Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

文字の大きさ
上 下
69 / 193

『ビッグボスゴブリン』リベンジ 『ビッグボスゴブリン』戦線復帰

しおりを挟む
 『ビッグボスゴブリン』戦の開戦から、15分強。
 俺は、ローズのところまで戻ってきた。
 『ビッグボスゴブリン』の方に注意を向けながら、今の状況をローズに聞いた。
 あれ? 『ビッグボスゴブリン』の挙動が少し変わった?

「ゴブリンの群れ倒し終わったよ! 今どんな感じ?」

 俺は、『ビッグボスゴブリン』に向かって、魔法を飛ばしたり、鉄球を投げたりしながら、ローズの話を聞いた。

「オクツ、戻ってきたのね! お疲れ様。今の状況は、『ビッグボスゴブリン』のHPで言うと、残り25%強ぐらいよ」

 8分弱で25%弱も削ったのか。
 前半のペースに比べたら落ちているけど、相当なペースだな。
 ペースが落ちる要因でも何かあったのかな?

「ペースは落ち着いてきた感じなんだな」

 飛ばした『ウォーターランス』が、『ビッグボスゴブリン』に着弾した。


 73ダメージ


 やけにダメージが低いな。
 『ウォーターランス』に続いて、鉄球も着弾した。


 36ダメージ


 鉄球もダメージ低いな。
 なんでなんだろう?

「前回の『ビッグボスゴブリン』戦だと、この50%切ったあたりで倒されちゃったから、今の状況は、前回経験してないところなのよ。経験してないところだから、慎重に進めてるの。そのせいもあって進捗が遅いわ」

 あぁ、確かにそうだな。
 慎重にやったら、無理ができないから多少はペースが落ちるのかな。
 今度は『ファイアランス』が『ビッグボスゴブリン』に着弾した。


 79ダメージ


 さっきから、『ビッグボスゴブリン』に当たった、魔法とか鉄球のダメージが異常に低いんだけど、何でなんだろう?
 ローズなら知っているのかな?
 『ビッグボスゴブリン』が何かしているのかな?

「そうなんだな。確かに、情報がないし、慎重に行った方がいいよな。それにしても、鉄球のダメージがゴブリンの群れを倒しに行く前より低いんだけど、なんでだろう? 原因わかる?」

 俺は、ローズの説明をMPポーションをあおりながら聞いた。
 そろそろ、ポーションの在庫が怪しくなってきたなぁ。魔法でMPを使うし、『生命変換』でHPを使うから、消費量が激しいんだよなぁ。

「『ビッグボスゴブリン』の残りのHPが30%を切ったぐらいで、行動パターンを変えて防御重視になったの。行動パターンが変わると同時に、『ビッグボスゴブリン』の防御力が上がって、全然攻撃が通らなくなったのよ。さっき言った、慎重になるっていうことと、『ビッグボスゴブリン』の防御力上昇で、30%から急激に勢いが鈍化したわ」

 へぇ、そんなことがあったんだ。
 だから、『ビッグボスゴブリン』の挙動がちょっと変だったんだな。
 よかった。俺の攻撃が突然弱くなってしまったのかと思った。
 みんな攻撃が通りづらくなっているんだな。安心した。

「『ビッグボスゴブリン』の防御力が上がったのか。それならこのダメージも納得だな。それに、行動パターンが変わったのか。前回は見られなかった挙動だな」

 ローズが冗談っぽく言った。

「マンネリ化してきていた戦闘にちょうどいいアクセントにはなったけど、それ以上に防御が堅くて困っているわ!」

 何球目かの鉄球が着弾した。


 防御貫通174ダメージ
 追撃19ダメージ

 そうか、『貫通』があれば、いいのか。
 『貫通』があれば、確率によるけど、防御力が上がった敵でも、対応できるな。
 それにこのスキルは、パッシブだからクールタイムとかを気にする必要もないし。
 防御力がない敵なんて、今のところ聞いたことないから、誰にでも効く有能スキルだな。
 俺は、『貫通』の有能さを再確認した。
 俺は、ローズに『貫通』をおすすめした。

