Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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夕食 家族の会話

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 夕飯時。
 家族で食卓を囲んでいると、妹が俺に向かって言った。

「お兄ちゃん。私、APOの抽選当たった」

 妹から出てきたのは意外な言葉だった。
 俺は一瞬ぽかんとしてしまう。
 しょうがないだろう。妹は、ゲームとかは通らずに暮らしてきたタイプの中学生だ。
 その妹から、今1番熱いAPOの名前が出るとは思わなかったのだから。
 俺は気を取り直して、妹に返事をする。

「ふみもAPOに興味があったんだな。普段あまりゲームとかしないし意外だな。当たったのって、第2陣のか?」

「そうそれ、第2陣」

「そうか、誰かと一緒にやるのか?」

「友達と5人でやろうと思ってたんだけど、樹璃ちゃん以外は落ちちゃったの。だから先に2人で始めようかと思うの。先にやっておけば後でみんなと合流した時にスムーズに進められそうだし」

 女子中学生が、友達と応募するくらいAPOって流行ってるんだな。
 それにしても、3人落ちちゃったのか。第2陣になってもそんだけ落ちるようなゲームの第1陣のソフトをくれるとか、最高の入学祝いじゃないか! ありがとう、涼の兄ちゃん!
 改めて、涼の兄ちゃんに感謝した。

 妹が一緒にやるのは、樹璃ちゃんのようだ。
 樹璃ちゃんは、華の妹で、昔は一緒に遊んだものだ。
 俺、涼、華の3人が、中学校に上がると、学校が違うからか交流が減っていってしまった。
 それでも、外であったら挨拶をしてくれるくらいには仲がいい。
 ふみと樹璃ちゃんなら、一緒にゲームをしても楽しそうだな。

「樹璃ちゃんか。華の妹だし、知らない顔でもないか……」

「急にぶつぶつつぶやいて、どうかしたの? お兄ちゃん」

 考えていたことが、どうやら口から洩れてしまっていたらしい。
 ちょっとだけ恥ずかしい。
 恥ずかしさを胸の奥の方に押し込んで、妹に言い訳と提案をした。

「いや、ちょっと考え事をしてな。もしよかったらだけど、友達と合流するまでの間、俺たちと一緒にやるか?」

「いいの? でも、お兄ちゃんって友達とやってるんでしょ? その人たちの了解を取らなくて大丈夫なの?」

「華と涼だから、ふみと樹璃ちゃんなら問題ないと思うぞ」

「お兄ちゃんって、華さんと涼と一緒にやってたんだ! それなら、お願いすることになるかも。もちろん、樹璃ちゃんと話し合ってからだけど」

 妹は乗り気みたいだ。楽しそうに返事をしてくれた。
 あの2人なら、ノリノリでOKを出すだろうから、後は樹璃ちゃんしだいだな。

「じゃあ、2人に、もしかしたら、ふみと樹璃ちゃんも仲間に入れるかもしれないけどいいか? って聞いとくぞ」

「ありがとうお兄ちゃん」

 箸をおいて話し込んでいる俺とふみ。
 それを見て、疎外感があったのか、ちょっとだけ不機嫌になった母さんが会話に入ってきた。

「さっきからあんたたち何の話をしてるの? 仲間外れにされてるみたいで少し悲しいわ」

 母さんに分かりやすいように短く説明する。

「母さん。今ふみと話してたのはAPOってゲームの話だよ」

「あぁ、久がお年玉切り崩したかったやつね」

 母さんは、分かってくれたみたいだ。
 多分ゲームの内容は知らないだろうから、俺とふみの話を聞くだけになると思うけど、会話に入れて母さんは満足げだ。

「そう、それ。あ! そういえば、ふみはゲームと本体を買うお金はどうするんだ?」

「お父さんが中学校の入学祝いに買ってくれた!」

「え? 俺は、自費で買ったのに……」

「お父さん、相談してくれたら、入学祝いで買ってあげたのにって言ってたわよ」

 母さんが、爆弾を落としてきた。
 え?!
 お父さんに相談してたら、入学祝いで買ってくれてたの?!
 断腸の思いで貯金を切り崩して買ったのに。
 先に言ってよぉ……
 俺のテンションは、一気に下がっていった。

「そうだったのか……お父さんを頼ればよかった!」

 俺はうなだれながら、たらればを言う。

「樹璃ちゃんは、大丈夫なの?」

 母さんはゲームのことを知らないし、話を聞くだけになると思っていたけど、ガッツリ会話に入ってきていた。さすが母親パワー。適当なことを考えている俺。
 母さんを加えた3人で会話が進んでいく。

