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後編

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 猪飼から告白された倫夫は欲望に負けた。三人の男にいいように扱われ、セックス狂いに堕とされた体は男を求める。毎日抱いてやるという猪飼の誘いは砂糖菓子よりも甘く、蜜よりもねばつき。断われなかった。


「後で龍達に話そうか」
「あっ、あんっ……はいっ……はなすぅ」
 ラブホテルのベッドの上で、猪飼に尻を掘られて喘ぐ。大きな亀頭に前立腺を突かれると、快感が全身を貫いていく。
「何を話すの?」
「みちおはっ、よういちせんぱいのぉっ……せんようま○こになりまひたっ! ま○こでぎゅっぎゅってするのはぁ、かれしち○ぽだけ……よういちせんぱいだけなのぉ」
「うん。よしよし」
 恥ずかしげもなく淫語が口から飛び出していく。猪飼達に抱かれるまでは漫画の中でしか見たことのなかった、自分が発言すると考えたこともなかった言葉は、倫夫を興奮させるだけでなく猪飼の機嫌も取った。
 ずぷっ!
「ひぎぃぃいっ」
 一際力強く、奥まで突き入れる。倫夫は白目を剥いて大きく喘いだ。
「よーいちせんぱぁい…」ルームシェアして。まいにちみちおとセックスしてっ」
「うん。毎日セックスしようね。朝起きたら倫夫くんは俺のち○ぽに挨拶して、昼間は俺のこと考えながら講義に出るんだよ。一日が終われば寝るまでずっとハメててあげる」
 嬉しいね、と微笑まれれば頷くしかない。実際、告げられた言葉を想像するだけで涎を垂らしそうになる。
「俺のアパート狭いけど、倫夫くんと暮らすぐらいなら…………騒音で怒鳴り込まれるか。もうちょっと防音性の高いとこ探そうね」
「ひゃい……みちおも、バイトがんばる……」
 偉い、いい子と褒めてくれる猪飼へ顔を寄せる。小さく笑った猪飼は唇を重ねてくれた。
 舌を絡め合い、体液を啜る。嫌悪がわきそうな行為に、募るのは性感だった。
「んー、ん、ちゅ、んぷっ。はっあ、ああっ」
 舌遊びに付き合ってくれたのは倫夫からしたら一瞬で、唇が解放されると名残惜しいと舌が追いかける。
「ふふ。おいしい?」
「うんっよういちせんぱいの、なんでもすき」
 素直に答えると褒美を貰える。額に軽く口付けられたかと思えば、倫夫の中に入り込んだまま大人しくしていた雄肉が暴れ始め、倫夫は悦びの声を上げた。
「あぁんっ、あんっ、あんっ……せんぱいのち○ぽきもちいいっ倫夫のなか、もっとなでなでしてっ」
「ふっ、……ああ。倫夫くんっ」
小刻みに血から強く肉洞を犯され、倫夫の壊れた口からは喘ぎ声だけが垂れ流れていく。
「あっ! あっ……あー……よ、ち……」
「倫夫っ! みちおぉ」
 互いを求め合いながら、ひたすら肉欲に溺れる。歪ながらも純粋に、二人は繋がり合っていた。


 猪飼と恋人となったその日に、倫夫は他の二人へメッセージを送った。猪飼とのこと、もう二人とは寝ないこと。
 既読マークはついたが二人から返信はなく、それが答えのような気がした。倫夫は誰のものでもない便利な肉便器だったから使われていただけで、誰かが拾い上げたらわざわざ相手にしないだろう。
「初めからそうすれば良かったのかな」
 猪飼に抱き込まれながらベッドに寝そべり、枕元へスマホを置いた倫夫が呟く。
「ん?」
「いや。洋一先輩と付き合えて良かったなって思っただけです」
「洋一くん」
「……よ、洋一くん」
「うん。良くできました」
 端正な顔に笑みを浮かべた猪飼が額に口付けてくれる。関係性の変化一つで、ただの触れ合いに意味が生まれた気がした。
「洋一くん」
 お返しのように猪飼の頬に唇を寄せる。
「ふふ。くすぐったいな」
「……いや?」
「ううん。もっとしてほしい」
 猪飼の言葉に喜んだ倫夫はキスを繰り返した。頬だけでなく、唇を重ね合わせて舌を絡め合う。夢中になって己を求める恋人に、猪飼の手が伸びるのは仕方のないことだった。
 指の腹で乳首を擦ってやると体をびくつかせ、やがて小さく喘ぎ始める。脂肪のついていない胸を揉み、腹を撫で、性器へ触れる。自分と同じ男の証だが、倫夫のものは最早役割が変わっている。
「倫夫くんのち○ぽはもう使えないんだよ」
 愉しげに教え込む。
