に、皆が固唾を飲んだ。
山向こうの国の王族――山越で逃げて来る気なのだろうか?難しい気がするんだけど。けど、その意外性に生き残りを掛けているのかもしれない。
王族が逃げて来たら、追い返す訳にもいかないだろうし、難しそうな案件だ。陛下としてはウチでは無い別の国に逃げて欲しい事だろう。
それからメルジェドって、最近ちょっと動きが怪しいんだよね……。何か、そこの国から来てる商人の数が極端に減ったし……。巫子の噂とかも変だし、その国からの短期留学の要請……。うーん。やっぱりちょっと怪しい感じ?
今まで、メルジェドからの短期留学の要請とか聞いた事無いしね。
「メルジェドですが――先日から、巫子の噂が市中に流れていますね。あれは、あちらの間諜の工作活動だと言う事が分かっています。しかもこのタイミングで短期留学の要請ですので――まぁ、怪しいと言わざるおえません。受け入れるかどうかの結論はまだ出ていませんが、許可する場合、皆さんにも関わりが出来る事になるはず……十分に注意して下さい」
「ま、そんな所だな――おっと忘れてた!」
そう言って、陛下は何かを取り出すとエドガー様に向かって投げた。驚いたエドガー様が慌てて受け取ると陛下がニヤリと笑った。
「例の術具だ」
「――父上?そんな大事なものを投げないで下さい!!」
アルが頭を抱えたそうな顔をして叫んだ。
エドガー様の手の中にあるのは、親指大のペリドットみたいな石が嵌ったブローチだ。縁取りの金色の部分には、細かい模様が彫られ、一見、品の良いただのブローチにしか見えない。
「落さなかったんだから良いだろうが……へいへい、俺が悪かったよ――そうだ、エドガー少年――護衛が付いて行動が制限されてるのが不満そうだが、そりゃ、お前さんが覚えて無いくらいガキの頃に誘拐されかかった事があるからだ。久しぶりに会ったら『息子が口をきいてくれない』ってうっとおしいオッサンがいたからよ――俺に免じてそろそろ許してやってくれ」
「――っ!……わ、分かりました……」
どうやら、エドガー様――お気に入りのパン屋に寄れなくなった事が納得できなかったらしくて、フラウナー伯爵と冷戦状態だったらしい。陛下に苦笑しながら言われて、恥ずかしそうに返事をしていた。
「その内、ダンジョン行こうぜって伝えといてくれ。あ、でもそれだと俺が会ったってバレるかぁ……やっぱ無し。余計な事言ったって分かったら、面倒くさそうだからな……」
「まぁ、基本常識人の先輩なら、陛下が抜けだして学園に行ったと知れば説教する為に飛んでくるでしょうね」
どうやらフラウナー伯爵は陛下や父の先輩にあたるらしい。クランにこそ入らなかったものの、学生時代は一緒にダンジョンに潜って遊んでいたそうだ。
陛下が王太子の頃は割と馬鹿な事にも付き合ってくれたらしいけれど、王位を継いだ後は厳しくなったらしい。
エドガー様は、フラウナー伯爵が『笑いキノコ』の胞子を浴びて笑い過ぎて死にかけたとか言う失敗談を聞いて、普段の厳格な父親像が崩れ、目を白黒させていた。
「ルドルフ――落ち着いたら酒でも奢ってやる。大変だろうが、頼んだぞ」
「はい――陛下……」
陛下は立ちあがるとベルク先生の肩に手を置きそう言って笑った。
