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11>>後始末
しおりを挟むフリーネが罪を認めなくても証拠や証言が続々と集まってくる。
魅了が切れた人々は自分が感じた違和感から過去を振り返り、何故あんな事をしたのか、何故あの時はそんな選択をしてしまったのか自問自答し、そしてそれが魅了されていたのであれば理解できると結論付けたのだった。
学園でリネットと友人だったのに後から出会ったフリーネを選びリネットから離れた人たちも『フリーネが魅了を使っていた』という噂を耳にすると全員が怒りに顔を歪めた。
ロッド公爵家のメイドが全員口を揃えたかのようにフリーネが毒を飲んだ時のお茶の席を準備させたのはセリーの指示でありフリーネ自身も知っていたと話した事から、殺人未遂が冤罪であったと確定した。
リネットが無実の罪で国外追放に処されたと全ての人が知る事になったが、依然としてリネットの行方は分からなかった。
フリーネとその母セリーは重犯罪者として公爵家から絶縁されたのち、平民として絞首刑に処された。
リネットを想う人たちからは刑が軽いのではないかという声が上がったが、王族を汚した者を生かしておくことは出来ないと、斬首刑よりは苦痛の伴う絞首刑が選ばれた。
フリーネとセリーが、命だけは助けてくれと懇願していた事も理由の一つだった。罪人の希望を聞き、その者たちを生かす為に金をかける事など誰もしたくない。生を望む者に死を。
リネットを想う者の中には『死にたくなる程に痛めつければいいのに』と思う者もいたが、さすがにそれを口に出す事はなかった。
自分の幸せの為に生きたフリーネはその母と共に最後は誰からも愛されずに恨まれ惨めに汚れきった姿で死んだ。
その話を聞いた第一王子であるギルベルトは自ら望んで毒杯を飲んだ。父と母の説得は届かなかった。
表舞台に出ずに後宮で密やかに生きればよい。次期国王となる弟を手助けしてやってくれと願う声も、国に混乱を起こさない為にも第二王子が何の障害も無く次期国王になる為にも自分の存在は邪魔になると、ギルベルトは自分を助ける声を退けた。
魅了され、無実の婚約者を国外追放にした愚鈍な王子は要らないのだ。誰よりもギルベルト自身が自分のような王子の存在が許せなかった。
第一王子ギルベルト・カロ・セイダムは病死としてその幕を閉じた。
ロッド公爵は早々に爵位を親族に譲り隠居した。
前妻であるリネットの母の墓の前で首を剣で掻き切って死んでいるのが見つかっている。
ギルベルトの側近であったマムリム、クリオン、ゼゼオは廃嫡され、それぞれの領地にて生涯軟禁される事になった。無論生涯独身である。都合よく使われ死ぬ運命となったが、誰一人として逃げ出す事など無かった。
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