15 / 17
回復魔法のマオは無力
⑥
しおりを挟む
「じゃあクエスト、受けるぞ」
翌日。極東支部の建物の中で勇者様に言われた。
行動はやい。
「そうですね……この辺、いいんじゃないですか?」
「ソメラプッペ? ダメだ」
冷た。
「チームで行くとしたら、これだろう」
勇者様が依頼掲示板の一番上の紙を取る。
え。
「それ、最高ランク、ですけど」
「どうした。報酬が不満か?」
「報酬はいいんですけど」
むしろ高すぎるくらい。
「難易度高すぎませんか?」
「私たちは、チームなのだよ」
そっか。チーム、なんだ。
「これ受けるぞ」
「お願いします!」
「出発するか」
「はい」
って……馬、とかは? 馬車まではなくとも馬、くらいは?
「何を言っているんだ」
どうやって行くんですか。
「走るに決まっているだろう」
何を言っているんですか。
「馬など、邪魔ではないか」
「でも勇者様、極東支部来た時は馬に乗ってましたよね?」
「あれは部長に言われたからな」
そうなんですか。
「よし、走れ」
待って速い。
「君、走ったことがないのか?」
「ありますけど」
「ならばいいだろう」
そういう問題じゃなくて。遠いでしょ。
「頑張れ」
助けて。
「着いたぞ」
「はぁ……はぁ……はぁ…………」
「どうした? 走らされたのか?」
走らされました。
「見ろ」
「はい?」
「あれが今回討伐対象の、プランポルンだ」
名前可愛い。
けど、何あれ。数が異常に多いし。
「じゃ、やるか」
適当すぎませんか?
「他に何をするんだ」
何もないですけど。
「やるぞ」
「お願いします」
「君も来るんだ」
でも僕、
「でも僕、戦えないんですけど、と思っただろう。見ればわかる」
「見ればわかるんですよね」
勇者様の台詞を削っていく方向で。
「今私が言ったじゃないか」
せこい。
「私を回復させるという仕事があるだろう」
「自分で回復できるじゃないですか」
「チーム、だろ」
チーム、だから。
マオも。
「はい!」
「行くぞ」
勇者様が、プランポルンの群れに向かって走り出す。
その体力は何処にあるんですか。
慌てて追いかける。
マオ達に気付いた一体が、こっちを向く。コワ。
つられて周りのプランポルンも、一斉に振り向く。激コワ。
マオ達を見つけたプランポルン達は、全力で走って来る。コワすぎて何も言えない。
「プランポルンは、その巨体が消費するエネルギーを賄うため、日中のほぼ全てを食事に費やす」
勇者様が走りながら説明する。
流石、勇者様は物知り。
プランポルンまでは意外に遠く、近付くほどにその大きさを見せられる。
「主に30体ほどの群れで行動し、狩りも群れで行う」
30体もいるのか。
「その性格は凶暴にして、……マオ、これなんて読むんだ」
「どうもう、ですよ」
「凶暴にしてどうもう。見かけたらすぐに逃げるべし」
カンペ使ってたんですか。
あと獰猛くらいは読んでください。
「来るぞ、マオ」
勇者様と、先頭で走ってきたプランポルンがぶつかる。
プランポルンが宙に舞う。
勇者様は次々と、プランポルンを投げる。
っていうか、バケツ以外の武器持ってないんですか。
マオも、何かせねば。
マオは呪文を唱え、魔法を放出する。
緑色の光がマオの手から伸び、モンスターの眉間に、
「マオ!」
あ。
翌日。極東支部の建物の中で勇者様に言われた。
行動はやい。
「そうですね……この辺、いいんじゃないですか?」
「ソメラプッペ? ダメだ」
冷た。
「チームで行くとしたら、これだろう」
勇者様が依頼掲示板の一番上の紙を取る。
え。
「それ、最高ランク、ですけど」
「どうした。報酬が不満か?」
「報酬はいいんですけど」
むしろ高すぎるくらい。
「難易度高すぎませんか?」
「私たちは、チームなのだよ」
そっか。チーム、なんだ。
「これ受けるぞ」
「お願いします!」
「出発するか」
「はい」
って……馬、とかは? 馬車まではなくとも馬、くらいは?
「何を言っているんだ」
どうやって行くんですか。
「走るに決まっているだろう」
何を言っているんですか。
「馬など、邪魔ではないか」
「でも勇者様、極東支部来た時は馬に乗ってましたよね?」
「あれは部長に言われたからな」
そうなんですか。
「よし、走れ」
待って速い。
「君、走ったことがないのか?」
「ありますけど」
「ならばいいだろう」
そういう問題じゃなくて。遠いでしょ。
「頑張れ」
助けて。
「着いたぞ」
「はぁ……はぁ……はぁ…………」
「どうした? 走らされたのか?」
走らされました。
「見ろ」
「はい?」
「あれが今回討伐対象の、プランポルンだ」
名前可愛い。
けど、何あれ。数が異常に多いし。
「じゃ、やるか」
適当すぎませんか?
「他に何をするんだ」
何もないですけど。
「やるぞ」
「お願いします」
「君も来るんだ」
でも僕、
「でも僕、戦えないんですけど、と思っただろう。見ればわかる」
「見ればわかるんですよね」
勇者様の台詞を削っていく方向で。
「今私が言ったじゃないか」
せこい。
「私を回復させるという仕事があるだろう」
「自分で回復できるじゃないですか」
「チーム、だろ」
チーム、だから。
マオも。
「はい!」
「行くぞ」
勇者様が、プランポルンの群れに向かって走り出す。
その体力は何処にあるんですか。
慌てて追いかける。
マオ達に気付いた一体が、こっちを向く。コワ。
つられて周りのプランポルンも、一斉に振り向く。激コワ。
マオ達を見つけたプランポルン達は、全力で走って来る。コワすぎて何も言えない。
「プランポルンは、その巨体が消費するエネルギーを賄うため、日中のほぼ全てを食事に費やす」
勇者様が走りながら説明する。
流石、勇者様は物知り。
プランポルンまでは意外に遠く、近付くほどにその大きさを見せられる。
「主に30体ほどの群れで行動し、狩りも群れで行う」
30体もいるのか。
「その性格は凶暴にして、……マオ、これなんて読むんだ」
「どうもう、ですよ」
「凶暴にしてどうもう。見かけたらすぐに逃げるべし」
カンペ使ってたんですか。
あと獰猛くらいは読んでください。
「来るぞ、マオ」
勇者様と、先頭で走ってきたプランポルンがぶつかる。
プランポルンが宙に舞う。
勇者様は次々と、プランポルンを投げる。
っていうか、バケツ以外の武器持ってないんですか。
マオも、何かせねば。
マオは呪文を唱え、魔法を放出する。
緑色の光がマオの手から伸び、モンスターの眉間に、
「マオ!」
あ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる