ハイスペックな彼が地味子の私を構ってきます

麻沙綺

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 家の最寄り駅に着き、改札口を出て駅舎の出入り口まで行く。
 屋根の有る場所でキョロキョロと見渡せば、見慣れた車を見つけた。

 ママが運転してきたのだろうか?


 時を少し遡る。


 彼と改札口で別れて、自宅方面の電車に乗り込んだところで鞄の中でブルブルと震える音が聞こえ取り出し、表示画面を見れば夥しい着信とメールの数に驚いた。
 その殆どがママからで、最後に届いたのが妹からだった。
 妹からのメールを開くと。

 "お姉ちゃん、今何処に居るの?
 ママが心配し過ぎて手に負えないから、これ見たら連絡頂戴"

 との事だった。

 あー、遅くなる事伝え忘れてた……。
 そりゃあ、心配するよね。

 "ごめん。今、電車に乗った所だよ"

 妹に返せば、数分置いてから。

 "お姉ちゃん、傘持っていってないでしょ? だから、ママが駅まで迎えに行くって。駅で待っててって"

 妹から返信が返ってきた。

 ママ、運転大丈夫なのかな?(我が家はパパが運転手です。ママには運転させられないとパパが言うので……)
 しかも、雨の降る暗い中をペーパードライバーが運転するのは大変なんじゃ……。
 何て心配しながら、最寄り駅に着き今に至る。


 車の運転席から降りて来たのは、ママではなくスーツ姿のパパだった。
 傘を挿して此方に来る。
「お帰り、珠稀。」
 パパの優しい声音とは違い目が吊り上がっている。
 あっ、これ怒られる。
「ただいま……。」
 萎縮しながら言葉を返す。
「ほら、傘。」
 そう言って私に傘を手渡してきたパパ。
「ありがとう。」
 お礼を言って受け取りそれを挿す。
「取り敢えず車に乗って。」
「はい。」
 私は言われた通りに後部座席に乗り込む(助手席はママ専用で、娘でも座れません)。
 パパが運転席に乗り込み車を動かすと。
「珠稀、何で電話に出なかったんだ? ママが泣きながら俺の方に掛けてきたんだぞ。」
 バックミラー越しに鋭い視線を向けてくる。
「教室で文化祭の準備してて、気付かなかったんです。」
 小声で答えるとパパが溜め息を吐き呆れた顔をして。
「珠稀の悪い癖だな。もっと周囲に気を配りなさい。遅くなるようなら前以て言うか、メールで連絡入れるようにと言ったよな。何の為に携帯持ってるんだ?」
 注意してきた。
 これで二回目だ。
 前は、夏休み前パパたちの結婚記念日の日だった。
「ごめんなさい。」
 パパが此方をチラリと見て。
「反省している様だから、今日はこのくらいで終わらせるが、次やったらお仕置きだからな。」
 と脅しが入った。
「わかりました。」
 私は素直に頷き、自分のいたら無さを反省した。


 家の玄関を開けると。
「珠稀ちゃ~ん!!」
 号泣して抱きついてくるママ。
 どうしたら良いのか判らずオロオロしてると。
「ただいま、彩月。珠稀が戸惑ってるから放しなさい。」
 パパが助け船と称した、嫉妬丸出しでママを引き剥がした。
「だって…ママ、珠稀ちゃんに嫌われちゃったのかと思って……。」
 とんでもないワードが出てきた。
「ママ、ごめんなさい。文化祭の準備に没頭しちゃって、気付かなかったの。」
 謝罪の言葉を口にする。
「本当なの? ママが嫌で電話に出なかったんじゃないの?」
 涙をポロポロ溢しながら、確認するように聞いてくるママに首を横に振って。
「ママ、大好きだよ。」
 と伝えれば。
「珠稀ちゃん。ママも大好きだよ!」
 って泣き笑いになった。
 そんなママをパパが抱き締めて回収していったのを見計らって、私は自分の部屋に戻ったのだった。





    
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