最強魔王の子供達~仇の勇者を倒すため、チート兄妹が無双致します~

はじめアキラ@テンセイゲーム発売中

文字の大きさ
33 / 41

<33・Zowma>

しおりを挟む
 ゾウマは知っている。自分が本当はとても臆病な人間である、ということを。サリーと己の最大の違いはそこだろう。己が最強でないことも完璧でないことも知っている。そして間違えることがあるのも理解している。それは、受け入れる覚悟があるとかではなく、ただ経験に照らし合わせて理解しているという類のものではあっだ。
 前世でゾウマは半グレ組織の下っ端だった。
 不良になりたかったわけではない。それでも組織に入った理由は単純明快、入った高校のワルい生徒達の大多数がそこに入っていて、生徒たちを恐怖政治で支配していると知っていたからだ。
 腕力にも体格にも喧嘩の腕にも自信はあった。勉強はできなかったが頭の回転の速さも。それでもどんな世界であれ場所であれ、自分より強い人間はどこにでも存在するもの。長いものに巻かれて生きるのが正しいやり方だと、ゾウマは幼少期から学んでいたのである。
 それは、母に暴力を振るう父を見て育ったからというのも大きいだろう。自分から言わせてみれば、父の暴力は母の性格が冗長させていたようなものだ。何故なら母も母で拘りが強い人で、父の命令にいちいち逆らいがちだったからである。父は恭順にしていれば、意図しない失敗に関してはある程度寛容に見逃してくれる。喧嘩で勝てない相手なのだから余計な反逆などせず、ハイハイ言うことを聞いていればよかったものを。実際それを学んでからのゾウマは、母と違って殆ど父に殴られなくなったのだから。
 無論この理屈は、不可能な要求を無理やり通そうとする相手には通用しない。ドメスティックバイオレンスにはそのパターンも数多く存在するもだろう。しかし、少なくともゾウマの前世の父はそうではなかった。だからゾウマは学んだのだ。臆病で矮小な己が安全に生きていくためには、強いボスを見つけて付き従うのが一番簡単だと。
 だから、半グレ組織に所属した。学校と組織の両方を統べるボスが、ゾウマにとって最も理想的で強いボスに思えたからだ。
 その選択は正しいと思われた。
 そのボスの側についていれば自分も強者の側でいられたからだ。強い人間として、いくらでも恵まれた暴力を振るうことを許された。自分の望んだ力を、強い力の許しを得て振るえることの爽快感といったらない。己はあんな父とは違う、いつも何かに怯えて苛立っていた父よりも賢い人間になれたのだと、すくなくともそう思うことが出来たのだ。

『ごらぁぁぁ!てめえらか、俺らのシマを荒らしてるガキどもはぁ!!』

 まあ、ヤクザに目をつけられた結果、あっさりとそんな幸福も終わりを迎えたのだが。
 ボスだった少年と、特に熱心な彼の信者と思われていたゾウマ。そして幹部の数人は、アジトに乗り込んできたヤクザに処刑されることになったのだった。どのような死に方をしたかについては――正直惨すぎて思い出したくもないが。

――異世界転生して俺は、自分がまた逃れられない業の中にいると知った。

 半グレではなく、もっと強いヤクザ共に仕えていればよかった。そんなことを思いながら転生したゾウマは、早速一番強い者を見定めたのである。
 自分たちが最も従うべきは女神。それは明らかだ。でもって身内で一番強いのはサリーだと即座に理解した。だから、サリーの恋人というポジションに収まり、彼女に恭順を誓ったのである。案の定彼女は、己に従順な相手にはどこまでも寛大だったのだから。
 己は最善の選択をしたはずだ。誰よりも安全に、己が生き延びられる道を選んできたつもりだったのである。ところが。

「失敗したか……」

 落とし穴のトンネルを抜けた先。目の前に広がった光景を見て、ゾウマは呟いたのだった。
 つるりとした天井にぽっかりと開いた穴。自分はそこから落ちてきたのだろう。そして鉄板のような床。四方の壁は硝子張りで、その向こうには金色の液体が満たされている。
 水槽の中だ。しかも微かに鼻孔を擽るこの臭いは、ガソリンのような可燃性の液体だろう。
 ゾウマの能力はどんなものでも燃やすというもの。だが、その対象から自分が外れているわけではない。ここで能力を使えば、恐らく爆発が起きて自分はバラバラになるか、火達磨になって死ぬかのどちらかに違いない。
 そもそも二年前魔王を襲った時も、火力が強すぎて自分も火傷をし、どうにかマリオンの能力で守ってもらいながら撤退した経緯があるのだ。