「俺に雌孔ほじられて、気持ちよくなって潮吹きするだけのクリち○ぽになったから。女の子に使うことなんて一生ないんだよ」
 嬉しいね。そう微笑まれて、倫夫は頷いた。
「はい……みちおのち○ぽは……洋一くんのオモチャです……」
 白濁を飲み込み、こぼしている雌孔へ指を突き入れる。
「あっ。あっ。あ、あっ、あ」
 男に犯される悦びを知った排泄孔は、侵入者が押し入れば中へ迎え、出ていく素振りを見せれば引き留めるように吸い付いてくる。初めは頑なだった清楚な華は、今や男に媚びていた。
「よーいち……よーいちぃ」
「ん。ほぐして、もう一回楽しもうね」
 甘言に頷き、悦ぶ顔はいやらしい。孔同様に媚びた笑顔は猪飼の興奮を煽った。
 指はすぐに引き抜かれ、代わりに膨張した雄肉が擦り付けられる。胎を満たしてくれる熱を思い出し、倫夫の尻が揺れる。期待していた。
「あっ……あぁ~っ」
「はっ、あ……あーっ……やっぱ、倫夫くんち○ぽぎゅっぎゅするの上手だねっ……持ってかれるっ……!」
「ん、ん、洋一くんっ! 洋一くぅん」
 圧倒的な重量に肉筒を割り開かれ。奥の奥まで蹂躙し、性感を刺激され。男に体を犯され、それを悦びとしてしまった。
「ああっ、よういちくんっおしりっ! おしりのおくぅ……ついてっ……あっ……あっ、あぁんっ」
「……っ、ふ、かわいい、倫夫くんっ」
 肉と肉を打ち付け、腰を振り合う。名前を呼び合いながら舌を絡め、吸い、求め合う。恋人となった男に甘え、甘えられる時間に酔いしれる。
 一際強く胎を穿たれ、悲鳴を上げた倫夫の中に、猪飼が低く呻きながら種を付ける。胎内に満ちる熱に甘く喘いだ倫夫は、労るようにキスされた。
「すき。すきだよ。倫夫くん」
「ん。んっ。倫夫も、洋一くんがすき」
 言葉にすると胸にあたたかい何かが満ちていく。唇から発せられた言葉は力を持って植え付けられる。
「大好き、洋一くん」
「うん。俺も倫夫くんが大好きだよ」
 吐き気がする程情熱的な愛を。執着を。



 猪飼と恋人になった日、ラブホテルを出た倫夫は彼の部屋に泊まった。ホテルで話した通り壁の薄い安アパートでセックスする勇気は起きず、大人しく同じ部屋で過ごすだけの時間は甘かった。

「倫夫くんは趣味ってある?」
 狭いシングルベッドに無理矢理二人で寝転ぶ。猪飼の脇に頭を乗せ、肩から体へ向けて腕で包まれ、彼の体温を感じているととろとろと睡魔に襲われる。
「趣味……はぁ、本を読んだりとか……最近は映画見るようになりました……」
「今度オススメ教えてよ」
「ん。洋一くんは?」
「俺は倫夫くんが趣味」
「なにそれ」
「んふふ。倫夫くんと付き合えて良かった」
 他愛のない会話は知性がない。けれど睦言なんて二人が楽しければそれでいい。
「…………すぅ……すぅ……」
 ゆっくりと聞こえ始めた寝息に猪飼が微笑む。
 それは一瞬で、表情が消えた。



 猪飼の恋人となり、他の二人に絶縁を言い渡した翌日。講義を終えた倫夫は帰宅するべくエントランスへ向かっていた。
 猪飼は今夜バイトがあると聞いており、帰宅は終電間際になるかもしれないので相手が出来ないと謝られた。毎日セックスするのは言葉のあやだと理解しているし、そもそもまだ同棲も出来ていないので仕方ない。
 同棲する為にも何かバイトを始めようと考え始めた倫夫は、あまりきちんと前を見ていなかった。前から真っ直ぐ近付いてくる壁に気付かぬまま、ぶつかる。
「あいたっ、ごめんなさ……あ」
 倫夫より頭一つ分は高い位置にある顔は、ここ最近で見慣れた人のものだった。昨日絶縁を送り付けた二人のうちの一人、孤城が倫夫を見下ろしている。
「ご、ごめんなさい。前見てなくて」
 頭を下げ、左へずれて道を譲る。そのまま脇を通り過ぎようとした倫夫の腕が掴まれた。
「せ、先輩?」
 孤城の手はしっかりと倫夫を掴み、振りほどくことが出来ない。
「話がある」
 短くも拒否を許さない声音に頷き、手を掴まれたまま歩き出す。
「孤城先輩、あの、どこ行くんですか?」
 カフェテリアにでも行くのかと思いきや、無言で進む孤城は大学の敷地を出てしまう。この後の予定はないが、どこへ連れていかれるのかわからないのは恐怖を覚えた。
 倫夫を連れた孤城の顔はいつも以上に表情がなく、殴られでもするのではないかと思ってしまう。
「孤城先輩」
