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第144話 蛙男の復讐

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 久しぶりの帰省だった。
 田んぼに囲まれた親父の実家である。
「癒されるな~」
 俺は湯船に足を伸ばした。
 窓からのぞく空には一面の星。
 周囲から海鳴りのように聞こえてくるのはカエルたちの大合唱だ。
 カエルといえばー。
 ガキの頃のいたずらを思い出す。
 田んぼにはトノサマガエルが山のように居て、釣り針つけた釣り糸と餌のコガネムシ。
 たったそれだけで、面白いように釣れたものだ。
 今思い返してみると、ずいぶん残酷な話だが、釣ったカエルたちは…。
 そこまで思い返した時だった。
 後ろで引き戸の開く音がした。
 なんだ?
 母ちゃんか?
 振り向くと、戸口に異様な風体の男が立っていた。
 頭からすっぽりと黒い防水コートで身を包み、顔にはゴーグルをつけている。
 そのさまは、なんだか等身大のカエルみたいに見えた。
 そして、その右手にはー。
「わわっ!」
 空いたほうの手を伸ばし、男が俺を湯船から引きずり出した。
 すごい力だった。
 有無を言わさぬ勢いで、全裸のまま、犬みたいに四つん這いにされてしまう。
「な、なにを…?」
 男の手が剥き出しの俺の尻にかかる。
 双丘を押し開かれ、肛門が露出した。
 その刹那ー。
「ぐえっ!」
 激痛に、俺は弓のようにに反り返った。
 男が肛門に自転車の空気入れをぶっ刺してきたのだ。
 あの時ー。
 俺が、戦利品のカエルたちにやったように…。
 シュウシュウシュウ…。
 ポンプに空気の送り込まれる音。
 下腹が風船のように膨らんでいく。
「あああ…」
 痛みを通り越して、異様な感覚に俺は身震いを禁じ得ない。
 股間で性器がムクムクと鎌首をもたげるのがわかった。
 俺は無意識のうちに尻を高く掲げ、ねだるように突き出していた。
 信じられない。 
 でも…。
 き、気持ち、いい…。
「あふっ」
 時ならず襲い来る性的な興奮に頭の中が桃色に染まった、次の瞬間だった。
 射精の快感とともに、俺の腹が乾いた音を立て、パチンと破裂した。
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