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しおりを挟む妹は自分のお城から出ません。
……もう出られないのかもしれません。
散歩を嫌がった妹に両親は散歩をさせませんでした。歩くのを嫌がった妹を椅子に乗せて、使用人が運んでいました。
そうやって育った妹が、本人が歩きたいと思った時に、歩けるのでしょうか?
妹はお城の窓からよく外を見ていました。
だから本邸に居るわたくしを見つけられたのです。
庭を散歩するわたくし。外に遊びに行くわたくし。お友達の家に行くわたくし。お茶会に行くわたくし。
妹はそんなわたくしを見つけては騒いだそうです。
「お姉さまの着ているドレスが欲しい!!」
と。ですが一度も
『わたくしも行きたい!』
とは言わないのです。
もしかしたら妹は本能で悟っていたのかもしれません。
『お城の外には自分の嫌なものや嫌なことが溢れている』、と。
そして既に自分の足が、“歩くのに不向き”になってしまっている事に……
お城から出ない妹の視界に入らないようにすることは簡単でした。
わたくしは別邸から離れた本邸の部屋で過ごすようになり、どんどんと『妹』という存在から離れていきました。
妹もそれを望んでいるのだろうと思っていました。
しかし、そうではありませんでした……
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