日本の闇百景

Ittoh

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新たな日本に訪れる闇

新たな日本が生まれる時代

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 増加する難民申請者、このままで良いのかというお話を聞くことがあった。雑誌や資料でもこういった話が聞かれるようになった。

「日ノ本の終焉」を扱った拙著「2050年 日本は、日ノ本ではなくなった」

 増加する移民が、相手側の国策によって増加する時を描いたモノである。

 限界集落が増加する、2020年以降、上下水道や電気、ガス、通信といったインフラ維持には、膨大な労力を要する。インフラの維持が困難になった集落が、限界集落となっていく。

最初は良い事例であった。
 少数となっていく村人へ、出来る限りの対応を図る地方自治体で、住んでくれる人の公募をおこなった。

 都市の喧騒から、一時間ほどの山間部にある平均年齢七十を越えた37戸41人の集落に、世界中から百世帯318人が応募して、県の予算で、住む者の居なくなった家をリフォームして、住むことができる態勢を整えた。
 訪れた人々は、休耕地を開墾し、ホームヘルパーとなって高齢者への対応を行い、インフラ維持のNPO法人を設立して働いた。
 訪れた人々の多くは、欧州各地に移民として流れ込んできた人であった。つまりは、移民問題に悩まされる欧州から、大量の移民が悪い意味では、転送されてきたのである。

 この自治体の計画は上手くいったのだ。現行法範囲内の中で、地方自治体が模索し辿り着いた一つの回答であった。

 働き手に悩んでいた、集落からバスを使えば三十分の場所にあった大手企業の工場と連携も行われた。工場は、集落の空地へ数十棟の社員寮を建設し、村から歩ける場所にコンビニを建て、住む人が五百人に増加した。集落と一時間程にある町、そして工場まで、通勤できるバス路線を開通させた。

 そして、三十七戸平均年齢七十を超えた集落は、アッと言う間に人口千人を超える集落と変わった。
 集落では、日本語は片言で、ほとんど聞かれない。働いている人も生活している人も国籍が異なる町となった。
 だけど、子供達が遊び、人が行き交う町が生まれた。



 小学校と中学校がある町までは、黄色いスクールバスが走り、住んでいる家を自分たちで改装して、喫茶店や雑貨を始める家も増えていった。



 日本中で同様の問題を抱えていた地方自治体は、この成功事例に飛びついていった。この成功事例を、送り出した方の国々も喜び、事例は拡大していく。





 平成29年1万人を超えた難民申請者は、改元された新年には2万を超え、十年後に五万を超えていった。





 そして、悲劇は生まれた。
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