 引っ張られるままに大人しく歩きながらも、場所は教えてくれと名前を呼ぶ。何回か繰り返すと「龍の部屋」と行き先が返ってきた。
「りゅ……酒巻先輩の部屋? どうして」
「静かな場所で話したい。龍も待ってる」
 一方的に縁を切った倫夫に怒りを覚えているのだろう。普段から愛想はなかった孤城だが、静かな声音はいっそ冷酷だった。
 本当に殴られるのだろうか。けれど倫夫はそこまでされなければならない程、悪いことをしただろうか。
「話すことは……ないです。少なくとも俺には……」
 孤城にしか聞こえない程度の小声で告げた。今度は言葉は返ってこず、動かす足が僅かに早まる。やはり殴られるのだろうか。


 数日ぶりに訪れた酒巻の部屋は変わりない。大学生がほぼ一人暮らしをしている部屋にしては片付けられており、普段からおちゃらけている酒巻が意外とまめな性格であることを示している。
「なんか久しぶりだねぇ。こないだ会ったのは……四日前か」
 寝室へ入ると、酒巻はベッドに腰掛けてスマホを見ていた。孤城に連れられた倫夫を見ると笑顔で話し始める。いつものように。
「……お久しぶりです。酒巻先輩」
「酒巻じゃないだろ」
「酒巻先輩。話ってなんですか」
「……」
 倫夫の些細な抵抗に、酒巻の眉が僅かにひくつく。苛立ちが感じ取れた。
 従順だった肉便器が恋人を選び、反抗的な態度を取っているのだ。苛立ちもするだろう。
「……こないだのメッセージ、見たよ。洋一と付き合うんだって?」
「はい。だから先輩達とはもう寝ません」
 倫夫の返事に酒巻が大きく息を吐く。納得しているようには見えない。
「べっ、便器扱いされるより、恋人にしてくれる人の方がいいです」
 倫夫の腕を掴む力が強まったかと思うと、細い体が引かれる。
「えっ……あ、うっ、んんっ」
 倫夫を抱き締めた孤城に口付けられる。すぐに舌まで入り込むのはいつものことで、すっかり慣らされた倫夫は反射的に舌を迎える。
「んっ。ふ、ん、ん、んんっ」
 ぴちゃ、ぬちゃと音を立てながら深く口を吸い合う。拒否すべき行為を、倫夫は流され受け入れてしまっていた。
「あっ……は、ふぅっ……あ、こじょ……」
「付き合ってくれ」
 唇が離れ、息を吸う。霞む視界に見える男らしい唇は唾液に濡れ、光っていた。
「……は?」
「好きだ。好きなんだ。倫夫」
 唐突な告白に固まってしまう倫夫と違い、平然としたの酒巻が口を挟む。
「達志、もうちょっと我慢出来ないの?」
「出来ない」
「ったく。こっち来いよ」
 呆れた様子の酒巻に従い、倫夫を抱えた孤城はベッドへ腰掛けた。酒巻から少しだけ距離を起き、空いた隙間へ倫夫を座らせる。
「倫夫くぅん。便器は嫌なんだねぇ。便器なんて思ったことないんだけどなぁ」
「うぁ……」
 背後に座る孤城が首筋を吸う。向かい合う酒巻の手が服を剥いでいく。やめて、と抵抗しようにも、倫夫の両手は孤城に握られてしまう。
「可愛い倫夫くんとテニスするの、好きだったよ。辞めてくれて嬉しいけどね。割と狙われてたから」
 晒された倫夫の肌には、至る所に華が咲いている。猪飼のつけた所有の証に、酒巻の唇が引き攣った。
「彼氏にいっぱい可愛がられたんだねぇ」
「いぁ……ひっ!」
 じゅっ、と音が鳴る程強く、首裏を吸われる。酒巻の指はキスマークをいくつかなぞると、淑やかな乳首に触れた。
「抜け駆けしやがって。倫夫くんのこと見付けたの、オレなのにねぇ」
 ここにはいない友人へ悪態を突きつつ、目は倫夫だけを見ている。欠片も笑っていない目は、怒りを孕んでいた。
「さ、酒巻先輩、孤城先輩も、やめて……」
 孤城は吸い付いた場所を舐め始めた。首筋にも感じる部分はあり、体がぴくりと反応してしまう。
 酒巻に撫でられていた乳首も快感を拾い上げながら勃起し、押し潰されて遊ばれてしまう。
「あぁっ……せっ、先輩っ、やめてっ、さわらないでっ……」
「倫夫。違うだろ」
 唇が首から頬へ移る。指は乳首を摘み上げてから、ジーパンを脱がせ始めた。
「りゅっ、龍くん! 龍くんやめてっ」
「やめなぁい」
 下着ごとジーパンを脱がされ、靴下以外の衣服を奪われる。頬をべっとりと舐め上げられ、反射的に「やぁっ」と声を上げた。
「あ、ん、んんっ」
 顔だけ後ろを向かされ、孤城が唇を重ねてくる。首、頬の次は口内を舐め上げられ、思わず抵抗する舌に舌が絡む。拒絶は声にならず、孤城の口内へ奪われていった。
