Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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チュートリアル

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 チュートリアルを開始します。


 視界は動かすことはできるけれど、どこか別のところに行くことはできない。
 あぁ、いわゆる強制イベントというやつか。
 強制イベントに体を任せることを決意したタイミングで、次の指示がウィンドウに書かれた。
 それを呼んだタイミングで金縛り? 、身体の制限は解かれた。


 リスポーン地点を設定しよう!

 ①メニューを開いてください。
 ※メニューを開くには、「メニュー」と念じるか、声に出してください。


 俺は心の中でメニューと念じてみた。
 すると、さらに1枚、新しいウィンドウが開いた。
 最新の技術はここまで来ているのだぁ。
 脳波を感知して、VRを動かしてるとは聞いてたけど、念じるだけで何かができるようになるなんて、未来過ぎてちょっと戸惑っている。
 指示ウィンドウが次の指示をしてきた。


 ②『リスポーン地点』の項目を開いて、リスポーン地点の設定を始まりの町にしてください。
 ※ウィンドウの操作は、念じるか、手で触れて操作することで行えます。
 ※ウィンドウは、他の人からは見えていないため、手で操作をすると、空中に向かって手を動かしている人のように見えます。


 この注意喚起をしてきているってことは、念じる操作を推奨してるってことじゃないのかな?
 変な動きをしてると思われるのも恥ずかしいし、今までしたことのなかった念じる操作に慣れるためにも俺は念じての操作を選んだ。
 メニューウィンドウの左下にある『リスポーン地点』を開くように念じる。
 メニューウィンドウが『リスポーン地点』に切り替わった。
 それから、ゆっくりと一つずつ念じながら操作していく。
 少しだけスムーズに念じる操作ができるようになってきた気がする。
 俺は、指示通りリスポーン地点を切り替えた。

 リスポーン地点:なし
 ↓
 リスポーン地点:始まりの町

 切り替えが終わり一息つくと、ウィンドウの表示がクリアに変わった。



 リスポーン地点を設定しよう! クリア

 ①メニューを開いてください。 (済)
 ②『リスポーン地点』の項目を開いて、リスポーン地点の設定を始まりの町にしてください。 (済)
 ※メニュー『リスポーン地点』のウィンドウを閉じて構いません。閉じる操作は、念じる場合、そのウィンドウを閉じると念じれば閉じます、手で操作する場合は、そのウィンドウを握りつぶすでも、縮小しようとするでも、画面を小さくしようとする動作をすると閉じます。

 へぇ、手の操作だと、そういう遊び心ある感じになってるんだ。
 まぁ、俺は念じて閉じるけど。

 次の指示がウィンドウに表示される。



 道具屋で、旅の準備をしよう!

 ①視界に表示される赤色の誘導線に沿って、道具屋に向かってください。



 視界に赤い半透明な線が表示された。
 これに沿って行けばいいのか。
 どうやらメニューをゆっくり動かしている間に、だいぶプレイヤーが増えたらしい。
 俺より遅いプレイヤーがこんなにいるってことは、みんな、ステータス設定で相当迷ってたのかな?
 この噴水の広場にいる人の多くが、誘導線の方向に移動しだした。
 みんな、すごくゆっくり移動している。
 もしかして、まだVRで体を動かす感覚に慣れていないのかな?
 そんなに難しいのかな?

 皆チュートリアルをやってるのかなぁ。
 今日がサービス開始日だし、この広場にどんどんプレイヤーが増えていきそうだな。
 よし、少し駆け足でチュートリアルを進めて混雑を回避しよう。
 この世界に来てまで、混雑でぎゅうぎゅうとか嫌だからな!
 誘導線に沿って一歩目を踏み出した瞬間、頭の中に直接、音が聞こえてきた。


 ステータスアップSTR(極微)Lv.1/Lv.10 がレベルアップしました。
 ステータスアップAGI(極微)Lv.1/Lv.10 がレベルアップしました。



 どうやらスキルがレベルアップしたらしい。
 使ってないのになんでかな?
 あ、そういえばこの2つのスキルはパッシブスキルというやつだ。
 常に発動しているから、もう経験値がたまってレベルアップしたのかな?
 スキルがレベルアップしたタイミングで、何故か誘導線が消えた。
 そしてウィンドウに書かれている指示が変わった。


 スキルについて知ろう!