どうやら、ベルク先生には人の話した事の『真偽』が分かるスキルを持っているらしく、その辺の事もあってヒロインの捜索に駆り出されているんだって。
「何だよ、昔みたいに先輩って呼んでも良いぞ??」
「勘弁して下さい……」
陛下がニヤリと笑って言えば、ベルク先生が疲れたように苦笑した。
『ダンジョン研究会』――それが、ベルク先生がかつて所属した研究会なのだと言う。先生は、主にダンジョン生成の法則なんかを主に調べる為にダンジョンに潜る『研究組』として研究会に入っていたらしい。
その研究会のOBでダンジョンに潜る事自体を目的とした『攻略組』に所属していたのが陛下や父達――。
王位を継ぐまでは、卒業後も研究会に顔を出していたらしいので、ベルク先生はガドヴェルド先輩と陛下の事を呼んでいたようだ。うん仲良しですね。
だから、ベルク先生は誰が来るのかを知らされてたんだろう。
「――コレみたいになれとは言わないが、そろそろ自分を呪うのは止めとけ――お前は幸せになるべきなんだからな――……」
ベルク先生は薄く笑うだけで、陛下に返事はしない。他の人達には低く小さく囁かれた陛下の声に気が付いたかどうかわからないけれど、私は目を瞠った。思い当たる節があったからだ。
けれど、今それを口に出して指摘する訳にはいかない。
陛下と父は、用事は済んだとばかりに去って行った――父は帰り際にウォルフ先輩に目礼した後、こちらはまったく見ずに出て行く――。
まるで嵐だ。本当に陛下と父が、この場にいたかも怪しい位。けれど、手の中のペンダントがその嵐が現実に来たのだと教えてくれていた。
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閑話なみに長くなりました。申し訳ありません;;;
二度見した結果、お気に入り登録が3ケタ入ってました!!少し前にお気に入り件数、80件越え嬉しいです!と言っていたのに、まさかの状況に無茶苦茶ビックリです!!登録、本当にありがとうございます!!
――ティアさん寮暮らしなのに、何故か実家でちょいちょい宰相閣下と会ってる描写があるので、その内、修正して辻褄を合せる予定です。どう合わせよう……ボケてて済みません……;;;
ベルナドット様は、燃え尽きて真っ白になってるし――エリザベス様は……あれ、気絶してる気がするんだけど……。
エドガー様とクリス先輩の目は虚ろ。情報を処理しきれて無いんだろう。ダグ君は、「子竜?え?マジで??」と混乱中で、ベルク先生は色々と諦めたような顔をしていた。
ウォルフ先輩は、笑いを堪え過ぎたのか痙攣してるし。アルは――意識を手放したいって感じの顔をしてた。
私は――こうやって皆を観察する事で平静を保とうとしています。じゃなきゃ、令嬢とは思えない言葉で罵りそうだったから。
「――そんなに動揺するような話でしたか??皆さん、少し精神を鍛えた方が良いのでは?」
「いいえ、お父様――お父様達が変なだけで、私達はまともですわ……」
疲れたようにそう言えば、父と陛下が理解不能だというような顔をした。私達が動揺したり疲れたような顔をしている意味が分からないらしい。
普通に考えれば、この国のトップにいる人達にホイホイとダンジョンに潜って欲しく無いと思うんだ。万が一何かあったらって思うじゃない?
