【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子

文字の大きさ
76 / 97

リベールの後悔

しおりを挟む
アリアン王女の横をメイドが通り過ぎると思った瞬間、突然アリアン王女に向かってぶつかって来た

広い廊下であるのに、やけに側を歩いて来ると思っていた

ぶつかったままのメイドを引き離す

「何をしている!」

引き離した女の手には、赤く染まったナイフが握られていた

「何やってるんだ!お前は!」

手に持っていたナイフを取り上げ投げ捨てた

アリアン王女は、脇腹を押さえたまま、動かずにいる

その手の隙間には赤い血が見えた

兄が王女を抱えて座り込む

フフフッ‥アハハハハッ
女は笑い出した
ルドルフが、女の被っている白いキャップを取った

ルドルフが固まっている

「あら、ルドルフ様。お久しぶりですわね」

ラウルも固まった

「ナタリス‥‥」
「ナタリス侯爵令嬢!」

二人が同時に声を上げる

「誰だ!知ってるのか?」

女を床に押さえ付け、ルドルフの方を見ると、女が笑いながら言った

「私、ルドルフ様の婚約者ですのよ!ルドルフ様、ご病気は治られたのですね」

「何だって!」

「既に破棄しております!もう関わりの無い女です」

「相変わらず、私には冷たい男ね。本当に人でなしだわ」

「お前が人でなしだろう!何て事をするんだ!」

私は思わず女を怒鳴りつけ、押さえ付けた手に力を込めた

「うっ‥痛いわ、放してよ!」


「何故アリアンを刺した‼︎恨むなら私を殺せばいいだろう!何でアリアンにこんな事をするんだ!」

ルドルフは怒り、押さえ付けた女の襟元を引っ張りながら、何度も何度も何でアリアンにこんな酷い事を‥何故だ‥と怒鳴っている

「フフフッそんな顔も見たかったのですわ。いい気味」


そんな時、アリアン王女が名前を呼ぶ

ルドルフは、名前を呼ばれると、急いでアリアン王女のもとへ駆け寄る

「ずっとあなたに救われてきました。私を助け出してくれてありがとうございました」

「アリアン!私のせいでまたこんな‥‥アリアン!しっかりしてくれ!必ず助けるから、気をしっかり持つんだ!すぐに医者が来る」

アリアン王女の姿に、ルドルフはひどく動揺している

その後すぐに、私の名まで呼ばれる

押さえ付けた女をラウルに任せて、急いでアリアン王女に駆け寄る

「せっかく来ていただいたのに、ご迷惑ばかり掛けてすみません。お許しください」

「何を言っている!人を気遣ってる場合か!気をしっかり持て!しゃべらない方がいい」

自分がこの様な時に、私にまで謝っている

こんな女がいるのか?

