上 下
4 / 96

4.焼印は女の誇り

しおりを挟む
昨夜は素敵だったな。
初夜の翌日である今日、あたしは焼印を押される。

結婚前、先輩のミオさんといっしょにお風呂に入ったことがある。
その時、ミオさんのお尻を見てとてもびっくりした。
そこにはとても優美な家紋があったの。
 「素敵」
あたしはため息をつきながら思わず呟いた。
残酷な焼印だけど、ミオさんの透き通るような白い肌に優美なマークが好く映えてとても綺麗。
 「あたしもこんな焼印がつけられるんですね。その時って熱くなかったんですか?」
あたしは少し怖くなってミオさんに聞いてみた。
 「とっても怖かったけど、大丈夫。愛があれば熱さなんてなんでもないわ」

 「アヅイぃっ!!ひぃイっ、うぐゥっ~」」
ミオさんの嘘つき!!
こんなに熱くて苦しいなんて、聞いてない!
 「こら!動くな、焼印がブレたら女の恥だぞ」
ご主人さまの叱責が飛ぶ。
あたしは必死に体を固定する。

焼印が押された後も、火傷の痛みで苦しくてたまらない。
すると、泣きじゃくるあたしをご主人さまは優しく抱きしめてくれた。
そのままご主人さまの胸に顔をうずめて泣き続けていると、ご主人さまはあたしの頭を撫でてくれた。
 「ブレてないですか?ご主人さま」
 「ああ、大丈夫だ。鏡でよくみてご覧」
鏡でじっくり見てみる。うん、大丈夫、ブレてないわ。とても綺麗。
ブレのない焼印は女の誇りだもの、よかった。
あたしは火傷の痛みなんて吹き飛んでしまった。
嬉しくてたまらない。ご主人さまへの感謝の気持ちでいっぱいになる。
ミオさんの言っていたのはこのことだったのね。
 「ありがとうございます、ご主人さま」
永遠に消えないご主人さまのマーク。
なんて素敵なの。
愛しています、ご主人さま。


【ミオ】
 主人公の学生時代の先輩、通称ミオさん、一人称:私

【焼印】
 初夜の翌日に妻が臀部に押される家紋です。
 焼印は初夜に操を捧げた証であり、結婚した女性の誇りとされています。
 また、ブレのない焼印は立派な妻の証で、ブレた焼印は女性の恥とされています。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

課外調教

BL / 連載中 24h.ポイント:1,221pt お気に入り:29

氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:958pt お気に入り:9,213

その愛情の行方は

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,039pt お気に入り:338

傲慢上司の躾け方

BL / 連載中 24h.ポイント:220pt お気に入り:316

伯爵令嬢は平民になりたい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:127

処理中です...