けど、今分かった。この人達にとってはダンジョンに潜るのって日常生活と変わらないんだ――きっと。
強すぎるからなのかもしれないけれど『万が一』の可能性が、普通に生きてるのと変わらない位の確率でしか起こらないって知ってるんだろう。だからS級。
「そろそろ良いですか?父上――何しにここに来たのか忘れてませんよね??」
アルが笑顔でそう言えば、陛下は「?」って顔をした後、「大丈夫、大丈夫忘れて無い無い」と信憑性皆無な事を言った。それを見たアルが、忘れてましたね――と冷めた口調で呟く。
「うん。まぁ、あれだ――まずは、不肖の倅が秘密を話すほど信頼した連中に会ってみたかったのが一つ――流石に全員と謁見ってのは色々悪目立ちするからな……だから、俺が来る事にした訳だ。それから、魔女の件に関してもう少しちゃんとした連携を取れるようにしようと思ってな……」
「えぇ。私達のクランが『何』かは理解して頂けたかと思いますが――今の所、私達との連絡手段は殿下しかない状況でしたね?なので、そこをどうにかしておこうとなった訳です」
アルは連絡用の水晶球を持っているらしいんだけど、その水晶は定時連絡用。連絡する時間――日付を指定して使うんだって。王城にある水晶が親機、アルの持ってる水晶が子機らしい。それで、親機は携帯出来ない位に大きいんだとか。緊急時の連絡には向かないそう。
その代わり、綿密に術が施された部屋にあるから、盗聴されたりとかの心配が無くなるらしい。
て言うか、父よ――そりゃ家で会う事が少ない娘ですが、私から父に連絡取れるんじゃ……?と思うよね。けど、昔兄が落馬して生死の境を彷徨った時――三日間父と連絡が取れなかった前科があるのだ。
忙し過ぎて、連絡があった事すら気が付かなかったらしい。
「これを、全員に渡しておきます」
そう言って父が取り出したのは、金色、小振りのメダリオン。受け取ったそれはペンダントになっていて、楕円形のコインには武器にしか見えないナイフとフォークをもったチビ竜が挑戦的に笑っている姿が刻印されていた。
多分、クランとしてのマークがこれなんだろう――無駄に可愛い。
「私達は、クランの本拠地を秘匿していますので――連絡を取りたい場合はこれを冒険者ギルドで見せれば、ギルドから私達の誰かに連絡が入る仕様です。緊急時には『レッドからのオーダー』だと符牒を告げて頂ければ最優先で連絡が来ます」
どうやらギルドの上層部も陛下達の正体を知ってるっぽい。
だからこそ、本拠地を秘匿して連絡の窓口をギルドにしてあるんだろう。……誰も止めなかったのかな?ギルドの人――と思ったら、現在の王都のギルドマスターが陛下達が学園に在籍してた頃のご学友だとか。
学生時代は一緒にダンジョン潜ってたらしいので、その人が協力者として色々と便宜を図ってくれるらしい。
まぁ、ギルドからしても、正体を考えなければS級冒険者のクランが王都のギルドに在籍しているってだけで利点があるんだと思う。他国のギルドに対しても箔がつくって言うの?発言権とかが増すらしい。
王城に向かうより、ギルドの方が学園から断然近いから、確かに急ぎの時はこの連絡手段は頼りになりそうだった。
「後は、情勢の話になっちまうが――ファージルの反乱が激化しそうだ。王族がコッチに逃げて来るかもしれないっつー話もあるし、メルジェドの方からは短期留学生を寄こしたいと言う話も出ている。正直、魔女探しにに手勢を割けるのは少数だ」
陛下の言葉に、皆が固唾を飲んだ。
山向こうの国の王族――山越で逃げて来る気なのだろうか?難しい気がするんだけど。けど、その意外性に生き残りを掛けているのかもしれない。
王族が逃げて来たら、追い返す訳にもいかないだろうし、難しそうな案件だ。陛下としてはウチでは無い別の国に逃げて欲しい事だろう。
それからメルジェドって、最近ちょっと動きが怪しいんだよね……。何か、そこの国から来てる商人の数が極端に減ったし……。巫子の噂とかも変だし、その国からの短期留学の要請……。うーん。やっぱりちょっと怪しい感じ?