次にラウルが呼ばれた

私はラウルと交代するように、また女を押さえた
ラウルは、涙を流していた

「屋敷でいつも気遣ってくださっていたのは、ラウル様でした。私を守ってくださり、ありがとうございました」

「アリー、しっかりしろ!大丈夫だから!今そんな事を言わないでくれ!どうしてアリーばかり‥‥」

ラウルは、右手で顔を覆い涙を拭っている

侍女に声を掛けた後、アリアン王女は気を失った

侍女は、ショックのあまり全く動けず震えたままだ
案内役のメイドも腰が抜けた様で、座り込んだまま震えている

アリアン王女は、出血が多いようだ
兄が必死で止血しているが、ドレスの色は赤く染まり、王女の手も血に染まっていた

気持ちだけが焦る

キーラ、早く侍医を連れて来い

このままでは危険だ‥‥

遠くから走って来る足音が聞こえる
キーラが騎士団と侍医と共に走って来る

「オリバー頼む」

「はい、リベール殿下」 

第一部隊のオリバーケイルに女を引き渡し、縄で縛ってもらう

「痛いわよ、もっと優しく出来ないの?下手くそねあなた!」

「黙らないと黙らせるぞ」

「偉そうに言わないでよ!」

私は、その女とオリバーのやり取りを聞いて胸が痛くなった

こんな女のせいで、兄があんなに愛してやまない女性が死ぬかもしれない状況なのだ

「リベール、ルドルフ、そっちは頼んだぞ」

兄が私に向かって言った
その顔は、涙でぐちゃぐちゃになっている
手も体も血で染まっている

「わかりました兄上、早くアリアン王女を」

「ああ大丈夫だ。必ずアリーは助ける」

ラウルを案内役に、第二部隊が担架で王女を運んで行く
その後ろを兄とキーラが追いかけるように処置室へ向かった

どうか助かってくれ

兄の後ろ姿を見ながら祈った


後悔が押し寄せる

あの時、何故もっと早く止められなかったのかと‥‥

ぶつかろうとした時に異変に気付いて止めるべきだった

くだらない事を考えていたせいだ
アリアン王女が我が国に相応しいかどうかなどと、私が余計な事を考えていたせいで、一歩遅れたのだ

兄とルドルフが、命をかけて守ろうとした女性を、私の目の前で刺されてしまうなんて‥‥
私はなんて愚かだ
ここに居る女性とは、天と地程の差がある
生死の間際でさえ、人を気遣っていた
そんな女性だった
兄が愛したのは、そういう女だったのだ

頼むから助かってくれ
後悔で胸が潰れそうだ


第一部隊は、こちらに残り、第二部隊は兄の方へ付いて行った

ルドルフは、国王達に知らせる為に騎士を二人ほど連れ走って行った

私はオリバー達と共にルドルフが戻って来るのを待つ
詳しい話をこの女から聞かねばならない

女を睨み付けると、またフフッと笑った

「アルンフォルトの王族は、皆美しいお顔立ちですのね。私を婚約者にどうかしら?フランフェル家は、裕福ですわよ」

「黙れ!」

腹が立って殴りそうになる
こんな女のせいで‥‥

「リベール殿下に失礼な事を言うな」

オリバーケイルが、縄をギュッときつく締める

「痛いわよ!何度言ったら分かるのよ!この下手くそ」

「隊長に何て事を言うんだ!謝れ」

騎士達が女を囲んだ

「何よ、気安く私に話し掛けないで」

女と騎士達は、暫く睨み合っていた‥‥

その姿に後悔ばかりが募る
もっと早く私が止められたならと‥‥







「男に下手くそってやめて欲しいですよね?先輩!隊長がそうかと思っちゃいますよねぇ?」

「おい、新人!調子に乗るなよ」

「はーい」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

愛する旦那様が妻(わたし)の嫁ぎ先を探しています。でも、離縁なんてしてあげません。

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
【清い関係のまま結婚して十年……彼は私を別の男へと引き渡す】 幼い頃、大国の国王へ献上品として連れて来られリゼット。だが余りに幼く扱いに困った国王は末の弟のクロヴィスに下賜した。その為、王弟クロヴィスと結婚をする事になったリゼット。歳の差が9歳とあり、旦那のクロヴィスとは夫婦と言うよりは歳の離れた仲の良い兄妹の様に過ごして来た。 そんな中、結婚から10年が経ちリゼットが15歳という結婚適齢期に差し掛かると、クロヴィスはリゼットの嫁ぎ先を探し始めた。すると社交界は、その噂で持ちきりとなり必然的にリゼットの耳にも入る事となった。噂を聞いたリゼットはショックを受ける。 クロヴィスはリゼットの幸せの為だと話すが、リゼットは大好きなクロヴィスと離れたくなくて……。

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~

Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。 だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと── 公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、 幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。 二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。 しかし、リリーベル十歳の誕生日。 嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、 リリーベルを取り巻く環境は一変する。 リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。 そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。 唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。 そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう…… そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は─── ※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』 こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。 めちゃくちゃチートを発揮しています……

契約結婚のはずが、無骨な公爵様に甘やかされすぎています 

さら
恋愛
――契約結婚のはずが、無骨な公爵様に甘やかされすぎています。 侯爵家から追放され、居場所をなくした令嬢エリナに突きつけられたのは「契約結婚」という逃げ場だった。 お相手は国境を守る無骨な英雄、公爵レオンハルト。 形式だけの結婚のはずが、彼は不器用なほど誠実で、どこまでもエリナを大切にしてくれる。 やがて二人は戦場へ赴き、国を揺るがす陰謀と政争に巻き込まれていく。 剣と血の中で、そして言葉の刃が飛び交う王宮で―― 互いに背を預け合い、守り、支え、愛を育んでいく二人。 「俺はお前を愛している」 「私もです、閣下。死が二人を分かつその時まで」 契約から始まった関係は、やがて国を救う真実の愛へ。 ――公爵に甘やかされすぎて、幸せすぎる新婚生活の物語。

子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!

屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。 そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。 そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。 ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。 突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。 リクハルド様に似ても似つかない子供。 そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

処理中です...