「ん……んんぅ! ん! んんっ! ん~っ!!」
 孤城と倫夫がキスに夢中になっていると、酒巻は躊躇いなく倫夫の性器をしゃぶった。
「んんっ! んーっ! んっ! っあ、はっ、あっ、いやっ、ああっ!」
 口内にすっぽりと咥え込み、厚い舌で舐め上げる。懸命に首を振り、孤城のキスを振り払った倫夫は喘いだ。
「りゅうっ! りゅうくんっ! あっ! ああっ……すわないでっ……」
「んー、ふふっ」
 時折喉で搾りながら、酒巻は倫夫を可愛がる。びくびくと痙攣する体に孤城の手が這う。腕が解放されても、抵抗する気力はなかった。
「あんっ……あ……ぁ……りゅ、くん、もう……もうっ……ああっ……こじょ、せんぱ……ちくびいじめないでっ……」
 酒巻に性器を弄られながら、孤城に乳首を擦られる。男に嬲られることを覚えた乳首は快感を生んで悦び、倫夫を苛む。
「達志って呼んで」
 耳元で囁かれるまま名前を呼ぶと、乳首を転がす指の強さが増した。
「ああっ……」
「倫夫っ……倫夫、倫夫っ!」
 倫夫の名前を呼びながら、孤城が再び口付ける。口内を啜られ、あやふやな意識の中で射精を迎えるのがわかった。
 倫夫の精子は一つ残らず、酒巻に飲み込まれてしまった。


「最初は素直で可愛い後輩だと思った。段々と女より可愛く思えて、気付いたら好きになってた」
 冷静な声とは裏腹に、吐き出す表情には焦りがある。同性の後輩に抱くには行き過ぎた感情に流され、常識外れの行動を選んでいる自覚があった。
「好きなんだ、倫夫」
「あひっ。ひい、たつ、たつぅ」
 真剣な眼差しだけでなく、孤城は肉剣で倫夫を貫いていた。ゆさゆさと腰を振ると硬い雄肉が倫夫の中を擦り立てていく。
「あぁん……おくぅ、きもちいいっ」
「倫夫くぅん。達志にコクられちゃったよぉ。どうすんの?」
「あ。う、あ、でも、でもぉ……おれっ……よういちくん……よういちくぅん……」
 成立したばかりの恋人の存在を思い出し、男に犯されながらこの場にいない名前を呼ぶ。腰を振る勢いが増し、倫夫は悲鳴を上げた。
「きゃっ! あっ! あ、あっ、あ」
「倫夫っ……くそっ……」
 ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅ!
 尻孔に注がれたローションを掻き回しながら肉を打つ。淫靡な音に興奮が高まる。
「やぁ……やっ! こいびとっよういちくぅんっ」
 心の操は存外固く、猪飼の名を出して断ろうとする倫夫の小賢しい理性に、二人のセックスを傍観していた酒巻が口を開く。
「そうだねぇ。洋一は倫夫くんの恋人だね」
 ニッコリと笑いながら、酒巻が続ける。
「ならオレ達は浮気相手だね。彼氏にバレないようにこっそりエッチしようね」
「倫夫っ……倫夫ぉ」
 酒巻と話し始める間に孤城が吐精する。胎の奥に熱が送り込まれ、倫夫が短く鳴いた。
「ああっ……あつい……やぁ……」
「達志、寝転がって」
 正常位で倫夫と繋がっている孤城は、酒巻の言う通りに姿勢を変える。倫夫を腹に抱えたまま、背をつけて寝転がった。
 孤城を咥えたままの倫夫の尻が、酒巻の前に晒される。
「彼氏と出来ないようなこと、オレと達志でいっぱいしてあげるね」
「ひっ」
 雄を咥えた小さな孔へ、酒巻が亀頭を擦り付ける。まさか、と声を漏らす倫夫に酒巻は「そうだよ」と無情に告げた。
「浮気ち○ぽ二本咥えようねぇ」
「あ、やめっ……あっ……あ、あ、あっ、あっ」
 今までのセックスは四人で集まることはあっても、同時に咥え込むことはなかった。誰かが尻孔を使っている時、他の誰かは手や口で愉しむ。共有者に犯される倫夫を見て昂り、猛る肉棒に奉仕させていた。
 一本だけでも手一杯だというのに、二本同時に挿入されるなんて考えられない。いや、と弱々しく頭を振る倫夫に、男二人は手も腰も止めない。
 めりっ、と音を立てているような感覚に襲われながら、酒巻が入り込んでくる。孤城の居座る肉洞の中を、ゆっくりと割り開いて進む。
「うぁっ……う、う、う、うう」
「あ゛~っ……キッツ……」
「うっ……倫夫、大丈夫か……」
 酒巻が入り込む程に呻く倫夫。拒絶反応にめげずに侵入を果たす酒巻。締め付けの強さから倫夫の苦痛を案じる孤城。
 三者三様ながら、三人は一つに繋がり合っていた。
「やめでっ……うごかないでっ…」