 スキルには、パッシブスキルとアクティブスキルの2つがあります。

 パッシブスキルは、常に発動しているスキルのことです。
 パッシブスキルは、発動時間によって経験値が得られます。この経験値が一定量に達するとレベルアップをします。
 一部のパッシブスキルは、発動時間ではなく、スキルの効果が発揮されるたびに経験値が得られます。

 アクティブスキルは、発動を念じるまたは、スキル名を発声することで発動するスキルです。
 ※発声して発動する場合でも、発動の意志がなければスキルは発動しません。
 アクティブスキルは、スキルを発動し終えたタイミングで経験値が得られます。パッシブスキルと同様、経験値が一定量に達するとレベルアップします。
 アクティブスキルには、クールタイムが存在します。
 クールタイムは、スキルを発動し始めてから、一定時間はそのスキルを発動できないというものです。


 スキルレベルを各スキルに与えられている上限レベルまで上げると、SPが5もらえます。
 上限レベルまで上がったスキルの昇華が3SPを消費することで、行えます。
 他にも、初期ステータスを決める時に見たスキル一覧から、スキルを3SPを消費することで習得することも出来ます。
 スキル一覧は、個人によってバラバラに、ラインナップが成長していきます。


 スキルを習得する方法は、SPを使う他に、特定の行動をする、住民に教えてもらう、スキルオーブを使用するなどの方法があります。
 スキルオーブは、魔物からのドロップ、宝箱から出てくる、スキル屋で販売しているものを購入する、友人からもらう、などの方法で得ることができます。


【読了】


 俺は流し読みをせず、ゆっくりと『スキルについて』を読み、しっかり理解してから末尾に添えられていた【読了】のボタンを押した。
 すると、クリアのウィンドウを挟んで、再び『道具屋で、旅の準備をしよう!
 』のウィンドウが戻ってきた。
 視界に再び惹かれる赤い半透明の誘導線。
 今度こそ道具屋へ、という気持ちで一歩踏み出した。
 さっき急いで行こうとしたら、出鼻をくじかれたし、もうゆっくり景色とか建物とかを楽しみながら行こう。
 それから、2、3分、町の建物とかを眺めながらゆっくり歩いて道具屋へ向かった。
 道中何故か、数10人のプレイヤーを追い抜いた。
 まだ、フルダイブ慣れしてないのかな?
 でも、歩き出しても全く違和感がなかったけどなぁ。
 違和感があるとすれば、アバターが現実の体よりも少しだけゆっくり動いていることぐらいかなぁ。AGIに結構振ったけど、ちょっとだけ遅いんだよなぁ。
 たぶんこの感じなら、AGIが40くらいで、ちょうど現実と同じ感じになるんじゃないかな?
 あ!
 もしかしてゆっくり歩いている人みんな極振り勢なんじゃないかな?
 AGIに何も振っていないなら、あののっぺり、のっしりした動きでも納得がいく。
 やぁ、やっぱり極振りって人気なんだぁ。
 流行りだもんなぁ。
 ロマン追い求めたいもんなぁ。
 でも、俺は極振りじゃなくてよかったかな。
 あののっぺりとした動きなら、イライラしてすぐにやめちゃいそうだし。
 そんなことを思っていると、道具屋についた。
 道具屋は、こじんまりとしたお店だった。
 店員は少しイカつめのオヤジが一人。
 現実なら、声をかけるのにも勇気が必要なタイプ。
 オヤジの顔を観察していると、ウィンドウの指示が変わった。

 ②店員に話しかけてみよう

 冒険をはじめにこの町に来たことを伝えてみよう。



 えぇ、あのオヤジに声をかけるのかぁ。
 声かけないと進まなさそうだし、声をかけるかぁ。
 俺は、やる気20%くらいの声でオヤジに声をかけた。

「あのぅ、こんにちは」
「おう、坊主! 道具屋”初”に何の用だ?」
「冒険をはじめにこの町に来たんですけど、旅の道具ってありますか?」
「お前さん! 新人の冒険者か! なら、いいもんがあるぞ。これだ! その名も初心者セット! 冒険を始めるのに必要なものは最低限入っているぞ」
「それっておいくらですか?」
「これは、無料でいい!」
「え?! いいんですか?」
「あぁ、国の方針で、この町から冒険を始めるやつに、こいつを一つ渡すことになっているんだ! なんてったって、この場所は、今の王の先祖がその前の王朝に反旗を翻し、圧政に苦しむ民を救った、その始まりとなった場所なんだ。だから、この町は、何かを始めるやつに対してすごく親切なんだ。国の方針でも、住民の気持ちとしても」
「そうなんですか、じゃあありがたく初心者セットをいただきます」