「樹璃ちゃんも、入学祝いで買ってもらったって言ってたよ、お母さん」

「そうなのね」

「華も悔しがってそうだな!」

 お! 華も確か自費で出してたな!
 これは悔しがるぞ!
 頭を抱えるはずだ!
 これで仲間ゲットだ!!
 こっちにこい華。買ってもらえたのに自費で買った苦しみを味わうがよい。
 失敗仲間を見つけた俺は、テンションを下げる前よりもテンションをさらに上げた。
 俺のテンションがジェットコースターになっている。

「まだ、華さんには伝えてないって言ってたよ。華さんなら崩れ落ちて悔しがりそう」

「華ちゃんならありそうね」

「他の子は、大丈夫なのか?」

「他の子たちも、親が買ってくれるみたいだよ。入学祝いとか誕生日プレゼントとかで」

「あ。そういえばお父さんが『久に入学祝いをあげてないから、なんか買ってやるかな』って言ってたわよ」

 朗報が舞い込んできた!
 チャンス!
 チャンスは死んでいなかった!
 俺にはまだチャンスが残されていたのだ!
 何買ってもらおうかな。
 でもなぁ、あの額の買い物をした後だから、あんまり物欲がないんだよなぁ。
 APOの月額のオンライン代を出してもらおうかな。
 でもなぁ、入学祝いだからでかいもの買ってほしいって気持ちもあるんだよなぁ。
 でもなぁ、フルダイブVRより高いものを買おうとも思わないしなぁ。
 どうしようかなぁ。

「よっしゃあ! 何買ってもらおうかな? さすがにフルダイブVRより高いものを頼む気にはなれないしなぁ。そもそもそんな値段の欲しいものは無いしなぁ。何にしようかなぁ」

「急にテンション高くなったね、お兄ちゃん」

「現金な子に育っちゃったわね」

 それから話題は、APOの話から、雑談に変わった。
 今日のあの番組が面白かったや、今日近所の〇〇さんにあったみたいな他愛もない話をしながらご飯を食べた。



「ごちそうさまでした」

 俺は箸をおいて手を合わせる。
 食器をまとめて、シンクに持って行こうとしたところで母さんに声を掛けられる。

「早くゲームやりたいんでしょ? 片付けはお母さんがやっとくから、部屋に行っていいわよ」

「ありがとう! お母さん!」

 今日の母さんは上機嫌らしい。
 食器洗いを代わってくれた。
 だから俺は、食器をそのまま置いて、部屋に向かう。
 ありがたいな。
 早くゲームをしたくなってきた。

「ごちそうさまでした。じゃあ、ついでに私の分もお願い、お母さん!」

「しょうがないんだから」

「ありがとうね、お母さん!」

 母さんは上機嫌だから、ふみの分の食器まで片付けてくれるらしい。
 母さん、だいぶ上機嫌だなぁ。




 部屋に戻って、フルダイブVRをセットする。

 2人はもうご飯を終えて戻ってきてるのかなぁ。
 2人ともご飯食べるの速いしなぁ。
 何してるんだろうなぁ?
 面白いことでもしてるのかな?
 夕食で話し込んじゃったから、俺が一番最後かもなぁ。
 まぁ、そこまで遅れたわけでもないし、文句は言われないかな。
 でもなぁ、あの2人だからなぁ。
「2人がそろってから〇〇分が経ちました」みたいな校長先生みたいなことを言いそうだなぁ。
 何て言ってくるのか楽しみにしておこう。

 あ。あれ相談しなきゃなぁ。ふみと樹璃ちゃんの件。
 まぁ、あの2人だし、了承してくれると思うんだけどなぁ。
 大丈夫でしょ。
 人数が多いほうが楽しいとか言いそうだなぁ。
 まぁ、これを機にちょっとだけ疎遠になっちゃった中学生組とまた楽しく遊べるようになるかもなぁ。
 楽しく遊ぶとまではいわなくても、中学生組が、また家に遊びに来るようにならないかなぁ。今はふみが気を使っているのか遠慮をしているのかそれとも外が楽しいのか、家で遊ばなくなったからなぁ。
 そうなったらいいなぁ。
 俺もワイワイした感じ好きだしなぁ。

 俺は、APOにログインした。

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