 しばらく様子を見ていたものの、ゆっくりと腰を揺すり始めた酒巻に静止を求めるが無視される。小さな孔を抉じ開けられ、狭い肉路にみっちりと雄を二本も咥え込み、動き出されては堪らない。痛いと喚くと孤城が下から顔を寄せ、涙の滲む目元を舐められる。
「もう少し耐えてくれ」
「んーっ、ね、倫夫くん。もうちょい頑張ろ」
 薄い唇が顔中に触れ、気をそらそうとあやす。酒巻は痙攣する粘膜の中、大人しく鎮座する孤城ごと擦り上げる。
「あっ」
 長らく続いた苦痛な呻きは、ある瞬間から変わっていった。兆しは小さく、短くも二人が聞き逃すことはなかった。
 倫夫の小さな口から高い母音が聞こえる。短く切れたり伸ばしたり、音は様々変わるが感じ取れる性質に変わりはない。
「あ……あ……あ。あっ。あ。あ、あ、あっ……」
 孤城にキスされながら。酒巻に尻をほじられながら。倫夫は快感を得始めた。
「倫夫っ……気持ちいいか?」
 耳元で囁かれる。熔けた頭は間髪入れずに頷いた。
「うっ、俺も……倫夫……なぁ、」
 酒巻に擦り上げられる中、動じずに潜み続けていた孤城だが、ついに腰を揺すり始める。
「あはぁっ……あっ。だめっ。おち○ぽだめぇっ」
 胎の中で二本の逞しい雄が暴れている。タイミングを合わせるように、どちらかが抜け出ればどちらかが押し入り、倫夫に静寂を与えないようにしていた。
「ああっ、あっ、ああ……ぁっ……おく……おくつぶれりゅぅうっ」
「倫夫っ……くっ………ぅ……」
「んー……倫夫くんの中きもちぃー……」
 胎の奥まで突き進み、倫夫を求める男二人を、媚肉が包み込む。きゅうきゅうと強く締め付けられ、粘膜での抱擁に二人は果てた。
 熱い精子が胎の中を泳いでいく。ありもしない雌を探して、内側から犯されていく。
「あぁ……」
 胎の奥底から熱に満たされる。目を細め、孤城と酒巻を感じながら溢れていく吐息は艶めいていた。酒巻が軽口を忘れて見惚れ、孤城が生唾を飲み込む程に。
「……オレ達と。付き合ってくれるよね?」
 しばらくの沈黙の後、我に返った酒巻が問う。目の焦点が合わないまま、それでも倫夫は頷いた。
「みちおは、りゅうくんと、こじょうせんぱいと、うわきします」
「達志」
「たつしせんぱい……たつしくん、たつしくぅん……」
 男を咥え込んだまま、尻を振って次を求める。いやらしい恋人に二人は笑って応えてやった。



 猪飼という恋人が出来てから、倫夫の暮らしは一変した。
 まず、住居が変わった。実家暮らしだった倫夫は両親に大学生活に慣れてきたので少しずつ自立を始めたいと頭を下げた。息子の予期せぬ頼みに驚きつつ、仲良くなった先輩とルームシェアがしたいと聞くと、なるほどな、という顔をする。
「最近はそういうの、流行ってるんでしょ」
 他者同士が同じ住居に住み、家賃などを折半して助け合って暮らしていく。テレビやネットでよく聞くものだと、母親が頷く。
「まあ確かに、最近は男も身の回りのことくらい自分で出来んとなぁ。社会に出た時大変だ」
 経験則からか、父親も頷く。
 倫夫のルームシェアはトントン拍子に受け入れられてしまった。お世話になる先輩、猪飼に挨拶がしたいと言われれば約束を取り付け、猪飼も倫夫の両親へ挨拶をする。
「倫夫くんと仲良くさせていただいています。猪飼洋一と申します。倫夫くんは僕よりよほどしっかりしていて、いつも助けてもらっています」
 倫夫の家へ猪飼を招いた夕飯の席で、両親を前に愛想抜群の笑顔を浮かべて猪飼が礼をする。両親も肯定的な返答をし、彼らの中で猪飼は倫夫の先輩で感じの良い好青年という像が生まれた。

「ご両親に認めてもらえて良かったよ。次は新しい部屋探さないとね」
「んん~っ、んっ、んっ。んんんっ」
 挨拶の後、そのまま猪飼のアパートまで持ち帰られた倫夫はベッドの上で猪飼に後ろから犯されていた。
 小さく狭い尻孔をくぐり、入り込んだ倫夫の中は熱い粘膜が絡み付く。
「んんんんんっ」
 胎の奥に隠れた性感帯を突かれ、快感のまま喘ぎ声を上げそうになるが、倫夫は顔を大きな枕に押し付け、声が漏れるのを抑えている。隣室に聞こえないようにという配慮と羞恥からだった。
「防音のしっかりしたとこ探そうね。そしたらたくさん喘いで」
「んぐぐっ」
 肌を打つ音、ベッドの軋む音、そして倫夫の堪える呻き声が聞こえている。