――この水牢から、俺の力で脱出するのは無理だな。

 詰んだと、ゾウマは即座に理解した。生き延びるためにはここから第三者の力で出してもらうしかないが、ゴートンがそれを聞くとは思えない。なんせ、自分たちは彼を殺しに来たのだから。
 今思えば、正面入口から入ってくるように言ったのも自分達を試していたということなのだろう。正面の罠は本当に撤去されていたのかもしれない。奇襲をかけるつもりで裏口から入ったから罠にかかった。殺意があると見なされたから排除された。そう考えるのが自然だ。
 どうやら自分は選択を誤ったらしい。ゾウマは静かにそれを悟ったのだった。きっと今同じように囚われているであろうサリーは、そんな自分の選択ミスなど受け入れることはできないだろうが。

『……ゾウマ、聞こえるか?』

 ざざざ、とノイズが走るような音。天井の穴の脇に設置されたカメラとスピーカー。そこから音が流れてきているようだった。無論、聞こえてくるのはゴートンの声である。

「やるじゃねえか、お前、よくこんな短期間にこんな落とし穴なんか作ったんだ?お前一人の技術じゃねぇよな?お前の恋人だっつー、キレーなニイチャンに手伝ってもらったってか?」
『……そうだ』
「俺等が正面から来なかったから、話をする気ナシとみなして罠にかけたってところか。ま、お前の判断は正しいと思うぜ。俺やノエルはともかく、サリーは相当おカンムリだったからな。問答無用でお前を殺す気満々だっただろう。下手に対話しようなんて手心加えてたら、死んでたのはお前だったと思うぜ」
『…………』

 スピーカーの向こうが沈黙する。果たして今、ゴートンはどんな顔をしているのだろうか。きっと勝ち誇った顔はしていないのだろうなと思う。あれで、なんだかんだと情を捨てきれない男だ。だからこそこんな状況で恋人なんて作ってしまったのだろうが。

「悪いな、ゴートン。お前は俺達に言い訳を聞いてほしかったんだろうが。俺は、お前がなんでマリオンを奴隷にしたのかなんて興味はねえ。お前なりの理由があったんだろうが、どうでもいいってのが本心だ。怒ってもいないってことだけどな」

 サリーは気がついていなかったかもしれないが、そもそも自分達にはまともな仲間意識なんてなかったと思うのだ。
 自分以外の人間を、使えるゴミか使えないゴミでしか見ていなかったサリー。
 自分を可愛がってくれるなら誰でも良くて、都合がいいから深く考えもせずに魔王討伐に参加したマリオン。
 元の世界に帰りたくて、嫌々魔王討伐を手伝い、サリーのパシリもやらざるをえなかったノエル。
 自分の歪んだ欲求を満たすためにチートスキルを振り回せれば何でも良くて、自分を見下すサリーとマリオンへの不満を溜め込んでいたであろうゴートン。
 そして自分が安全に生き残るために、好きでもなんでもないサリーの恋人兼奴隷を演じてきたゾウマ。
 最初から自分達の心はバラバラで、同じ方向なんて見ていなかった。誰もが自分の欲望を満たすことと己の保身しか考えていないのだから当然と言えば当然だ。サリーはそこを認めたがらなかっただろうが、そもそもリーダーの彼女が仲間を“自分が活躍するための道具で踏み台”としか思っていなかった時点でお察しだろう。

「お前も気づいてんだろ、ゴートン。俺らは最初から最後まで、ちゃんとした仲間なんかじゃなかった。同じものなんか見えちゃいなかった。だから裏切りもクソもねえ。……お前にとっては残念な事実かもしれねえけどな」

 そもそもサリーだって、裏切られたのが嫌だったというより自分の玩具が自分の思い通りに動かなくてイラついたというだけだろう。
 あれも不憫な女だ。自分が最高で完璧で絶対正しい――その歪んだ思い込みから、転生してなお抜け出すことができなかったのだから。