 俺は、オヤジから初心者セットを受け取った。
 受け取った初心者セットは、自動でストレージに入ったらしい。

「おう、今度は何か道具を買いに来いよ」
「はい!」

 それから道具屋を出て、少し進んだところでウィンドウを確認した。
 すると、『道具屋で、旅の準備をしよう!』がクリアになっていた。


 道具屋で、旅の準備をしよう! クリア

 ①視界に表示される赤色の誘導線に沿って、道具屋に向かってください。 (済)
 ②店員に話しかけてみよう (済)
 ③初心者セットを手に入れよう (済)


『道具屋で、旅の準備をしよう!』のクリアを確認したら、次の指示がウィンドウに表示された。



 ギルドへ行こう!

 ①視界に表示される赤色の誘導線に沿って、冒険者ギルドに向かってください。


 また、赤の半透明の誘導線が表示された。
 誘導線の方に行く前に、初心者セットの中身の確認をしよう。
 メニューからストレージを開き、初心者セットを選択。
 初心者セットを開封する。
 ストレージの中に、初心者セットに変わりいろいろなものが入っていた。

 初心者セット

 マジックソード
 ATK:2
 MAG:1
 破壊不可


 初心者胴あて
 VIT:2
 破壊不可

 初心者ズボン
 VIT:2
 破壊不可

 初心者靴
 VIT:1
 破壊不可


 1000G


 初心者HPポーション×5
 初心者MPポーション×5




 武器と防具をセットしよう!

 メニューから装備を開き、武器と防具を装備してみてください。

 初心者セットを開けたら、ウィンドウの指示が変わっていた。
 誘導線も消えていた。
 ウィンドウの指示通りに、装備を装備していく。
 防具は、初期の簡易な服よりは少し重い。
 だけど、動きを阻害するほどの重さじゃない。
 これもSTRに振っているおかげなのかな?
 初心者装備を装備すると、『武器と防具をセットしよう!』がクリアになり、『ギルドへ行こう!』と誘導線が戻ってきた。
 誘導線の指す方へ今回は少し駆け足気味に行ってみた。
 初心者装備を手に入れて、早く町の外に出て戦いたくなっちゃったんだから仕方がない。
 1分くらいで、ギルドについた。
 ギルドは、遠くから見てもわかるくらい大きかった。
 この町で、1,2を争うくらいの大きさだ。
 中へ入ると、誘導線の指示に従って登録・依頼カウンターへ向かった。
 登録・依頼カウンターは、10個近くあり、どこに行けばいいんだろうと思っていると、誘導線が一つのカウンターを指し示した。
 誘導線が指し示す登録・依頼カウンターの奥には、仕事のできそうなお姉さんが座っていた。
 登録・依頼カウンターの前に着いたタイミングで、ウィンドウの指示が更新された。


 ②登録・依頼カウンターの職員に話しかけて、ギルドに登録しよう。



 ギルドには多くの人がいて、登録・依頼カウンターの人の出入りも激しい。
 だから、俺は、ウィンドウの指示を確認すると素早く誘導線が指し示している登録・依頼カウンターへ向かった。
 カウンターに行くと、職員のお姉さんが話しかけてきた。

「こちら、登録・依頼カウンターです。どのようなご用件でしょうか?」
「ギルドに登録がしたいです」
「(もしかして、来訪者なのかしら。そういえば、国からお達しがあったわ。今日から来訪者がたくさんこの国に来るんだった。それに、今日何度も来訪者の登録をしてたじゃない。多分そうだわ。来訪者なら初登録なはずだし、その時に来訪者か聞いてみればいいんじゃないかしら…………)」

 どうしたんだろう、急に独り言をぼそぼそ言って。
 もしかして、俺の発言が何かの規則にふれちゃったとかそういうやつかな?
 俺は不安になりながら独り言をぼそぼそ言ってるカウンターのお姉さんに再び声をかけた。

「あのぅ、登録ってできますか?」
「あぁ、ごめんなさいね。登録は問題なく出来ますよ。じゃあまず、名前と年齢とギルド記録と犯罪歴がないかを見るためにこの水晶に触れてください」
「わかりました。これでいいですか?」
「大丈夫です。犯罪歴はないようですね。名前は……オクツさんですね。年齢は16。ギルド歴はなし。この年齢で初登録ってもしかして来訪者の方ですか?」
「来訪者って何ですか?」

