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新たな火種1

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今日の朝はいつもよりも離れ難く
もうそろそろ準備を始めないとダメな時間なのに
ホークを離さず、喰むと唇で遊ぶ

ホークも止めればいいのに、私が顔中にキスをするのを腰を引き寄せ摩る
仰向けで眠るホークの右半身に身体を密着させ、片足をお腹の上に置いて上体を起こし覗き込むように、チュッチュとキスをする

「んっ…ホーク様」
「今日は一段と甘えん坊だな」
低く嬉しそうな声に不安になる

「…イヤですかっ…?」
「いいや、嬉しいよ」

背中と腰に手を置きぐるりと身体を捻るホークは、
マリアを仰向けに寝かせ覆い被さる

「奥様は、何をお望みかな」
ホークは頬をゆっくりと撫でる指の腹に、マリアは腕を伸ばして彼の首に手をつけ上目遣いで彼を見る

「…ホーク様の、愛ですわ」

「…仰せのままに」


そう言ってマリアの唇に自分の唇をつけ、今日は甘えてくるマリアに付き合おうとホークは思った







*******************





「奥様、アンジェラル王国の王妃様から贈り物が届いております」
「何かしら」

執事のアークから受け取ったのは両手で持てるほどの小さな小包
部屋まで持っていき、包みを開けていく
白い箱を開けるとクッキーのお菓子が入っていて、箱の隅にあった白いカードを取る

「『…よかったら食べてね』….か、王妃様にしてはすごくシンプルな文ね」


ささやかなプレゼントなのかしら…新商品とか?
違和感があったか、アーク選別していると以前ホーク様が言っていたし、気のせいか…気にしすぎかもしれないし

「ハンナ、王妃様からお菓子をいただいたから、お茶にしましょう」
「はい、奥様」

部屋の中央にあるソファーでお茶の準備をするハンナの元へ
送られてきた箱のままお菓子を持って行く


ハンナも食べましょうと、隣に座るハンナに箱の中からひとつ取り出し渡す

「ありがとうございます、奥様」

2人で町の噂話や流行りの事でおしゃべりをしていたら、急に訪れる眠気
ソファーにもたれて身体の力が抜けて行く
その後に、肩に掛かる重さを感じて、意識がプツリと切れた







次に目が覚めた時は



埃っぽく薄汚い部屋の一室に、両手両足縛られ壁に寄りかかっていた
室内には窓ひとつだけの、何の家具も寝具もなく
窓と反対側には扉があった

ーーここは…?


うまく回らない頭で何が起こったのか考えるが、ぼうっとしてしまい考えがまとまらない

ガチャと開く扉に視線を、移すと


「あら、起きたのね」



扉を開けて入ってきたのは、




「ご機嫌よう、マリア」






王太子殿下の婚約者、ミナ様だった


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