乙女狩り

＃7 第2の死⑥

　く、苦しい。

　息が、で、できない。

　にしても、こいつ、だれ？

　見たこともない、やつなんですけど？

　あ、でも、ないか。

　デジャブだよ、またデジャブ。

　こいつはあれだ、

　あたしを刺したヤバいやつ！

　ググググ、躰じゅうから力が抜けていく。

　周りには人いっぱい。

　悲鳴を上げてるJKたち。

　呆気に取られて見上げるおっさんたち。

　でもなぜだか、誰も助けてくれないのだ。

　膀胱が緩み、スキニージーンズが濡れるのがわかった。

　ああだめ、アナルも…。

　でも、羞恥心なんて、感じてる暇、なかった。

　なぜってあたし、糞尿垂れ流しながら、すぐに死んじゃってからー。



　両手で細い喉を締め上げる。

　俺は娘の断末魔の顔をのぞき込む。

　二十歳そこそこの、ポニーテールの似合う、童顔の娘だった。

　瞳孔の開ききった眼。

　半開きの口から吐き出された唾液まみれの長い舌。

　吊り上げられたスレンダーな躰は、小柄だが、それなりに美しいS字のラインを描いている。

　間違いない。

　この娘、見覚えがある。

　こいつ、時間が巻き戻る寸前、俺が刺したあの娘じゃねえかー。

　娘は全身から恐怖のフェロモンを発散していた。

　すげえ。

　ぞくぞくするほど、気持ちいい。

　股間が熱い。

　イチモツがギンギンに勃っている。

　鶏を絞め殺すのも、こんな感じなんだろう。

　バタバタ暴れていた娘が、ぐたりとなる。

　白いスキニーパンツの股間が、見る間に濡れてきた。

　破裂音とともに、漂う異臭。

　すげえ。こいつガチで脱糞しやがった！

　完全に死んだ娘を床に叩きつけ、ケモノのようにその上にのしかかる。

　”観客たち”が口々に悲鳴を上げ、笛を吹きながらおまわりが駆けつけてくる。

　こうなったら、この女、誰かは知らんが、ここで裸に剥いて犯してやる。

　衆人環視の場での屍姦。

　これほど鬼畜な行為が他にあるかってんだ。

　そう思って女のブラトップをめくり上げた時だった。

　だしぬけに世界がぐにゃりと歪み、気がつくと俺はまたー。