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第3章 アリスと公爵家
21.退屈な日々〜リヒトside〜
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「…はあ」
思わず長い溜息が出た。数日ほど頭を悩ませているのはアリスのことだ。クロードは簡単に俺に話し相手をしろというがそうはいかないだろう。
何しろ自分とアリスは一回りほどの年齢差がある。同世代だから必ず気が合うということもないが、これだけ年の差があれば考えや感じ方も全くと言っていいほど違うため、いきなり話に来たと言われても嬉しくはないだろう。
そう思うと彼女にとって一番必要なのは年頃の友達の令嬢ではないかとすら思う。だからといって同じ年の令嬢を彼女に会わせても仕方がない。
「何か暇を潰せるものか」
暇を潰すとなると自分の場合は乗馬や街の視察で身体を動かすものばかりで当てにならなかった。
―またクロードにでも相談するか
頭の中で過ぎったがあの面白そうな表情を思い出して腹がたったので辞めることにした。ふと身近に相談出来そうな人物がいないか考えた。
―そういえばノーマンにはアリスと同じ年頃の孫娘がいたはず
俺はそう考えるとノーマンを呼び出していた。
「旦那様、何用でしょうか?」
「急で悪いな。早急に話を進めるが…ノーマン、お前は孫娘と仲がいいか?」
「は?」
ノーマンは執事長として毅然とした態度を崩さないが俺の唐突な質問に少しだけいつもの調子を崩していた。
「失礼しました。ええ、勿論。」
「そうか。では聞くが、彼女たちは暇を潰すとしたらどんなことをしている?何か流行っているものでもいいが、とにかく室内で楽しめるものは何かないか?」
「はぁ…そうですね。最近は何やらロマンス小説が流行っているとかで孫は友人と読み合って感想を言い合うのが楽しいと申しておりましたが」
「ロマンス小説だと」
俺があまりにも露骨に反応したのでノーマンは少し後ろに下がった。
「しかし、何故急にそんなことを私に尋ねたのですか?」
俺は不思議そうなノーマンに渋々だが理由を話した。それを聞いたノーマンは何やら嬉しそうに俺に話しかけた。
「それでしたら旦那様からアリス様に贈って差し上げてみてはいかがです?」
「ノーマン、正気か?」
「私は至って正気です。」
「しかしな…」
「私の考えだけですが、恐らくアリス様は聖女として今まで尽力されてきた方ですからそういった娯楽にも触れてきたことがないのではと…それでしたらこれを機に読まれるかもしれませんよ?」
ノーマンは続けるように話し続けた。
「それにアリス様は本日は外に出ようとなさったと報告も受けています。それを聞いてアリス様の侍女がそれはもう怒っていたと…」
「アリス嬢が外に出ようとしたのか?」
「ええ、それほど療養期間が退屈なのでしょう」
「そうか」
俺はアリスがそこまで暇を持て余していることにさらに頭を悩ませた。
「旦那様、贈り物はどんな物でも誠意を持っていればお相手は答えてくれます」
「するとつまり」
「贈り物が大事なのではないです。要は気持ちです。それがどんな物であってもです。」
俺は暫く考え込むと意を決したようにノーマンに使いを頼んだ。
思わず長い溜息が出た。数日ほど頭を悩ませているのはアリスのことだ。クロードは簡単に俺に話し相手をしろというがそうはいかないだろう。
何しろ自分とアリスは一回りほどの年齢差がある。同世代だから必ず気が合うということもないが、これだけ年の差があれば考えや感じ方も全くと言っていいほど違うため、いきなり話に来たと言われても嬉しくはないだろう。
そう思うと彼女にとって一番必要なのは年頃の友達の令嬢ではないかとすら思う。だからといって同じ年の令嬢を彼女に会わせても仕方がない。
「何か暇を潰せるものか」
暇を潰すとなると自分の場合は乗馬や街の視察で身体を動かすものばかりで当てにならなかった。
―またクロードにでも相談するか
頭の中で過ぎったがあの面白そうな表情を思い出して腹がたったので辞めることにした。ふと身近に相談出来そうな人物がいないか考えた。
―そういえばノーマンにはアリスと同じ年頃の孫娘がいたはず
俺はそう考えるとノーマンを呼び出していた。
「旦那様、何用でしょうか?」
「急で悪いな。早急に話を進めるが…ノーマン、お前は孫娘と仲がいいか?」
「は?」
ノーマンは執事長として毅然とした態度を崩さないが俺の唐突な質問に少しだけいつもの調子を崩していた。
「失礼しました。ええ、勿論。」
「そうか。では聞くが、彼女たちは暇を潰すとしたらどんなことをしている?何か流行っているものでもいいが、とにかく室内で楽しめるものは何かないか?」
「はぁ…そうですね。最近は何やらロマンス小説が流行っているとかで孫は友人と読み合って感想を言い合うのが楽しいと申しておりましたが」
「ロマンス小説だと」
俺があまりにも露骨に反応したのでノーマンは少し後ろに下がった。
「しかし、何故急にそんなことを私に尋ねたのですか?」
俺は不思議そうなノーマンに渋々だが理由を話した。それを聞いたノーマンは何やら嬉しそうに俺に話しかけた。
「それでしたら旦那様からアリス様に贈って差し上げてみてはいかがです?」
「ノーマン、正気か?」
「私は至って正気です。」
「しかしな…」
「私の考えだけですが、恐らくアリス様は聖女として今まで尽力されてきた方ですからそういった娯楽にも触れてきたことがないのではと…それでしたらこれを機に読まれるかもしれませんよ?」
ノーマンは続けるように話し続けた。
「それにアリス様は本日は外に出ようとなさったと報告も受けています。それを聞いてアリス様の侍女がそれはもう怒っていたと…」
「アリス嬢が外に出ようとしたのか?」
「ええ、それほど療養期間が退屈なのでしょう」
「そうか」
俺はアリスがそこまで暇を持て余していることにさらに頭を悩ませた。
「旦那様、贈り物はどんな物でも誠意を持っていればお相手は答えてくれます」
「するとつまり」
「贈り物が大事なのではないです。要は気持ちです。それがどんな物であってもです。」
俺は暫く考え込むと意を決したようにノーマンに使いを頼んだ。
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