「恥ずかしいこともいっぱい吐き出してね。倫夫くん」
「んんっ、ん。んぶふっ」
 倫夫自身も腰を振って気持ちがいいのだと伝えつつ、快感を追う。
「んん、ん、んん、んっ」
「っ、あー、倫夫……」
 気持ち良くナカを突いてくれる猪飼を締め付け、追い込んでキュッと締め付ける。腰を強く押し付けられたかと思えば、倫夫の中に熱が放たれた。
「ん……あ……ん、ん……」
「今度、内見に行こうね」
「……ん、ぁ……よ……いち、くん」
 枕から顔を上げた倫夫が口を開くと、猪飼がすぐに塞いでくれる。舌が絡み、よく出来たと褒めてくれる。全身で抱き着いて労りを求めれば、猪飼は甘やかしてくれた。



 新しい物件はすぐに決まった。大学からも近く、築年数もそれ程経っていない小綺麗なマンションの角部屋は防音性も高く、隣室の生活音が殆ど聞こえてこない。ならばこちらも同じだろうと、若い二人は最低限の生活を守り、残りは爛れて暮らした。
 倫夫も駅前の居酒屋でバイトを始め、学業と両立させながら充実した日々を過ごす。

「倫夫」
 その夜も十時まで働き、人通りの疎らな駅前を通り、猪飼の待つマンションへ帰ろうとしていた。背後から聞こえてきたのはよく知る人のもので、途端に顔が綻ぶ。
 甘えた声で名前を呼ぶと相手も笑みを浮かべ、倫夫の隣へ並ぶ。倫夫より高い位置にある端正な顔は、普段持っていない愛想をこれでもかと振り撒いている。倫夫だけに。
「いつも待っててくれて、ありがとうございます」
 夜道を一人で歩く倫夫を案じ、バイトが終わるのを待っていてくれた彼へ礼を言う。心からの言葉だとは、彼の腕へ抱き着いて歩く姿から伝わるだろう。
「達志せんぱぁい」
「ああ」
 人目も気にせず、気にならず。倫夫を纏わり付かせたまま、孤城は歩き慣れた道を進む。
 駅前からマンションまでは住宅街になっており、途中に大きな公園がある。木々に包まれた遊び場は、夜になると不気味な静寂に包まれている。
 二人は迷わず公園の中へ入っていく。その方が近道になるが、目的は違った。
「あんっ……達志先輩……」
 整備された歩道を歩きながら、孤城は倫夫に腕から離れるよう促す。大人しく従う素直さを褒めるように、細い背に腕を回し、尻を揉む。
「達志くぅん……もっと、もっとぉ……」
 二人の影は歩道を外れ、生垣の囲いの中へ入り、隠れていく。適当な木に両手を預け、尻を突き出して誘う倫夫に、孤城は言葉にせずとも応えた。
 ジーンズを膝まで脱がせ、露になったまろい尻を舐める。小さく喘ぐ倫夫をさらに悦ばせようと、双丘に隠れた窄まりに舌を這わせる。
「あぁんっ……そこ、汚いよぉ」
 シャツの隙間から腕を差し入れ、胸に触れる。男に弄られ続けた乳首は常に緩く勃ち上がり、男の訪れを歓迎するようになった。ふにふにと振れているとすぐに硬くしこり、甘えた声を上げる。
「あっ、あ、あんっ、あ……たつしくん。たつし。もう、もうだめぇっ」
 男に嬲られることを覚えた体は我慢が出来ず、すぐに股を開くようになった。性器は芯を持って涎を垂らしている。
 はやく抱いてくれと叫ぶ体を前にして、達志も耐えることは出来なかった。倫夫のバイトが終わるのを待っていた時から、はやくこの体に雄をぶちこみたくて仕方がなかった。
「みちお」
 孤城のものもすっかり血が上り、ジーパンをきつく押し上げていた。ジッパーを下ろすことすら厭わしい。
 ジィーッと聞き慣れた音に胸が弾む。もうすぐだと期待した通り、倫夫の尻に硬い肉傘があてがわれる。
「たつしくぅん」
 発情しきった雌猫のように媚びるのは、彼らに教え込まれた。可愛くねだれば可愛がってもらえる。
 ずぬっ。肉塊が孔に入り込んでいく。
「あぁん!」
 木についた手に力を入れた。足腰はすぐ使い物にならなくなる。倫夫の中へ侵入していく孤城は、理性が消えると倫夫に腕を絡め支えつつ、ひたすらに腰を振る。倫夫で気持ち良くなることしか考えられなくなる。
「あ。あ。あ。は。あっ……あっ」
「倫夫。倫夫。倫夫っ。倫夫!」
 人気のない夜の公園の片隅で、二人はただ一つに絡み合う。声も小水も精液も、出てくるものは全て出して。
 秘密の恋人達はすっかり燃え上がり、満足するまで体を繋げた。
 マンションに帰ったのは十一時を過ぎている。猪飼にはバイトの終了時間を遅く伝えているので特に怪しまれることはなく、倫夫の帰宅を安堵した表情で迎えてくれた。