 初登録が16って珍しいのだろうか?
 それと、知らない単語が出てきたので聞き返してみた。

「来訪者とは、この世界の外から現れる人のことです。国から通達が来て、今日から来訪者がこの町に大勢いらっしゃると聞きました」
「それなら、来訪者で間違いないです。なんで、来訪者ってわかったんですか?」
「この国というか、この世界では、5歳になる年にギルドに登録するのが常識なのです。だから、16で初登録となるのは、この世界では大変珍しいので、国からも通達があった来訪者ならつじつまが合う、そう思ったので来訪者じゃないかとお聞きしました」
「そうなんですね」
「それでは、登録の続きの作業に戻りますね。来訪者の方の初登録の場合、ギルドについての説明を行います。そのあと、こちらの登録書にサインしていただいて、登録が完了となります。その後、一つ依頼を受けていただくことになります。この流れで進めて問題はないですか?」
「大丈夫です」

 事前に流れを説明してくれるとか、すごく仕事ができる人なんだろうなぁ。
 登録がこの人のカウンターで良かった。
 詰めてくるタイプの仕事ができる人じゃなくて良かったぁ。
 カウンターのお姉さんが説明を始めた。

「まず、ギルドとは、国が設置している総合的な取引所です。この町で働くためには、当ギルドで登録する必要があります。ギルドが持つ役割は3つ。物品の取引所となること、職業を斡旋すること、税を正確に取り立てることです。
 まず、一定金額以上の取引は、必ずギルドを通して指名依頼という形で行う必要があります。
 その時、取引額の一部を税として、ギルドに納めていただく必要があります。
 ギルドを通さなくてもいいぐらいの細かな金額を複数回動かすことで、脱税しようとしたり、そもそもギルドを通さずに高額な取引をしたりすると、捕まります。罰に関しては、場合によりますが、罰金から、国外追放まであります。

 次に、自由依頼、一次的な雇用、永続的な雇用、などもギルドを通して依頼としていただく必要があります。
 このときも、雇用の費用の一部を税として国に納めていただく必要があります。

 また、ギルドに対して何かを卸していただくことも出来ます。その買い取りの際も税金がかかります。
 ギルドから、何かを買うことも出来ます。
 この場合には税金はかかりません。

 最後に、ギルドにはギルドレベルとギルドポイントがあります。
 納めた税の量、行った取引の量、行った依頼の量、この町への影響などを総合的に加味してギルドポイントを支給します。ギルドポイントがどれくらい貯まったのかは、開示いたしません。ギルドポイントをためるとギルドレベルが上がり、利用できる施設が増えます。ただ、ギルドレベルが上がるにつれて、税率が少しずつ上がっていきます。そこはご注意ください。

 説明は以上となります。

 ギルドの規約などの細かいことに関しては、こちらの規約書をお読みください。
 登録書にサインをお願いします」

 俺は登録書にサインした。
 ギルド。
 俺のイメージでは、冒険者ギルドって感じでいろんな依頼を受けたりする、国から独立した組織って感じだったけど、ここだと、国が設置してて、冒険者とか関係なく、仕事にはすべてギルドが関係していて、すごく予想外だった。
 それに、何回も”税”って言葉を聞いた気がする。
 ここでも納税なのか。
 まぁ、きっとこっちの世界の税金はそこまで高い%じゃないはず。
 俺が、この世界の税に思いをはせていると、2枚の紙を持ったお姉さんが話し始めた。

「登録が完了しました。
 こちらが、オクツ様のギルドカードになります。
 依頼の受け方について説明します。
 あそこにある、依頼ボードに自分の受けることができる依頼のみ表示されます。
 その中から、ギルドレベルの分だけ同時に受けることができます。
 依頼は受けることはここでしかできないですが、完了するのは、どこでもできます。依頼されたものを手に入れたり、依頼された事を終わらせたりした場合、その場で達成となります。
 依頼料は、ギルドカードに紐付いている口座に自動で振り込まれます。
 依頼が失敗した場合に発生する違約金も、自動で出金されます。

 初依頼は、この薬草採集と、プレーンラビットの討伐のどちらにしますか?」



 俺は、迷わず『プレーンラビットの討伐』依頼を受けた。
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