「ヴァリアントってのは、人の心の闇ってやつが生み出すのかもなぁ。でもって本当の魔王なんかいないのかもしれねえ。二年前、たまたま世界にとって都合が悪かった奴が魔王にされたってだけで。……俺は二年前の時点で気づいてたけどスルーしたよ。どうでもよかったからな、そんなこと」
『どうでもよかった?』
「おう。そもそも、俺らは女神様に生殺与奪の権利を握られてるんだせ?女神様の考えが正しかろうが間違っていようが従うしかねえだろ。従ってさえいれば、好きなだけチートスキルを振り回して生きていけるんだからよ。俺は前世から嫌というほど思い知ってんだ。強いやつには逆らっちゃいけねえ。従ってさえいれば、安全な人生を生きていけるってな。お前もわかるだろ?」
『ゾウマ……』
「望んで異世界転生したわけでもねえ、自力で元の世界に帰ることもできねえ俺等に選択肢なんかなかったさ。俺が、一番つええと思ったサリーに従順になったのもな。……だからって、俺等がやったことがチャラになるとは思ってないが」

 自分は誰かにとって大切なものを奪ったのかもしれない。
 魔王の手下が復讐しにくるだろうと言われても、そのとおりだなとしか思えなかった。そんなことは百も承知で奪ったのだから当然だ。己は他に、生き残る方法など知らなかったのだから。

「サリーが死んだなら、俺はお前に危害を加えるつもりもねえよ。つっても、お前がそれを信じるとは思ってないけどな」

 よいしょ、とゾウマは延びをした。もう一度壁を嗅いでみたがやはり間違いない。ガラスの向こうから漂ってくるのはガソリンの臭いだ。もしくは、それに近い可燃性の液体だろう。
 これをゴートンに言うほど自分は非道ではないつもりだが。
 マリオンがゴートンにスキルをかけられたきっかけは、ゴートンが新しい仲間を紹介したいとマリオンとノエルを呼び出したことがきっかけだ。そして、実際は仲間ではなく同性の恋人だったことで、マリオンは相当反発していたはずである。なんせマリオンは自分達の中で最も同性愛に嫌悪感を抱いていたのだから。
 その結果マリオンがゴートンの奴隷になった。その恋人とやらを巡ってなんらかのトラブルがあったのは想像に難くない。そして、それを見たサリーが激怒してゴートンの粛清に乗り出し、この屋敷に戻ってきたところを罠にかけられた形となっている。この設備といい手際といい、ゴートンが一人で考えたとは考えにくい。つまり、その恋人とやらが糸を引いている可能性がかなり高いのではなかろうか。
 もし、ゴートンがマリオンと揉めるところから誰かの計算だったのだとしたら?
 もし、最初から自分達勇者を壊滅させることが目的だったとしたら?
 もし、それを手引きしたゴートンの恋人とやらが、それを最初から狙ってゴートンに近づき、その目的が怨恨だったのだとしたら?
 もし――サリーやノエルが疑問に思っていた通り、魔王は無実でヴァリアントを作り出したのは女神だったとしたら?
 そのゴートンの恋人とやらの、正体は。

――そいつは側で聞いてるのかもな。ゴートンのすぐ横で、俺が反省の言葉でも言うのを期待してんのかどうなのか。

 もし自分の推測が全て正しかったのだとしたら、その恨みは相当なものだろう。謝ったところで許してもらえるとは思えないし、許してもらおうとももはや思わない。自分達は、それだけの罪を犯したのだから。
 だから卑怯な謝罪はしない。
 むしろ、出来ない。何故なら悪いことだったのだろうとわかっていても、ゾウマが反省できるかは別問題だからだ。自分達は無理やり連れてこられた勇者であって、果たして女神に逆らう術なぞあったかどうか。はっきり言って、相当厳しかったとしか言いようがないのである。
 他に方法などなかった。悪だとわかっていても自分達は魔王を殺すしかきっとなかった。だから謝罪しない。許されず、憎まれたまま死んでいく。それが、自分なりの償いだ。

「ゴートン、お前も選べよ。女神サマがもし全ての黒幕だつーんなら……お前もまた選ばなくちゃいけねえ。ここで生きていくしかないのなら」
『おい、ゾウマ!お前、何す……っ』
「悪いが俺の生き方は変えられねえ。来世でも、長いものに巻かれて生きていくよ。……また、どこかで会ったらよろしくな。その時はマジの仲間になれるといいな」
『ちょ、待てっ!』

 ゴートンが制止する声を無視して、ゾウマは唱えた。

「チートスキル発動……“絶対力・燃”!」

 スキル発動とともに、あたりを爆炎が包み込み――ゾウマは生きたまま、焼き尽くされていったのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...