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<22・Unexpected>
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多分、マリオンだけではないだろう。あくまで今回自分とノエルが呼ばれたのは、新しい仲間を紹介してもらうためでしかないと思っていたのは。
しかし、ホテルのレストランに姿を現したゴートンは、やけに身綺麗にしていて、しかもそわそわしていた。醜い容姿のゴートンとはいえど、清潔にしていてぴっちりスーツを着ていればそれなりに見えると言うものだ。
こういう姿には覚えがある。恋人を親戚に紹介しようという男の顔。前世でマリオンの従兄弟だった青年が、親戚に彼女を紹介しに来た時まさにこんな空気だったのだ。
「た、ただの仲間にしたい人ってだけじゃねぇんだ」
そして、そんなマリオンの予想は当たっていたらしい。ゴートンは視線を彷徨わさながら、それでもはっきり言ったのだ。
「た、大切にしたい人ができた。一生添い遂げていきたいって、心から思う人だ。だ、だからお前らにも認めてほしくてだな……」
「えっ!?」
「……はぁっ!?」
ノエルが驚いた声を上げ、マリオンもひっくり返ったように叫んでしまう。ホテルのレストランだということを思い出して、どうにか立ち上がることだけは避けたが。
正直、本音は“アンタばかぁ?”とでも言いたい心持ちだった。強くて有用な人間で、信頼が置けるから仲間にしたいというのはわかる。しかし、まさかこの状況で、恋人が出来たから紹介したいなんてどうしてそんなことになるのか。
「アンタね、状況わかってんのー!?」
なるべく抑えた声で、それでもはっきりと告げる。
「今マリオンたちはぁ、惚れた腫れただのやってる場合じゃないわけ。そりゃまあサリーとゾウマはあんな感じだけど、それは今更っちゃ今更だしぃ?」
「……そこまで僕は言うつもりはありませんけど……でも、気持ちはわかります」
普段優柔不断な物言いばかりするノエルも、今回ばかりはまずいと思ったのだろう。困惑した様子でゴートンに告げる。
「僕達、英雄だなんて持ち上げられてはいますけど……実際はかなり追い込まれている立場ですよ?魔王を倒してからもう二年が過ぎてしまったんです。それなのに、ヴァリアントの脅威が去る様子がない。魔王一派の残党を狩れば脅威は去るからと女神様が仰って、僕たちもそのようにみなさんにお話して納得してもらってますけど……二年間一度も残党の襲撃がありません。そもそも、本当に生き残りがいるのかもわからないほど、その足取りが掴めていません。それは、残党狩り調査を最も積極的に行ってきたゴートンさんが一番良く知っているはずです」
「わ、わかってるよ、でも……」
「いいえぜーんぜんわかってないし!ようするに、その住民達をいつまで説得しておけるかわかったもんじゃないの!このままヴァリアント出現が収まらなかったら、魔王の手下たちを見つけて倒せなかったら。この世界の住民どもの不信が一気にマリオンたちに向く可能性があるの、わかってる?ただでさえ、異世界転生者ってだけで奇異の目を向けてくるやつもいるんだからね!?」
マリオンがずばっと言えば、ゴートンもそのまま閉口する。
目に見えるもの以上に状況が芳しくない――そんなこと、言われるまでもなくゴートンがわかっているはずだ。
自分達が尊敬されているのは、世界を守る女神に召喚されたから。そして、女神を信じる王様のバックアップがあってのことだ。本来なら二年前に魔王を倒したのに異変を収めることができなかった勇者たちは、信頼が失墜していてもおかしくはなかったのである。
それを、王様がフォローしてくれた。そして、魔王の残党を狩れば終わる、という勇者たちの言葉を信じて民を説得してくれたのである。その努力と、魔王を倒した実績、それから各地のヴァリアント討伐を自分達が買って出ることでどうにか今の地位を保つことが出来ているのだ。サリーとゾウマが王都の屋敷でぐだぐだしていられるのも、そんな王様のバックアップあってのことなのである。
裏を返せば。いくら信心深い王様であっても、待つには限度があるだろうということ。実際、直接呼び出されて“いつになればヴァリアントはいなくなるのか”と問われたことは何度でもある。
自分たちに残された時間はけして長くはない。一刻も早くヴァリアントの正体を突き止め、残党狩りをして事態を収束させなければいけないというのに。
「……わかってる。色恋沙汰にうつつを抜かしてる場合じゃねえってのは。でも……」
ゴートンはテーブルの上で拳を握りしめて言う。
「でも、本気なんだ。こんな時だからこそ、あの人に側にいて欲しい。そうしたら、俺はもっともっと頑張れるって、そう思うんだよ……!」
ウェイターが三人分の紅茶を持ってくる。ほかほかと湯気を立てる紅茶の水面には、三者三様の顔が映っている。
――厄介ね。
マリオンは。明らかに渋い顔をした己の姿を飲み込みながら思う。とにかく落ち着かなければ。腹立たしい気持ちはあるが、ここで自分が怒ってもどうしようもない。ハーブティーの抜けるような香りを味わいながら考える。
――こいつの顔……本気っぽいじゃないの。今まで散々、行く先々で美女を食ってきただろうに。セフレじゃなくて、本当に好きな相手が出来たとでも言うわけ?
しかも、状況から察するに。ゴートンはその相手に、自らの魅了スキルを使ってない可能性が高い。
使わないことを選んだのだ。醜い己が美しい美女たちに愛されることに歪んだ執着を持つこの男が。
「え、えっと……」
困り果てた様子でノエルが告げる。
「その方は。ゴートンさんのスキルで操っているわけではない、ということでよろしいのでしょうか?」
「ああ。つーか、操れねえ。あの人は人間だけど……男なんだ」
「!?」
今度こそマリオンは椅子から転げ落ちそうになった。ノエルも完全に口をぽかーんと開けてしまっている。
「お、お、男ぉ!?あ、あ、あ、ああああああああああああああああああアンタ、そんな趣味あったわけぇ!?」
同性同士で愛しあうなんて、マリオンの常識からするとはっきり言って考えられないことである。無論、マリオンの前世である令和の日本は、LGBTに対して寛容になれというような風潮があったのは事実。マリオンも表立って差別を口にしたことはなかったが――それでも心の中でどう思おうが自由と言えば自由なわけで。
自分の常識の中ではやはり、恋愛とは男と女がするものという認識が強いのだ。昔から男女の恋愛マンガや小説ばかり見てきて、絶対にBLやGLに手を出してこなかったのはそれが理由である。同じ性別、特に男性同士で裸で睦み合うなんて想像するだけでも恐ろしい。
が、ゴートンの性格を考えるなら。恋愛感情を持っている相手に、手を出してないとも考えづらく。
「し、し、しかもそいつと寝たわけ!?」
「ああ。……気持ち悪いか」
「そ、それはその……っ」
ええそうよ気持ち悪いわよ!と本音ははっきり言ってやりたいがどうにかそれは留まった。ノエルの手前で、人前であったというのが大きいが。流石にマリオンも、本人達の前でそんなことを言うほど非常識なつもりはなかったというのが最大の理由である。
「俺だってずっと思ってたんだ。女以外に愛されるなんて気持ちわりぃってな。実際、あの人を最初に誘ったのは……女の人だと思ってたからだ」
「女性に見えるような姿の方だったと」
「事情があって女装してたんだよ。でもって……ベッドに入る前にいろんな話をした。この世の誰よりも美しい人だと本気で思ったんだ。見た目だけじゃなくて、心もな。で、実際寝てみたら相性も悪くなかったし……何より、スキルなんか使わなくてもあの人は俺を軽蔑しなかった。俺の見た目も努力も……認めてくれたんだ」
ゴートンは思い詰めたような顔で俯く。
「あんな人がこの世にいるのかって、本気でそう思ったんだよ!俺は……俺はこの人に出会うために生まれてきたんだってそう思った。男でも全然関係なかった。俺は男に惚れたんじゃねえ、あの人って個人に惚れたんだ。しかもあの人はこの間のヴァリアント討伐で俺を命がけで守ってくれた。こんな、こんなろくでもない俺を。それで俺は、俺は……!」
彼の表情は真剣そのものである。本気の本気で、その人物に惚れ込んでしまっている顔だった。これは、その恋心を止めろと言っても簡単にはいかないだろう。本当に厄介極まりない、とマリオンはため息をつく。
無論、その“男性”が、自分達の仕事において有用な人材ならば問題はない。最終的にゴートンと別れてゴタゴタに自分たちを巻き込まないでくれるのであれば。
だが、どうしても気になっていることがある。日付から計算して、ゴートンがその人物に出会ったのはメリーランドタウンに来てから。つまり、出会って一ヶ月にも満たない付き合いということである。その短期間に、よくぞ警戒心の強いゴートンの心の壁を突破してきたものだ。
うまく行き過ぎている。そう思うのは当然ではなかろうか。
「そいつ、魔王の手下とか、敵国のスパイとかじゃないでしょうね?」
マリオンは紅茶を飲み干して尋ねる。
「ゴートンさぁ、自分が今どーんな顔してるかわかってるー?完全に、恋する乙女まっしぐらって顔。そいつの恋人っていうより、信者みたいよー?」
「信者……そう、かもな」
「そうかもな、じゃなーい!自分に都合の悪い可能性があっても、ぜーんぶ目を背けてるモード入ってない?本当に、その人は潔白なわけ?下心なしにあんたに近づくとかあり得る?」
「そ、それは……」
まったく、ゴートンらしくもない。いつもの彼ならこんなこと言われたら、“そんなわけあるか!”と激昂していそうなものである。
それが、マリオンの言葉に彼が取った行動は、苦しげに頭を抱えることだったのだから実に末期だ。
「ううううっ……や、やめてくれマリオン!俺はもうあの人なしじゃ考えられないんだ。想像もしたくないんだ、騙されてるかもしれないなんて……!」
ああ、駄目だこりゃ。そう思ったのはマリオンだけではあるまい。
「……あの」
やがておずおずと、ノエルが口を開いたのだった。
「その方は、なんてお名前です?この街のどこにいらっしゃるのでしょうか?」
しかし、ホテルのレストランに姿を現したゴートンは、やけに身綺麗にしていて、しかもそわそわしていた。醜い容姿のゴートンとはいえど、清潔にしていてぴっちりスーツを着ていればそれなりに見えると言うものだ。
こういう姿には覚えがある。恋人を親戚に紹介しようという男の顔。前世でマリオンの従兄弟だった青年が、親戚に彼女を紹介しに来た時まさにこんな空気だったのだ。
「た、ただの仲間にしたい人ってだけじゃねぇんだ」
そして、そんなマリオンの予想は当たっていたらしい。ゴートンは視線を彷徨わさながら、それでもはっきり言ったのだ。
「た、大切にしたい人ができた。一生添い遂げていきたいって、心から思う人だ。だ、だからお前らにも認めてほしくてだな……」
「えっ!?」
「……はぁっ!?」
ノエルが驚いた声を上げ、マリオンもひっくり返ったように叫んでしまう。ホテルのレストランだということを思い出して、どうにか立ち上がることだけは避けたが。
正直、本音は“アンタばかぁ?”とでも言いたい心持ちだった。強くて有用な人間で、信頼が置けるから仲間にしたいというのはわかる。しかし、まさかこの状況で、恋人が出来たから紹介したいなんてどうしてそんなことになるのか。
「アンタね、状況わかってんのー!?」
なるべく抑えた声で、それでもはっきりと告げる。
「今マリオンたちはぁ、惚れた腫れただのやってる場合じゃないわけ。そりゃまあサリーとゾウマはあんな感じだけど、それは今更っちゃ今更だしぃ?」
「……そこまで僕は言うつもりはありませんけど……でも、気持ちはわかります」
普段優柔不断な物言いばかりするノエルも、今回ばかりはまずいと思ったのだろう。困惑した様子でゴートンに告げる。
「僕達、英雄だなんて持ち上げられてはいますけど……実際はかなり追い込まれている立場ですよ?魔王を倒してからもう二年が過ぎてしまったんです。それなのに、ヴァリアントの脅威が去る様子がない。魔王一派の残党を狩れば脅威は去るからと女神様が仰って、僕たちもそのようにみなさんにお話して納得してもらってますけど……二年間一度も残党の襲撃がありません。そもそも、本当に生き残りがいるのかもわからないほど、その足取りが掴めていません。それは、残党狩り調査を最も積極的に行ってきたゴートンさんが一番良く知っているはずです」
「わ、わかってるよ、でも……」
「いいえぜーんぜんわかってないし!ようするに、その住民達をいつまで説得しておけるかわかったもんじゃないの!このままヴァリアント出現が収まらなかったら、魔王の手下たちを見つけて倒せなかったら。この世界の住民どもの不信が一気にマリオンたちに向く可能性があるの、わかってる?ただでさえ、異世界転生者ってだけで奇異の目を向けてくるやつもいるんだからね!?」
マリオンがずばっと言えば、ゴートンもそのまま閉口する。
目に見えるもの以上に状況が芳しくない――そんなこと、言われるまでもなくゴートンがわかっているはずだ。
自分達が尊敬されているのは、世界を守る女神に召喚されたから。そして、女神を信じる王様のバックアップがあってのことだ。本来なら二年前に魔王を倒したのに異変を収めることができなかった勇者たちは、信頼が失墜していてもおかしくはなかったのである。
それを、王様がフォローしてくれた。そして、魔王の残党を狩れば終わる、という勇者たちの言葉を信じて民を説得してくれたのである。その努力と、魔王を倒した実績、それから各地のヴァリアント討伐を自分達が買って出ることでどうにか今の地位を保つことが出来ているのだ。サリーとゾウマが王都の屋敷でぐだぐだしていられるのも、そんな王様のバックアップあってのことなのである。
裏を返せば。いくら信心深い王様であっても、待つには限度があるだろうということ。実際、直接呼び出されて“いつになればヴァリアントはいなくなるのか”と問われたことは何度でもある。
自分たちに残された時間はけして長くはない。一刻も早くヴァリアントの正体を突き止め、残党狩りをして事態を収束させなければいけないというのに。
「……わかってる。色恋沙汰にうつつを抜かしてる場合じゃねえってのは。でも……」
ゴートンはテーブルの上で拳を握りしめて言う。
「でも、本気なんだ。こんな時だからこそ、あの人に側にいて欲しい。そうしたら、俺はもっともっと頑張れるって、そう思うんだよ……!」
ウェイターが三人分の紅茶を持ってくる。ほかほかと湯気を立てる紅茶の水面には、三者三様の顔が映っている。
――厄介ね。
マリオンは。明らかに渋い顔をした己の姿を飲み込みながら思う。とにかく落ち着かなければ。腹立たしい気持ちはあるが、ここで自分が怒ってもどうしようもない。ハーブティーの抜けるような香りを味わいながら考える。
――こいつの顔……本気っぽいじゃないの。今まで散々、行く先々で美女を食ってきただろうに。セフレじゃなくて、本当に好きな相手が出来たとでも言うわけ?
