超短くても怖い話【ホラーショートショート集】

戸影絵麻

文字の大きさ
148 / 615

第148話 見えない強姦魔(解決編)

しおりを挟む
 一週間後ー。
 あたしたちは一流ホテルの一室にいた。
 壁には大きな鏡。
 広い部屋には豪華な調度類が多く、隠れる場所には事欠かない。
 準備は万端だった。
 鏡の前にセミヌードで立っているのは、第5の事件の被害者、国仲博美(18歳)。
 博美は某私立大の学生だが、パパ活してるだけあって、アイドル並みの美貌とスタイルの持ち主だ。
 あたしほどではないけれど、本音を言えば、囮としてこれ以上ないといっていいほどの逸材である。
 ひとつ驚いたのは、律子が持参した次元バイブレータなる発明品。
 形が、いわゆる”大人のおもちゃ”ってやつにそっくりなのだ。
 しかも松茸そっくりの形をしたそれは、あたしが持ってるどれよりも太くて長かった。
「あのさ、もう少し、ましな形にできなかったの」
 律子の手の物体を顎で示してぼやくと、
「しょうがないでしょ。時間がなかったんだから、手近なもので間に合わせるしか」
 箪笥の陰にかがみこんだ律子が、平然とした顔でそう言ってのけた。
「手近なものって、あんた、まさか」
 こいつも愛好者か。
 そんな余計な念にとらわれかけた時である。
「しっ! 来た!」
 鋭く律子が言って、鏡のほうを見た。
 げっ。
 思わず叫んでしまうところだった。
 鏡の表面から、裸の男が身を乗り出していた。
 犯人に隙を見せるべく、わざと鏡に背中を向けている博美の肩に手が伸びる。
 あれが鏡人?
 頭髪も眉毛も、体毛といえるものが一本もないキモいやつだった。
 大人になったキューピー人形みたいな顔は、卵で磨いたようにつるつるしている。
 怪人の気配に気づき、博美が振り向きかけたその瞬間、律子が物陰から飛び出した。
「そこまでだ!」
 右手のバイブレータを作動させ、有無を言わさず振動する先端を鏡に押しつけた。
「ぎゃあっ!」
 奇声を発して固まる怪人。
 律子の言った通りだった。
 鏡の分子の隙間が狭くなったのか、腰から上を鏡から突き出したまま、怪人が硬直してしまったのだ。
「ふふふふふ、かかったな」
 背中に博美をかばって、あたしは怪人の前に歩み出た。
「警察を舐めるんじゃないよ。強姦未遂で逮捕する」
 手錠を嵌め、
「もういいよ。こいつを出してやって」
 そう、律子に声をかけた時だった。
「え?」
 あたしは目を剝いた。
 律子はまだバイブレータを作動させている。
 しかも、あろうことか、それをあたしに向かって、突き出してきたのだ。
「あとは私に任せて。恋、代わりにあんたが鏡の牢獄に入りな。これで身体の分子間隔、変えてやるからさ」
 眼鏡の奥の細い目が、妙に据わっている。
「な、なんで?」
「ちょっと顔とスタイルがいいからって、いい気になりやがって。あんたのマウント取りにはもううんざりだったんだよ。もう、二度と出てこなくていいからね」
「や、やめて! あ、あああ!」
 次の瞬間ー。 
 今度はあたしが、鏡の中だった。
 
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛

MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...