今まで、メルジェドからの短期留学の要請とか聞いた事無いしね。
「メルジェドですが――先日から、巫子の噂が市中に流れていますね。あれは、あちらの間諜の工作活動だと言う事が分かっています。しかもこのタイミングで短期留学の要請ですので――まぁ、怪しいと言わざるおえません。受け入れるかどうかの結論はまだ出ていませんが、許可する場合、皆さんにも関わりが出来る事になるはず……十分に注意して下さい」
「ま、そんな所だな――おっと忘れてた!」
そう言って、陛下は何かを取り出すとエドガー様に向かって投げた。驚いたエドガー様が慌てて受け取ると陛下がニヤリと笑った。
「例の術具だ」
「――父上?そんな大事なものを投げないで下さい!!」
アルが頭を抱えたそうな顔をして叫んだ。
エドガー様の手の中にあるのは、親指大のペリドットみたいな石が嵌ったブローチだ。縁取りの金色の部分には、細かい模様が彫られ、一見、品の良いただのブローチにしか見えない。
「落さなかったんだから良いだろうが……へいへい、俺が悪かったよ――そうだ、エドガー少年――護衛が付いて行動が制限されてるのが不満そうだが、そりゃ、お前さんが覚えて無いくらいガキの頃に誘拐されかかった事があるからだ。久しぶりに会ったら『息子が口をきいてくれない』ってうっとおしいオッサンがいたからよ――俺に免じてそろそろ許してやってくれ」
「――っ!……わ、分かりました……」
どうやら、エドガー様――お気に入りのパン屋に寄れなくなった事が納得できなかったらしくて、フラウナー伯爵と冷戦状態だったらしい。陛下に苦笑しながら言われて、恥ずかしそうに返事をしていた。
「その内、ダンジョン行こうぜって伝えといてくれ。あ、でもそれだと俺が会ったってバレるかぁ……やっぱ無し。余計な事言ったって分かったら、面倒くさそうだからな……」
「まぁ、基本常識人の先輩なら、陛下が抜けだして学園に行ったと知れば説教する為に飛んでくるでしょうね」
どうやらフラウナー伯爵は陛下や父の先輩にあたるらしい。クランにこそ入らなかったものの、学生時代は一緒にダンジョンに潜って遊んでいたそうだ。
陛下が王太子の頃は割と馬鹿な事にも付き合ってくれたらしいけれど、王位を継いだ後は厳しくなったらしい。
エドガー様は、フラウナー伯爵が『笑いキノコ』の胞子を浴びて笑い過ぎて死にかけたとか言う失敗談を聞いて、普段の厳格な父親像が崩れ、目を白黒させていた。
「ルドルフ――落ち着いたら酒でも奢ってやる。大変だろうが、頼んだぞ」
「はい――陛下……」
陛下は立ちあがるとベルク先生の肩に手を置きそう言って笑った。
どうやら、ベルク先生には人の話した事の『真偽』が分かるスキルを持っているらしく、その辺の事もあってヒロインの捜索に駆り出されているんだって。
「何だよ、昔みたいに先輩って呼んでも良いぞ??」
「勘弁して下さい……」
陛下がニヤリと笑って言えば、ベルク先生が疲れたように苦笑した。
『ダンジョン研究会』――それが、ベルク先生がかつて所属した研究会なのだと言う。先生は、主にダンジョン生成の法則なんかを主に調べる為にダンジョンに潜る『研究組』として研究会に入っていたらしい。
その研究会のOBでダンジョンに潜る事自体を目的とした『攻略組』に所属していたのが陛下や父達――。
王位を継ぐまでは、卒業後も研究会に顔を出していたらしいので、ベルク先生はガドヴェルド先輩と陛下の事を呼んでいたようだ。うん仲良しですね。
だから、ベルク先生は誰が来るのかを知らされてたんだろう。
「――コレみたいになれとは言わないが、そろそろ自分を呪うのは止めとけ――お前は幸せになるべきなんだからな――……」
ベルク先生は薄く笑うだけで、陛下に返事はしない。他の人達には低く小さく囁かれた陛下の声に気が付いたかどうかわからないけれど、私は目を瞠った。思い当たる節があったからだ。
けれど、今それを口に出して指摘する訳にはいかない。
陛下と父は、用事は済んだとばかりに去って行った――父は帰り際にウォルフ先輩に目礼した後、こちらはまったく見ずに出て行く――。
まるで嵐だ。本当に陛下と父が、この場にいたかも怪しい位。けれど、手の中のペンダントがその嵐が現実に来たのだと教えてくれていた。
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