「……なんか、倫夫のじゃない香りがするね」
 疲弊した体を受け止めるように抱擁され、温かさに包まれていると耳元で尋ねられる。バイト先の同僚がつけている香水が移ったのだろうと嘘をつけば、そんなものかと納得してくれた。
「仕方ないんだろうけど、愉快ではないね。倫夫から違う男の香りがするなんて。お風呂入ろうか」
「ん……トイレ行ってから、洋一くんと入る…………倫夫のからだ、綺麗にして……」
「うん。綺麗に洗ってあげるね」
 ベタベタと触れ合い、キスをしてから体を離し、トイレへ向かう。倫夫の尻の中には公園で植え付けられた種が入ったままだった。



 ある日の休み、猪飼は夕方から夜に掛けてシフトが入っていた。倫夫はオフの為夕飯を用意しておくと言い、猪飼を送り出す。
「帰るのは十一時くらいかな。もしかしたら日付変わるかも。先に食べてていいよ」
「うん……でも洋一くんのこと、起きて待ってる」
「倫夫……行ってくるね」
 優しい表情の猪飼が、倫夫の額に軽くキスをして部屋を出ていく。倫夫も彼が扉を閉めるまでは寂しくも満ち足りた恋人の顔をして送り出していた。実際、真実だった。猪飼の不在は寂しいし、名残惜しげに出ていく彼からの愛情は胸を満たす。
 しばらく玄関先に立ち尽くしているのは、余韻がないわけではない。けれどそれが全てではなかった。
 猪飼が出ていってから三分程が経過すると、呼び鈴が鳴らされる。掛けたばかりの鍵を解錠し、扉を開けると。
「倫夫くぅん。逢いたかったよ」
 機嫌良さげに笑う酒巻と、無言で倫夫を見つめる孤城が待っていた。
「龍くん、達志くん、入って」
「お邪魔しまーす。へぇ、中も綺麗じゃん」
「……倫夫」
 酒巻は遠慮なく室内へ入り進んでいく。孤城は扉の鍵を閉める倫夫を見つめ、細い体に手を伸ばす。
「ん。あ……達志、くん……」
「倫夫」
 ラフな部屋着越しに倫夫の体へ触れる。抵抗の欠片もない倫夫は孤城へすり寄り、孤城の手へ自分の手を重ね、導く。もっとここを触ってほしいと。
「あぁ……達志くんの大きい手、大好き……倫夫のお尻ま○こ、ぐちゃぐちゃにして……」
「……ああ」
 スウェットパンツの中へ手を差し入れさせ、尻を揉ませる。はやく抱かれたいとせがむ倫夫から、孤城は目をそらせない。
「おーい。盛るなら寝室来いよ。オレもちゃんと混ぜて」
 短い廊下の先にある広めのワンルームが、倫夫と猪飼が共に過ごす居室であり、愛を育む寝室だった。机と収納棚、そしてセミダブルのベッドが置かれただけの部屋に、三人で入る。
「ここで毎日彼氏とヤってんの?」
 いやらしく笑う酒巻に、頷く。男二人で寝るには少し手狭なベッドは、猪飼が引っ越しと共に持ち込んだ物だ。このベッドの上で何度も何度も抱かれた。
「前は枕に顔を伏せて、声、我慢してエッチしてた。俺、声大きいから」
「倫夫の声は大きくていやらしくて、可愛くて好きだ」
 玄関から寝室に来るまで、倫夫に絡み付いたままの孤城が珍しく言葉を多めに語る。嬉しいと微笑む倫夫に、酒巻も言葉を続けた。
「今は我慢してないんだ?」
「うん。お隣の音、全然聞こえないから大丈夫だろうって」
 孤城の手から抜け出し、ベッドへ腰掛け、寝転ぶ。すっかり使い慣れた感覚は心地好い。
 もそもそと部屋着を脱ぎながら、目は二人へ向けた。
 恋人と過ごす為の部屋、睦み合う為のベッドの上で、浮気相手を誘いながらストリップショーをしている。倫理が崩れていた。
「お願いしてみるもんだなぁ。愛の巣でヤらせてって」
「ん……龍くん……」
 下着も脱ぎ去り、素肌を晒す倫夫の上に酒巻がのしかかる。背後に見える天井は自室のもので、共に目に映るべき男は猪飼ではなく酒巻だ。視界がバグを起こしている、そんな感覚に陥りつつ、これは正しい認識だと理解する。
 恋人と暮らす為の部屋で、これから浮気相手達とセックスをする。咎められるべき行為に背徳的な興奮を見出だし、倫夫は唇を舐めた。
「龍くん……抱いて……」
 酷薄な笑みを浮かべる酒巻の首へ、腕を伸ばして絡み付く。首筋に柔らかいものが触れ、舐められ、強く吸い付かれた。
「んっ……龍くん、龍くぅん……」
 いつもなら猪飼を呼んでいるのに、今は酒巻を求めている。腕の中にいる男は酒巻なのだから間違ってはいない。
「…………あ。達志くん。達志くんもぉ……あは、かたぁい」
