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第205話 誕生日
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きょうはわたし、竜崎茜の16歳の誕生日である。
自分でいうのもなんだが、竜崎家はこの地方の名家で、一番の大地主でもある。
広大な敷地には2階建ての邸宅が2軒並び、そこで家族8人が優雅に暮らしている。
私は普段両親と新館のほうで生活しているのだが、きょうは旧館のほうで催しがあるという。
旧館には祖母が使用人たちと住んでいるのだが、築百年ともいわれる古色蒼然たるお屋敷である。
言われた時間に家族3人旧館に赴くと、ささやかな食事会があり、祖父母から祝いの言葉を贈られた。
「16歳といえば茜もいよいよ大人の仲間入りですね。きょうはあなたに見せたいものがあります」
長い廊下を和服姿の祖母に続いて歩く。
わたしの後ろを父と母が神妙な表情でついてくる。
迷路のような回廊をたどってたどり着いたのは、屋敷の最深部だ。
「ここは開かずの間です。16歳の誕生日を迎えたものだけが、入ることを許される、神聖な場所なのです」
改まった口調で祖母が言い、和服の袂から取り出した鍵で南京錠をはずした。
目顔で促され、父が木製の引き戸を開けにかかる。
入口から差し込む光に徐々に照らし出され内部は、なんだかお寺の本殿みたいな雰囲気だった。
気味の悪い仏像みたいなものが立ち並ぶ舞台。
中央に金箔を施された巨大な仏壇みたいな箱があり、その中に奇妙な物体が飾ってある。
「茜、これが、あなたの生まれた証拠です」
それを指差して、祖母が厳粛な声で言った。
「竜崎家の者は、代々、この中から生まれるのです」
私はぽかんとなった。
こ、これって…。
仏壇の中に鎮座ましますもの。
それはバレーボールほどもある大きさの、割れた卵の殻だったのだ。
自分でいうのもなんだが、竜崎家はこの地方の名家で、一番の大地主でもある。
広大な敷地には2階建ての邸宅が2軒並び、そこで家族8人が優雅に暮らしている。
私は普段両親と新館のほうで生活しているのだが、きょうは旧館のほうで催しがあるという。
旧館には祖母が使用人たちと住んでいるのだが、築百年ともいわれる古色蒼然たるお屋敷である。
言われた時間に家族3人旧館に赴くと、ささやかな食事会があり、祖父母から祝いの言葉を贈られた。
「16歳といえば茜もいよいよ大人の仲間入りですね。きょうはあなたに見せたいものがあります」
長い廊下を和服姿の祖母に続いて歩く。
わたしの後ろを父と母が神妙な表情でついてくる。
迷路のような回廊をたどってたどり着いたのは、屋敷の最深部だ。
「ここは開かずの間です。16歳の誕生日を迎えたものだけが、入ることを許される、神聖な場所なのです」
改まった口調で祖母が言い、和服の袂から取り出した鍵で南京錠をはずした。
目顔で促され、父が木製の引き戸を開けにかかる。
入口から差し込む光に徐々に照らし出され内部は、なんだかお寺の本殿みたいな雰囲気だった。
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「茜、これが、あなたの生まれた証拠です」
それを指差して、祖母が厳粛な声で言った。
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こ、これって…。
仏壇の中に鎮座ましますもの。
それはバレーボールほどもある大きさの、割れた卵の殻だったのだ。
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