「それなら、『貫通』ってスキルとってみたら? SP余ってるでしょ?」

「どんなスキルなの?」

 鉄球を投げながら、ローズに『貫通』の魅力をプレゼンする。

「確率で相手の防御力を貫通するってスキルだよ。レベルが低いときは、確率がかなり低いけど、戦闘時のパッシブスキルだから、取っておいて損はないと思うよ」

「すぐに取るわ! 『貫通』ね!」

 そう言ってローズは、一時的に攻撃を止めて、ウィンドウをいじりだした。
 俺のプレゼンは成功したみたいだ。

「それで少しは攻撃が通るようになると思うぞ」

「オクツは、こっちで鉄球とかを投げるの?」

 ローズにこう聞かれた。
 あ、前衛に戻るの忘れてた。
 今の状況を教えてもらうのと、鉄球を投げることに夢中になって、前衛に戻るってことが頭からすっぽりと抜けていた。
 完全に忘れていた。
 俺は慌てて取り繕うように言った。

「いや、状況を把握できたし、前衛に戻るよ!」

「じゃあ、そのときにコルドにも『貫通』を教えてあげて」

 早速、『貫通』の効果を実感できたのか、ウキウキでローズがそういった。
 俺はそれに少しだけテンパりながら返した。

「もちろん」

 そう言って俺は、前衛まで上がった。
 コルドへの申し訳なさで、いつもより2割増しくらいで速く走れた気がする。
 『ビッグボスゴブリン』と久しぶりに対峙する。
 久しぶりと言っても、15分ぶりだ。
 コルドの斜め後ろぐらいの位置から、コルドに話しかける。

「コルド! 戻ってきたぞ!」

 そう言って、近接戦闘に参加していった。
 コルドからちょっとした文句が返ってきた。

「おぉ、オクツやっと来たか! 後ろでずっとローズと話してたから、今回の戦闘は、後衛で行くのかと思ってたぞ!」

 俺は少し慌てながら、言い訳を並べる。

「ローズに状況を聞いてたんだよ! まぁ、その間も鉄球とか魔法とかを投げてある程度ダメージは出してたぞ!」

「ただでさえ、敵の防御力が上がって、ヘイトを取りにくくなってるのに、後ろのダメージ量を上げてどうするんだよ! そもそもタンク職じゃないのに、ヘイト取りをするって大変なんだぞ!」

 確かにそうだな。
 前衛でうまくダメージを出せない中で、後衛がよりダメージを出してきたら、ヘイトのバランスが崩れちゃうよな。
 タンク職じゃないから、ヘイトを取るようなスキルを持っている訳でもないし、ヘイト管理が大変なんだろう。
 ヘイト管理もして、前衛としてダメージも出して、さらに回避行動もちゃんとするってマルチタスクすぎるな。
 心の中で全力で謝罪をしておいた。
 すまんコルド!
 その気持ちを込めながら、『ビッグボスゴブリン』に斬りかかる。

「それもそうだな」

「オクツが前衛に戻ってきたし、これで少しは余裕がでるといいな!」

 コルドの顔に安堵が見えた。
 前は2人でやっていた前衛を1人でやるっていうのは相当大変なんだろう。
 まぁ、その分俺はゴブリンの群れに1人で立ち向かったし。それはトントンかな。
 でも、後衛で話し込んで、前衛に戻ってこなかったことは全力で謝ろう。
 改めて、すまんコルド!
 そうだ、今のうちに『貫通』をおすすめしておこう。

「そうだ! コルドって『貫通』ってスキルを持ってるか?」

「持ってないぞ! それがどうしたんだ?!」

 『ビッグボスゴブリン』と戦いながら、さっきローズにした説明と同じように説明をする。

「『貫通』ってスキルを使うと、確率で相手の防御を貫通するんだ。戦闘時のパッシブスキルだし、取っておいた方がいいぞ!」

「わかった! すぐにでも取る! だから、ちょっとだけ前線頼んだ!」

 そう言って、コルドは少し下がった。
 俺は、1人で『ビッグボスゴブリン』を抑えることになった。
 俺にできるかな?
 不安になりながらも、それを表に出さないように返事をした。

「りょうかーい!」

 それから少しの間、俺は1人で『ビッグボスゴブリン』と対峙した。
 攻撃は最低限で、回避とヘイト取りに全力を注いだ。
 こういうときに限ってクリティカルや防御貫通の発生率が悪かった。
 ヘイトを取るのって大変だな!
 これをしながらダメージを出すコルドってすごいんだなと、やってみて改めてコルドを尊敬した。




しおりを挟む
「いいね」「お気に入り登録」「しおり」などもお願いします!感想も書いていただけると嬉しいです。
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜

八ッ坂千鶴
SF
 普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。  そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……! ※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く

オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。 しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。 農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ! ※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

処理中です...