乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ

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 乙女ゲーム【聖女の愛は真実の愛です♡】のヒロインは学園に入って直ぐにイジメられる。その理由は簡単。

『ヒロインが既に聖女認定をされていて更にその可憐な見た目に令息たちの目を集め、自分が主役じゃないと許せない悪役令嬢の反感を買ったから』

 ゲームのヒロインは攻略対象と仲良くなろうがなるまいが悪役令嬢から嫌われるのだ。それなのにそこに輪をかけて悪役令嬢が自分のハーレム要員だと思っている婚約者と婚約者の側近たち(攻略対象)の心を射止めてしまうから更に嫌われる。
 学園に居る事すら悪役令嬢から疎まれ、退学させようと人の手を使って陰湿なイジメをされて聖女は追い込まれていく。何故悪役令嬢が実家の権力を使わないのかと思うが……さすがの悪役令嬢も『聖女』を家の力を使って潰す事は出来なかったのかもしれない。

 ゲームの中でヒロインは悪役令嬢の手が回っていた同学年の令嬢たちから足を掛けられて転び、背中を押されて転び、机やロッカーに落書きされ、ノートを隠され破られ捨てられ、悪意ある噂を流され、陰口を叩かれ、令息に強引に誘われたり、泥水を掛けられたり……、色々たくさんのイジメを受ける。それを心配した攻略対象者たちに助けられる事で親密度を上げていくのだけれど……逆に考えれば『攻略対象者たちが心配する事が起こらない限りヒロインと攻略対象者たちの親密度は上がらない』という事になる。
 現に傲慢な悪役令嬢であるはずのリゼリーラ・バラディナであるわたくしが傲慢ではないのでわたくしの婚約者でありゲームの攻略対象である【第一王子ヘリオッド・ル・ユリゴア】はわたくしととても仲が良く他の令嬢との接触を極限まで避けている。
 令嬢を避けている理由は、わたくしが昔
「わたくしが“嫉妬した”と考える前に婚約を解消してくださいませ。わたくしは婚約者に“嫉妬した”と思われる事がもうわたくしを信頼していない証拠、“裏切り”だと思いますので」
と伝えたからだ。
 ヘリオッド様は
「リゼリーラ嬢は俺の事で嫉妬してくれないのか……?」
と聞いてこられましたけれど
「そうですね。現段階で恋などしておりませんし、将来“嫉妬して虐める女”などと言われるかもしれないと思うと恋心など湧きませんわ」
と、ちょっと前世の記憶が混ざった返答をしてしまいましたがヘリオッド様は困惑しながらもわたくしからの『恋心が湧かない』という言葉にショックを受けられて、わたくしを惚れさせようと立ち回り、わたくしが絶対に誤解しない様にと女性から距離を取られるようになりました。
 そんなヘリオッド様なので、国王陛下から『聖女を気にかける様に』と言われている様ですが頑として自分では聖女に近付かない様にしている様です。

 なので前世の記憶のある聖女……ヒロインなら直ぐに異変を感じた事でしょう。

 悪役令嬢と聖女と攻略対象者たちは学園で同じ上位クラスに居ます。
 ゲームでは同じクラスの聖女が目に見えて虐められていて、それを攻略対象者たちが庇い守る展開になるのですが、そもそも傲慢ではない悪役令嬢に、婚約者以外の令嬢には近付かず笑顔も見せない攻略対象の第一王子と攻略対象であるその側近たち。イジメなんて起きる気配の無い平和な学園生活。攻略対象であり大司教の嫡男であるイルド・ミンディ侯爵令息だけが聖女であるヒロインを気にかけて声を掛けているけど、それも義務的な範囲に留め、イルドもちゃんと婚約者を優先している。
 そんな状態なので一度でも【聖女の愛は真実の愛です♡】略して【聖真せいしん】をプレイした事がある人ならばおかしいと入学2・3日で気づくでしょう。

 そしてゲームではヒロインである彼女は『聖真《せいしん》をプレイしていないと気づく筈のない変化』に気付き、『ゲームのストーリー通りにする為にイジメを自演』し始めた。

 これで彼女が『転生者ではない』と思うのは無理でしょう。

 乙女ゲームのヒロインである聖女、チャル男爵家の養女ネフィー。
 パステルピンクなサラサラな長い髪が特徴の庇護欲を唆る可愛い美少女。

 一生懸命ゲームで起きていたイジメを再現しようと頑張っている彼女、ネフィー・チャルが転生者であると確信したわたくしは、ただ流れに身を任せるのを止めた。



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