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流血の狼5
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団員の訓練を指導していた時に、慌てて入ってきたのはアークと副団長のエリック
「だっ…旦那様っ」
頭に包帯を巻き付け、いつもきっちりと身だしなみを整えているアークには珍しく薄汚れ、胸元のYシャツは血で汚れていた
「どうした」
アークの異様な雰囲気に、不穏な動きを察知し
自然と眉間に皺がより低くなる声
「あっ奥様がっ」
マリアの身に何か起こったと、感じ取った俺はすぐさま訓練室から飛び出し、団長室に戻り剣を取り防具を着た
その間にも、
「王妃様から贈り物が届き、ハンナと食べたお菓子に何か薬がっ!そしてざっと30人の侵入者が現れ使用人をっ」
叫ぶように、俺の背後で伝えるアークから届いた小包の紙を受け取った
「…ここから先は、警備兵と行動する…アーク屋敷に戻り、状況を把握しろ」
「かしこまりました、どうぞお気をつけて」
頭を下げるアークの横を通り過ぎ、早馬に乗りぐしゃっと握りしめた紙を睨みつけ、城へと向かった
城の門を通り、馬を降り
何ごとかと近寄る文官達に、国王陛下の居場所を聞き執務室へと向かった
「おう、ダリウス騎士団長か」
「突然の面会の許可をして下さり、感謝いたします国王陛下」
執務室で宰相と話していた国王陛下は、俺が到着したのを聞いたのかすんなりと面会を許可してくれた
「…何か、問題でも?」
「本日、私の妻宛に王妃殿下から贈り物が届きまして、口にした直後妻が倒れた後に攫われました、こちらが届いた小包に巻かれていた紙と添えられていたカードです」
カサっと音がして、受け取った国王陛下は
じっと紙を見る
「…確かに、アンジェラル王国の王妃の筆跡、王家の封蝋だ…王妃をココへ」
はっ、と短く返事した警備兵は退出する
「あら、ダリウス騎士団長殿」
扇子で顔を隠し執務室に入ってきた王妃は、相変わらずおっとりとした口調だった
国王陛下と同じ説明をすると、王妃は自分じゃないと、否定した
「本来なら包みは送りません、送るとしたらお茶会への招待状や御礼文のみです…こればかりは侍女に確認して下さい」
王妃の瞳をじっと見つめ、真実を話しているのかどうかを判断する
「…では、この王妃殿下の筆跡と封蝋を扱える者の心当たりはありますでしょうか」
「そうね、まず私の筆跡を真似るのは簡単ね、…でも封蝋となると…王族以外は専用の場所から出す事も出来ないわ…つまり」
その可能性を聞き、挨拶もそこそこに執務室から飛び出し
一旦屋敷へ戻りアークの報告を受けた
縛られていた使用人達、そしてマリアと意識を失うまでそばにいたハンナは青い顔をして
「申し訳ありません…奥様が連れ去られたのは…」
「いい、この事件の全貌はほぼ見えた…ハンナこのまま医者の言う通り休め」
このまま下がるように言うが、ハンナは首を横に振り
「いいえ、奥様とお戻りになるまでお待ちしております」
強い意志の瞳で俺を見上げた
「だっ…旦那様っ」
頭に包帯を巻き付け、いつもきっちりと身だしなみを整えているアークには珍しく薄汚れ、胸元のYシャツは血で汚れていた
「どうした」
アークの異様な雰囲気に、不穏な動きを察知し
自然と眉間に皺がより低くなる声
「あっ奥様がっ」
マリアの身に何か起こったと、感じ取った俺はすぐさま訓練室から飛び出し、団長室に戻り剣を取り防具を着た
その間にも、
「王妃様から贈り物が届き、ハンナと食べたお菓子に何か薬がっ!そしてざっと30人の侵入者が現れ使用人をっ」
叫ぶように、俺の背後で伝えるアークから届いた小包の紙を受け取った
「…ここから先は、警備兵と行動する…アーク屋敷に戻り、状況を把握しろ」
「かしこまりました、どうぞお気をつけて」
頭を下げるアークの横を通り過ぎ、早馬に乗りぐしゃっと握りしめた紙を睨みつけ、城へと向かった
城の門を通り、馬を降り
何ごとかと近寄る文官達に、国王陛下の居場所を聞き執務室へと向かった
「おう、ダリウス騎士団長か」
「突然の面会の許可をして下さり、感謝いたします国王陛下」
執務室で宰相と話していた国王陛下は、俺が到着したのを聞いたのかすんなりと面会を許可してくれた
「…何か、問題でも?」
「本日、私の妻宛に王妃殿下から贈り物が届きまして、口にした直後妻が倒れた後に攫われました、こちらが届いた小包に巻かれていた紙と添えられていたカードです」
カサっと音がして、受け取った国王陛下は
じっと紙を見る
「…確かに、アンジェラル王国の王妃の筆跡、王家の封蝋だ…王妃をココへ」
はっ、と短く返事した警備兵は退出する
「あら、ダリウス騎士団長殿」
扇子で顔を隠し執務室に入ってきた王妃は、相変わらずおっとりとした口調だった
国王陛下と同じ説明をすると、王妃は自分じゃないと、否定した
「本来なら包みは送りません、送るとしたらお茶会への招待状や御礼文のみです…こればかりは侍女に確認して下さい」
王妃の瞳をじっと見つめ、真実を話しているのかどうかを判断する
「…では、この王妃殿下の筆跡と封蝋を扱える者の心当たりはありますでしょうか」
「そうね、まず私の筆跡を真似るのは簡単ね、…でも封蝋となると…王族以外は専用の場所から出す事も出来ないわ…つまり」
その可能性を聞き、挨拶もそこそこに執務室から飛び出し
一旦屋敷へ戻りアークの報告を受けた
縛られていた使用人達、そしてマリアと意識を失うまでそばにいたハンナは青い顔をして
「申し訳ありません…奥様が連れ去られたのは…」
「いい、この事件の全貌はほぼ見えた…ハンナこのまま医者の言う通り休め」
このまま下がるように言うが、ハンナは首を横に振り
「いいえ、奥様とお戻りになるまでお待ちしております」
強い意志の瞳で俺を見上げた
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