 酒巻と抱き合う倫夫の枕元へ、孤城もやって来る。スラックスの股間部分が持ち上がっているのが目に入り、倫夫は嬉しそうに笑い、片手を伸ばした。
「あんぅっ」
 孤城へ構う倫夫を責めるように、酒巻が肩口へ噛み付く。片手が倫夫の乳首を思いきりつねるが、痛みより甘い痺れが走る。
「乳首気持ちいいんだ」
「いたぁい。いたいよぉ」
「メス声出して媚びといて何言ってんだよ 可愛い倫夫くん」
「ああっ」
 倫夫の腕から逃れるように上体を起こした酒巻は、触れ始める。収まることを忘れた媚び勃起乳首。柔らかくなってきた気のするつるぺた乳房。痩せた腹筋、可愛い臍、さらに下へ進めば肉芽がひくひくと頭をもたげる。
「ここ、なんだっけ?」
 酒巻のものより小さな、女に使う機会を失った男性器をつつく。女のようなよがり声を上げた倫夫は恥ずかしげもなく「クリち○ぽ」と答えた。
「龍くん達の雌孔になった倫夫には、クリち○ぽしかありません……おち○ぽじゃないの……」
「うん。偉い偉い。よーくわかってるねぇ」
 褒められた倫夫はだらしなく笑った。さらに機嫌を良くした酒巻が健気なクリち○ぽへ手を伸ばし、竿を扱き始める。
「あっ。はっ。ほっ。おっ、おほっ! おほぉぉっ!!」
「……んー、慣れてきたなぁ、ってかハマったかも。倫夫くんの淫乱オホ喘ぎ。達志も好き?」
「うん」
 倫夫の手を使って自身を扱く孤城は、素直に頷く。
「洋一はぁ?」
 この場にいない筈の友人へ問い掛ける声に、悦楽に思考を犯された倫夫の理性が揺り動く。何を言っているのだと一瞬正気に戻り、すぐに手淫の虜になり。
「ん。まぁ好きだよね。倫夫くんだから」
 聞こえる筈のない声を聞いて、倫夫の理性はようやく戻ってきてしまった。
「…………え?」
 熱が一瞬で冷める。頭の中も冴え渡り、目が猪飼を探す。きょろきょろと急かしなく動く焦点に合わせてやるように、孤城とは反対側に猪飼が立った。
「なん、で」
「んー。今日のバイト、嘘だから。倫夫と一緒だよ。いつも十時終わりだろ、お前」
 淡々と言葉を返してくる猪飼に、倫夫は言葉を失う。何を言っていいかわからなかった。
「バイトの後は公園で男喰って、家帰って俺と寝るんだもんな。淫乱」
「ヤった後だからすぐ脚開くだろ」
「うん。尻はやわらかいしちょっと触っただけであんあん喘ぐし。マジで隠してるつもりならもうちょっと誤魔化せよ、倫夫」
「……あ? え?」
 倫夫の浮気を知っている猪飼は、怒った様子もなく倫夫の乳首に触れ始めた。狼狽えているのは倫夫だけで、三人は倫夫の体で遊んでいる。
「ど、して……浮気、知って……?」
「うん。知ってるよ」
 うら、と倫夫の唇へいつの間にか取り出したち○ぽを押し付けながら、猪飼が種を明かす。
「一人を選ぶかどうか、賭けてたから」
「選ぶわけないじゃん。欲しがり貪欲ワガママ流され甘ったれの倫夫くんだぜ?」
「お前らが強引に押し流したのもあるだろ。まぁ……その後も浮気、楽しんでたもんね?」
 まるで知っているかのように肯定を求める。倫夫が浮気相手と何をしていたか、知っているのだろう。彼らは変わらずに繋がっていたのだ。
「……賭け」
「うん。賭けはオレと達志の勝ち。倫夫くんは浮気してくれたもんね」
 ちゅっ、とわざとらしく音を立てて倫夫の頬がキスされる。思わず猪飼に目を向けると、黙って俯かれた。
「賭けってなにを……」
「倫夫くんを独占出来るか共有するか」
 告白した本命役のみを選んだら、本命役たる倫夫を独占出来る。浮気相手を認めたら、三人で共有となる。身勝手な賭けに倫夫の意思は反映されていない。
「だって倫夫くん。無理でしょ」
 猪飼のち○ぽが唇から頬へ移り、ぺちんと叩く。
 孤城は倫夫の手遊びを再開させる。
 酒巻は倫夫の体に纏わりつくように体を折り、舐めて吸っては股間を擦り付けている。
「うぁ」
「今さら一人で満足出来る?」
 問い掛けに言葉が詰まる。満足出来るのなら浮気相手に溺れたりしない。
「……そうしたのは。酒巻先輩達のせいだろ」
「うん。だから責任取って倫夫くんとずっと一緒にいるからね」
 毎日愛し合うね。三方からピッタリ同じタイミングで重なる言葉を、倫夫は静かに喜び、受け入れた。
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