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初めてのおつかい2
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廊下をいくつか過ぎるとだんだんと
の太い声が「はっ」「はっ」と
聞こえるようになった
目の前の階段を上り切り、エリックの横を通り過ぎ手すりに手をつけ顔を出すと
青空の下、楕円状の敷地に数十人の団員が汗をかきながら剣を握り素振りをする姿が見えた
団員に向かい合い、朝礼台で団員達を監督しているホークを見つけ胸が高鳴る
彼が気づかないのをいい事にうっとりと眺めているマリア
どのくらい経ったのか……
すると鋭い眼差しを団員に向けていたホークは、ふと見られている気配を察知し、見渡すと2階の見学場にいる人物を見つけ目を見開く
目が合ったと感じたマリアは、控えめに手を振り直ぐに下ろした
「ダリウス夫人、そろそろ」
とエリックに言われ、振り返るとハンナも大きく頷いていたので、時間切れか…と諦め
最後に一度だけホークを見ようと視線を戻すとホークの姿がなくなっていた
しょうがなくエリックとハンナの元へ行くと
階段下にホークが仁王立ちしていた
「…何をしている」
酷く不機嫌なホークはエリックとハンナに向け発した言葉をマリアは
「屋敷のテーブルにありました、ホーク様の書類を届けにきましたの」
自分に向けた言葉と思い返答した
「…うっ…そうか」
忘れ物をした事を忘れていたのか詰まるホークに階段を降りたマリアは、ホークの腕を取り
「とっても勇ましく、カッコよかったですホーク様」
褒め称えると、途端に機嫌が良くなったホークは
そうか、とマリアが腕に触れている指先に自分の手を重ね歩き出す
2人…と言ってもマリアが良かったところを述べて、喋るのをただ頷くホークは団長室へ連れて行った
後ろでエリックとハンナは機嫌が直ってよかったと安堵していた
すれ違う団員達がマリアを見ては鼻の下を伸ばし、横にいる不機嫌なホークに気が付くと青ざめ背筋を伸ばす事を、ホークと話しているマリアだけが気がつかなかったのだ
****************
団長室に入ると、ソファーと、執務机と椅子と本棚だけと言うシンプルな部屋の壁には歴代の団長の姿絵が飾っており
マリアはホークにエスコートされソファーに座る
エリックは部屋の前で別れ、ハンナもお茶を淹れますとエリックについて行ってしまい2人きりだ
ホークがマリアの横に座ると、ホークの身体が大き過ぎるためか狭くなり太もも同士がくっつく
彼の腕に抱きつくが、ホークは膝の上に手を置き動かない
「今日は遅くなりますか?」
上を見上げホークを見つめる瞳は甘く潤んでいた
「いや…うむ」
曖昧な返事をするとマリアをみて自然に手が伸び顎に添えてあげる
ゆっくり近づく顔に自然と瞼が閉じて彼の唇を待つ
触れるだけのキスだったが満足したマリアは彼の腕に額を付けると
「ご迷惑じゃなければ…やっぱりお仕事終わるまで一緒にいたいです」
「………ああ」
ーー書類を持ってくる団員が毎回違い、一枚ずつなのは何故だろうか
しかも、視線は背後だとわかる、扉で書類を受け取るハンナの疑問は口には出さなかった
マリアはにこにことソファーからホークを見つめ
ーーわざわざ向かい合わせになるようにソファーを移動した!
ホークはいい所を見せようと机に向かっているが、5分に一度はマリアに見惚れていた
このまま帰したくないホークはマリアをこの部屋から出ることを禁止とし、ホークは団長室から出ずに書類仕事が捗った
その後、ホークが自宅に仕事道具を一切持って帰る事はなかった
の太い声が「はっ」「はっ」と
聞こえるようになった
目の前の階段を上り切り、エリックの横を通り過ぎ手すりに手をつけ顔を出すと
青空の下、楕円状の敷地に数十人の団員が汗をかきながら剣を握り素振りをする姿が見えた
団員に向かい合い、朝礼台で団員達を監督しているホークを見つけ胸が高鳴る
彼が気づかないのをいい事にうっとりと眺めているマリア
どのくらい経ったのか……
すると鋭い眼差しを団員に向けていたホークは、ふと見られている気配を察知し、見渡すと2階の見学場にいる人物を見つけ目を見開く
目が合ったと感じたマリアは、控えめに手を振り直ぐに下ろした
「ダリウス夫人、そろそろ」
とエリックに言われ、振り返るとハンナも大きく頷いていたので、時間切れか…と諦め
最後に一度だけホークを見ようと視線を戻すとホークの姿がなくなっていた
しょうがなくエリックとハンナの元へ行くと
階段下にホークが仁王立ちしていた
「…何をしている」
酷く不機嫌なホークはエリックとハンナに向け発した言葉をマリアは
「屋敷のテーブルにありました、ホーク様の書類を届けにきましたの」
自分に向けた言葉と思い返答した
「…うっ…そうか」
忘れ物をした事を忘れていたのか詰まるホークに階段を降りたマリアは、ホークの腕を取り
「とっても勇ましく、カッコよかったですホーク様」
褒め称えると、途端に機嫌が良くなったホークは
そうか、とマリアが腕に触れている指先に自分の手を重ね歩き出す
2人…と言ってもマリアが良かったところを述べて、喋るのをただ頷くホークは団長室へ連れて行った
後ろでエリックとハンナは機嫌が直ってよかったと安堵していた
すれ違う団員達がマリアを見ては鼻の下を伸ばし、横にいる不機嫌なホークに気が付くと青ざめ背筋を伸ばす事を、ホークと話しているマリアだけが気がつかなかったのだ
****************
団長室に入ると、ソファーと、執務机と椅子と本棚だけと言うシンプルな部屋の壁には歴代の団長の姿絵が飾っており
マリアはホークにエスコートされソファーに座る
エリックは部屋の前で別れ、ハンナもお茶を淹れますとエリックについて行ってしまい2人きりだ
ホークがマリアの横に座ると、ホークの身体が大き過ぎるためか狭くなり太もも同士がくっつく
彼の腕に抱きつくが、ホークは膝の上に手を置き動かない
「今日は遅くなりますか?」
上を見上げホークを見つめる瞳は甘く潤んでいた
「いや…うむ」
曖昧な返事をするとマリアをみて自然に手が伸び顎に添えてあげる
ゆっくり近づく顔に自然と瞼が閉じて彼の唇を待つ
触れるだけのキスだったが満足したマリアは彼の腕に額を付けると
「ご迷惑じゃなければ…やっぱりお仕事終わるまで一緒にいたいです」
「………ああ」
ーー書類を持ってくる団員が毎回違い、一枚ずつなのは何故だろうか
しかも、視線は背後だとわかる、扉で書類を受け取るハンナの疑問は口には出さなかった
マリアはにこにことソファーからホークを見つめ
ーーわざわざ向かい合わせになるようにソファーを移動した!
ホークはいい所を見せようと机に向かっているが、5分に一度はマリアに見惚れていた
このまま帰したくないホークはマリアをこの部屋から出ることを禁止とし、ホークは団長室から出ずに書類仕事が捗った
その後、ホークが自宅に仕事道具を一切持って帰る事はなかった
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