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プロローグ

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「あなた、お茶を二つお願い」
ボクは急いでお茶の準備をする。
お茶出しは、男子の嗜み。
丁寧にお湯を注いでいく。
よし、我ながらうまく出来た。

「わあ、上品で素敵な夫ですね」
決まり文句とはいえ、お客様に褒めれれてちょっと嬉しい。
妻もまんざらでもなさそうだ。
「ええ、貞淑で従順な自慢の夫なんですよ」

ボクはキッチンに戻って頬を押さえる。
お客様の言葉よりずっと嬉しい。
貞淑で従順な夫って、女権社会が実現した今では夫の理想像だもん。
ボクはうっとりして指先にキス、そしてその指を首元に押し付けた。
妻に嵌めてもらった結婚首輪。
銀色に輝く愛のしるし。
『愛しています。ご主女(しゅじん)さま』
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