しかも、状況から察するに。ゴートンはその相手に、自らの魅了スキルを使ってない可能性が高い。
使わないことを選んだのだ。醜い己が美しい美女たちに愛されることに歪んだ執着を持つこの男が。
「え、えっと……」
困り果てた様子でノエルが告げる。
「その方は。ゴートンさんのスキルで操っているわけではない、ということでよろしいのでしょうか?」
「ああ。つーか、操れねえ。あの人は人間だけど……男なんだ」
「!?」
今度こそマリオンは椅子から転げ落ちそうになった。ノエルも完全に口をぽかーんと開けてしまっている。
「お、お、男ぉ!?あ、あ、あ、ああああああああああああああああああアンタ、そんな趣味あったわけぇ!?」
同性同士で愛しあうなんて、マリオンの常識からするとはっきり言って考えられないことである。無論、マリオンの前世である令和の日本は、LGBTに対して寛容になれというような風潮があったのは事実。マリオンも表立って差別を口にしたことはなかったが――それでも心の中でどう思おうが自由と言えば自由なわけで。
自分の常識の中ではやはり、恋愛とは男と女がするものという認識が強いのだ。昔から男女の恋愛マンガや小説ばかり見てきて、絶対にBLやGLに手を出してこなかったのはそれが理由である。同じ性別、特に男性同士で裸で睦み合うなんて想像するだけでも恐ろしい。
が、ゴートンの性格を考えるなら。恋愛感情を持っている相手に、手を出してないとも考えづらく。
「し、し、しかもそいつと寝たわけ!?」
「ああ。……気持ち悪いか」
「そ、それはその……っ」
ええそうよ気持ち悪いわよ!と本音ははっきり言ってやりたいがどうにかそれは留まった。ノエルの手前で、人前であったというのが大きいが。流石にマリオンも、本人達の前でそんなことを言うほど非常識なつもりはなかったというのが最大の理由である。
「俺だってずっと思ってたんだ。女以外に愛されるなんて気持ちわりぃってな。実際、あの人を最初に誘ったのは……女の人だと思ってたからだ」
「女性に見えるような姿の方だったと」
「事情があって女装してたんだよ。でもって……ベッドに入る前にいろんな話をした。この世の誰よりも美しい人だと本気で思ったんだ。見た目だけじゃなくて、心もな。で、実際寝てみたら相性も悪くなかったし……何より、スキルなんか使わなくてもあの人は俺を軽蔑しなかった。俺の見た目も努力も……認めてくれたんだ」
ゴートンは思い詰めたような顔で俯く。
「あんな人がこの世にいるのかって、本気でそう思ったんだよ!俺は……俺はこの人に出会うために生まれてきたんだってそう思った。男でも全然関係なかった。俺は男に惚れたんじゃねえ、あの人って個人に惚れたんだ。しかもあの人はこの間のヴァリアント討伐で俺を命がけで守ってくれた。こんな、こんなろくでもない俺を。それで俺は、俺は……!」
彼の表情は真剣そのものである。本気の本気で、その人物に惚れ込んでしまっている顔だった。これは、その恋心を止めろと言っても簡単にはいかないだろう。本当に厄介極まりない、とマリオンはため息をつく。
無論、その“男性”が、自分達の仕事において有用な人材ならば問題はない。最終的にゴートンと別れてゴタゴタに自分たちを巻き込まないでくれるのであれば。
だが、どうしても気になっていることがある。日付から計算して、ゴートンがその人物に出会ったのはメリーランドタウンに来てから。つまり、出会って一ヶ月にも満たない付き合いということである。その短期間に、よくぞ警戒心の強いゴートンの心の壁を突破してきたものだ。
うまく行き過ぎている。そう思うのは当然ではなかろうか。
「そいつ、魔王の手下とか、敵国のスパイとかじゃないでしょうね?」
マリオンは紅茶を飲み干して尋ねる。
「ゴートンさぁ、自分が今どーんな顔してるかわかってるー?完全に、恋する乙女まっしぐらって顔。そいつの恋人っていうより、信者みたいよー?」
「信者……そう、かもな」
「そうかもな、じゃなーい!自分に都合の悪い可能性があっても、ぜーんぶ目を背けてるモード入ってない?本当に、その人は潔白なわけ?下心なしにあんたに近づくとかあり得る?」
「そ、それは……」
まったく、ゴートンらしくもない。いつもの彼ならこんなこと言われたら、“そんなわけあるか!”と激昂していそうなものである。
それが、マリオンの言葉に彼が取った行動は、苦しげに頭を抱えることだったのだから実に末期だ。
「ううううっ……や、やめてくれマリオン!俺はもうあの人なしじゃ考えられないんだ。想像もしたくないんだ、騙されてるかもしれないなんて……!」
ああ、駄目だこりゃ。そう思ったのはマリオンだけではあるまい。
「……あの」
やがておずおずと、ノエルが口を開いたのだった。
「その方は、なんてお名前です?この街のどこにいらっしゃるのでしょうか?」
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